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2014年09月11日
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田中義人さんの「わが社の経営と人材育成方針」という講演記録がWEBサイトに出ていた。
田中さんの会社は岐阜県の恵那にある。父親が創業したナカヤマと中山理研そして田中さんが22 歳の時、創立した東海神栄電子工業の社長をしている。東海神栄電子工業はプリント配線基板を作り、ナカヤマは花、野菜の包装資材を作り、中山理研は半導体の治工具を作っている。東海神栄電子工業は、40年近く前に東京の神栄工業の下請けとして、社員7名で始めた。下請け時は、収益が上がらず、親会社にコストダウンだとか泣かされ、オイルショック時に仕事が8割無くなり「下請けだけやっていてはいけない」と思った。エレクトロニクス産業が急激に拡大していくなか、1980 年頃に下請けから脱皮できた。毎年売上が伸び、人も増え、売上が、すぐ10 億、20億になり、30 億円を超えていった。「自分の会社では一番効率のいい仕事、一番収益の高い仕事だけをやろう」という経営をした。これが大変な落とし穴だった。企業は利益第一、そして面倒なことはアウトソーシングというのはよくあるが、その結果、技術力が低下してレベルの高いものが社内でできない体質になっていた。簡単にそして自分さえ儲かればいいということで、非常に人間関係が悪くなっていった。
社員にたくさん給料を出したら、喜んでくれると思い、成果配分方式を取り入れ、半期の業績に応じて、目標以上行ったら利益配分としてお金を配った。最初の頃は1000 万円ぐらい半期でボーナスの上乗せをした。「あ、こんなにもらえた。よかった」しかし2年、3年続いていくうちに、おカネというのは妙なもので、もらって当たり前になっていった。5年目ぐらいになると、「もっと欲しい」という。「おれたちは、こんなに頑張っているのに、もらいが少ない。」目的と手段が入替わり、おカネ儲け、規模拡大、利益獲得が企業の目的にすり替わってしまった。自分の利害ばっかりが先に出る。こんな風土になっていった。人間的な安らぎというものが無く、人も儲ける道具のようになってしまった。1989 年の11 月東西ベルリンの壁が崩壊し、日本のバブルが崩壊し、景気に乗っただけの会社の売上も落ちてきた。
「今の経営のやり方は、何かおかしい。どっかに問題がある。」でもどうして良いか分からない。
そんな時、田中さんは1991 年11 月23 日、恵那の地で鍵山秀三郎さんと出会った。
鍵山さんはトイレ掃除の実践者であり、「イエローハット」というカー用品の販売店を全国展開している。
この鍵山さんが、自己紹介の中で「30 年間、私は毎日トイレ掃除をしております。おかげで人生も会社も大変良くなった。」と姿勢を正して、真面目におっしゃる。
「この言葉がものすごく新鮮に聞こえました。掃除をする。掃除をすると、人生も会社も良くなる。
その時、自分に欠けている何かを感じました。うまく儲けること、環境に乗じることが経営だと思っていた。
地についてない経営をやってきたなかで、この鍵山さんが言うのは、地べたにへばりつくということなんです。一番汚い所に身を置いて、それを磨いて、そこにほんとの経営の極意があると、私はハッと感じたんです。
私の家の前に神社兼遊園地があります。神社の入口には駄菓子屋さんがあり、この駄菓子屋さんで子どもたちが菓子を買う。30 円だか50 円の駄菓子ですから小さな袋に入っている。その袋をパッパッ、パッパッと捨てていきます。まるで汚れたじゅうたんをひきしめたようなイメージで、それは見事に汚い。
「休憩所」はタバコの吸殻でいっぱい。そんな状況だったのです。
それで「よし、ここを掃除しよう」と。鍵山さんに会った次の日から掃除を始めました。毎日、朝の6時半ぐらいからやりました。そうしたら3月、4月になってやっときれいになりました。当たり前のことですけど。
ある時、ああ今日も終わったなってフッとお社の方を見てたんです。そうしたらお社が、輝いて神々しく見えたのです。で、「ああ、ここは神社だったな」と、そこで初めて実は気がついた。
その後、まず子供たちがごみを捨てなくなった。ポケットに入れて帰ったり、ごみ箱にちゃんと入れるんです。皆さんもそうじゃないですか。きれいにされているとごみって捨てにくいでしょ。子供もゴミを捨てなくなる。
それから、近所の方々もお手伝いしてくださるようになった。町内も、きれいになっていく。本来持っている場が、生き返ってきた。「場が人に影響を与える」ということなのです。社員教育というか、人の教育と全く一緒だと思うのです。つまり、環境が人間を変えていく。
