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2014年08月31日
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4 「故内山実先生の述懐と戦後反省」
『二宮尊徳の政道論序説』岡田博著の「故内山実先生の述懐と戦後反省」は、聞く者の姿勢を正さしめる。「二宮尊徳の何処にも、第二次大戦を正義の戦争として無条件に賛美して協力する根拠はないのに、どうして報徳の中の誰一人、この道の行方何処と批判できなかったのか。これは明治以後の報徳が二宮尊徳先生の真の教えと受け継いできたものの中に、何かが欠けていたからです」(序説p.262)。
『序説』の「自序にかえて」によると、これは内山氏がドイツの大学へ留学するに当って、山田孝雄先生から送られた言葉である。「戦前・戦中の報徳が、太平洋戦争敗戦に至るまでの過程に、国家の進路と行為に追従・協力して終った。国家の犯す誤りに対して、なんらの批判も行動もなかったのは尊徳思想の本質なのであろうか、それとも明治以降の報徳が尊徳を読み誤っていたのか。君はドイツの学問の手法をしっかり身につけてきて、国家に有用な尊徳研究をしたまえ」と励まされた。(序説p.20)
この問題提起に内山氏は「明治以後の報徳が二宮尊徳先生の真の教えと受け継いできたものの中に、何かが欠けていた」と断言される。岡田氏が『政道論序説』と題されたのも、内山氏が五九歳で亡くなられ、その志を受け継ごうという思いからであろう。
この問題意識は佐々井典比古氏にもあった。
『尊徳の裾野』、『尊徳の森』では、尊徳の政道批判、意見が多く採録されている。
「尊徳、忠真を諌める」は大久保忠真が藩士に減米せざるを得ないのを嘆いたのを「家中をご覧になって、下万民を忘れている」と批判した(裾野p.159)。
「尊徳大いに怒る」は、相馬藩が暴風雨の際に城下を守るため、宇多川の堰を切らせ和田村の田畑が被災した。藩当局は僅かなお救い米を出し「万人の愁いを引き受けるのが陰徳で人倫」とある文面の是非を尊徳に問う。尊徳は、洪水は天災だ。天災なら上下共々受けるべきと厳しく批判した。尊徳はそれと共に洪水対策を教える。相馬藩は河を浚い堰を補修し抜本的改修を行った。尊徳は批判するだけでなく、対策を立て実践させる(裾野p.213)。「国の病に灸すえて」は、茂木藩当局あて、米の抜売りを企てた者に対する激しい意見書が載る。最後に「民の父母国の病に灸すえて泣くともままよ命長かれ」という歌と「少正卯(しょうせいぼう)を誅し、国政を与り聞くこと三月、魯国大いに治まる」を載せる。これは孔子が魯の宰相補佐を務めた時、国政を乱していた大夫の少正卯を処刑し、魯国は道義あふれる国になった話である(森p.437)。
 尊徳は政治について口を開いた。それは自らの言葉を受け止める信頼関係がある場合に限って厳しい政道批判となった。しかも常に抜本的対策の提案を伴っていた。
 内山稔氏は、『尊徳の実践経済倫理』の「序にかえて」において、尊徳は「言葉の本来の意味において彼こそまさに『経済人』、『経世済民』の闘士であった」「尊徳は『分度』と『推譲』をもって経世済民の二大柱石と考えていた。分度とはすなわち合理的な計画経済であり、推譲とは人のため、世のために恵みを施すことである」「そして、尊徳は『心田の開発』こそ経済事業の成否を決するかなめであると確信していた。」(同書p.9)そして「報徳仕法」の本質的特色は「一貫して『人間の道徳的教化、救済』であった」とされる(同書p.39)。
本第二集ビジョン編のテーマを「報徳は精神変革である」としたゆえんである。





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最終更新日  2014年09月01日 02時24分27秒



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