突然の砲撃によって、城の中にいた人々は皆逃げ惑ったが、そのほとんどが砲撃の犠牲となった。
りつが目の前に広がる光景が信じられなかった。
(主よ・・どうして味方してくれないのです?あなたの信徒である私たちをどうして助けてくれないのです?)
りつは呆然として、砲撃の中をふらふらと彷徨い歩いた。
神は私たちを裏切った。
私たちを裏切り、神は悪魔と手を結んだ。
こんなことがあっていいのだろうか・・
絶望の淵にいたりつの胸に、幕府軍が放った鉄砲が打ち込まれた。
りつはゆっくりと地面に倒れていった。
「姉さん、しっかりして、姉さん!」
妹の悲痛な叫び声が聞こえる。
だが妹の顔が見えない。
胸から血が流れている。
ああ、私はもうじき死ぬのだ。
神よ、感謝します。
私を天国(パライソ)へと連れて行ってくださることを。
感謝します、神よー
りつはゆっくりと目を閉じ、その魂を神の手に委ねた。
お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2012年04月01日 22時04分04秒
コメント(0)
|
コメントを書く
[連載小説:紅蓮の涙~鬼姫物語~] カテゴリの最新記事
もっと見る