また、この神社内にあって年2回秋祭りと正月の恵比須講だけしか使わないトイレを私が市役所へ行って、「私が掃除をするから」ということで無理に開けてもらった。私に3人の娘がいますが、一番下の子がまだ中学生の時、父親が朝6時半に起きてトイレ掃除をしていましたので、時々、手伝ってくれました。そうしたら、「少年の主張」で『お父さんのトイレ掃除』という題で発表してくれました。
「私はお父さんのトイレ掃除を見ていて、私はお父さんを尊敬しています。お父さんは人の嫌がることを自分から進んでやっている。みんなに喜んでもらおうと一生懸命やっている。」というようなことを発表してくれました。これも、嬉しかったですね。ごみが減って、子どもたちは汚さなくなった。掃除を手伝う人が出てきた。町内が美しくなって、安全・安心な場に変わっていく。つまり場が変わり、そのことによって場が人間に影響を与える。人間は無意識のうちに環境の影響を受けています。考え方とか行動、言語まですべて影響を受ける。結局、私たちは日常の中で自分なりの環境を作っています。人間は環境に影響されるけれども、環境をつくることが出来るということです。経営も同じですね。ヒト・モノ・カネ、時間・空間・情報と言いますが、今あるものをどうやって活かしきるか。そのためには、プロセスが必要だと思います。とにかく最初は目的も何もない、ただ集まっているだけの集団をどうやって活かすかは、まず
1 意識づけするしかない。何故、こんなことをするのかの理解を得ます。
2 そして、目的を明確にして方向性を示します。次に
3 環境ですね。意識を変えていくなかで具体的にモノと人間関係の環境づくりを行います。うちでは具体的には掃除です。
掃除にものすごく力を入れています。私の会社では車も毎日洗っています。私の車も8年になりますけれど全然故障しません。機械もトイレも、こうして毎日磨いています。こういうことが、結局、モノの見方をどんどん変えていく。普通8時から5時までを仕事と言ってますね。この仕事の質と効率を高めるにはどうしたらいいかということなんです。研修を成功させ、質を上げ効率よくやるためには前段取りが大切なんです。
仕事も、前準備と後片付けをすれば、仕事の質は高まるのは当たり前です。始業は朝の8時ですが、私は7時に、社員は7時半ごろ出てきて職場をきれいにしてから仕事にかかる。これが仕事の効率を高める。そして終わった後に、後片付けをする。後片付けは次の日の前段取りになります。私が言っているのは、当たり前のことを話していると思うんです。いかに前段取りと後のフォローをするかということだと思います。
物事の気付きは予知の段階と目につく段階と手がつけられない段階の3つに分かれます。予知というのは、体でいえば熱が出たとか、せきが出るとか。胃が痛くなってきた。最後には手がつけられない、末期癌になってしまった。会社でも例えばモーターの音がおかしい。そのうち機械が振れだし、機械が止まった。つまり、どの段階で手を打つかということですね。予知の段階で対応すれば、問題は小さい段階で処理ができます。
掃除になぜ力を入れるかというのは、掃除は気付く人間をつくるからです。掃除は、単なる精神修業ではなくて、気付く人間、予知の段階で物事に対応できる人間をつくるためにやっているわけです。ですから掃除すると、生産性が上がってきます。それから不良とか事故が減り故障が少なくなりますから、経費も減ります。
掃除を続けているとモノを大事にする心が生まれてきます。モノを大切にする人は、人を大切にします。それが結果的にお互いのつながりを活かし合う環境をつくる。そして、細かいことに気がつくようになって、子どもでも、環境をきれいにしたらモノを捨てなくなるんです。
環境づくりに参加している人たちは、環境を大切にする。いい環境をつくると、悪い心がしぼん心の荒みが少なくなり、善なる心が膨らんできます。自分たちで掃除を行うことは、ほんとうに大切なんです。環境が和やかになってくると、お互いに助け合う気持ちが生まれる。個人においても組織においても一緒です。
また、掃除を行っているとローコスト経営体質になります。「余分なものを使わず、モノを活かす。そして不良が減って、品質レベルが上がってきます。そして、綺麗にしますからお客さんに好かれます」いい循環が生まれてきます。その結果、確かにバブルの崩壊以後、会社の売上は落ちましたけど、かえって自己資本比率は10上がり、当座比率も良くなっていきました。仕事への喜びと商品力が強くなり財務体質が強くなるといった結果を生み出し、社員の人たちの気持ちと姿勢が変わってしまいました。





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最終更新日  2014年09月12日 01時44分57秒



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