「全く、近頃の子は、なんていう口の利き方をするのかしら。」
扇子を扇ぎながら、シャルステイン男爵夫人はボーイから飲み物を取っている捨てファニーを睨みつけながら言った。
「見ない顔ね。あの子は誰?」
「セルファード侯爵家の1人娘で、ステファニー様ですわ、マダム。」
男爵夫人の取り巻きの1人であるオルガがそう言ってステファニーを見た。
「立ち居振る舞いといい、言葉遣いといい・・あの子はレディーとしての教育を受けていないんじゃございませんこと? あれが貴族の令嬢かしら?」
オルガがそう言ってあざ笑うと、男爵夫人はため息をついて言った。
「あの子は社交界にデビューしたばかりだから、まだここでの振る舞い方がわからないだけでしょう。まぁ、このわたくしが社交界はなんたるかをみっちりと教育してさしあげますけどね・・」
鷹のような冷たい瞳が、ステファニーの姿を射た。
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