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2014年07月07日
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カテゴリ:広井勇&八田與一
内村鑑三不敬事件―火の洗礼―
1 一高不敬事件プロローグ
 いよいよ内村鑑三の生涯の最大の事件「不敬事件」に入る。事件そのものは現代から考えると実に何でもないような事実であった。第一高等中学校に教育勅語と天皇自らの署名が下され、学校あげてその名誉を祝い、「勅書拝戴式」が行われた。校長代理が教育勅語を読み上げ、式の最後に五人一組で勅書に敬礼する時に内村だけはちょっと頭を下げたが、同僚の教授・講師たちの一部が「頭の下げ方が足りない」と咎めたことが事件の発端である。宮部金吾は語る。
「事の真相は明治二十四年一月九日第一高等中学校講堂に於て、各大学及び文部大臣直轄高校へ御下賜になりし、御名を御親筆あらせられた教育勅語の拝戴式が挙行され、職員生徒一同に其御名に対し奉り礼拝すべしと命ぜられました折、君は礼拝の語に躊躇し、只少しく頭を垂れたのに起因したものであります」(『内村鑑三君小伝』)。
ところが、この事件は校友会雑誌に取り上げられ、やがて新聞記事となり、拡散するに及んで世間から大バッシングが起こった。内村自身が回顧する。
「余の頭上に落ち来たりし雷鳴(いかづち)・・・・・・国賊、不忠・・・・・・脅嚇と怒喝・・・・・・その結果として余の忠実なる妻は病んで死し、余は数年間、余の愛するこの日本国において枕する所なきに至った。余の肉体の健康はそれがために永久に毀損せられ、余の愛国心は甚大の打撃を被りて余は再たび旧時の熱心をもって余の故国を愛する能(あた)はざるに至った。実に余の全生涯に渉るこの世の不幸はすべてこの一瞬間より来った。」(『読書余録』)
実にこの「火の洗礼」によって内村は世に顕れた。
ソクラテスがアテネの陪審員裁判で死刑判決を受けて毒杯を飲んで死に、それをプラトンが『ソクラテス最後の弁明』で描くことによって永遠となったように。内村も不敬事件によって妻を失い、国人から見捨てられ、逼塞するなかで、「基督信徒の慰め」、「求安録」を綴り、その後、世界的名著を輩出する。「飛ばんとする者は屈せねばならぬ」おそらくこの事件によって肉体・精神が極限まで追いつめられ、押し込められることがなければ、ここまでの飛躍はなかった。これを「火の洗礼」と述べたのは、内村自身である。内村は一高不敬事件を回顧する。
「この事件なかりしならば、余の生涯は平々凡々取るに足りない者であったらふ。余は真個の洗礼をこの時に受けたのである。水の洗礼にあらずして、火の洗礼を余はこの時に受けたのである。而してこれによりて余は始めて少しく信者らしき信者となったのである。」(本書p. )と。
宮部金吾もまた「内村鑑三君小伝」において
「熟々(つらつら)君の波瀾に富める貴き生涯を顧るに神は予め『我爾(なんじ)を人をして漁(すなど)る者と為さん』との聖旨に由り、君を選び給ひし跡を明らかに見る事が出来るのであります。神はこの為に君を札幌へ導き、米国に遣はし、所謂(いわゆる)不敬事件をすら惹起せしめ、あらゆる辛苦困難を具さに嘗めしめ、鍛へに鍛へられ、遂に君をして、独立独歩、文筆と講演により純福音の宣伝を為さしめ、且つ確乎たる日本的独立基督教の基礎を築かしめ、未来ある栄光の偉業を遣さしめたのであります。」と内村の人生を回顧する。





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最終更新日  2014年07月08日 01時57分07秒
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