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2014年10月13日
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第十三
先生曰く、語に云ふ、『徳を以て徳に報ゆ』と。地に俯して穀を播けば、必ず生ずるに穀を以てし、天に向て善を種うれば、必ず酬ゆるに善を以てす。天地虚しく受けず。必ず之を返す。況や人をや。予天保辛卯の年より、汝等の村の為に銀両を輸し、諸般の費用、随て告ぐれば、随て支給し、一も違ふ所なく、以て成功に至りぬ。予の孜々として、人の為めにして、毫も自家の損益を計らざるは、特に以て天地生々の徳に報いんとするなり。汝等豈虚しく人の恵を受くべけんや。且つ予の法を地方に立つるや、本村を以て首となしぬ。今に及で幸に法の如く償還し得たるは、豈たゞ一人の楽のみならんや。内は本村の為に恩義を達し、外は他村の為に模範を垂る。夫れ然らば、邑主の托せられたる八邑、及び駿河相模等の諸村に於ける、疲弊の人民先後相踵で門に至り、既に吾が教を聴きしが故に、次第に往きて、その事に従はざるを得ず。願くは汝等の村を立法の規範と為し、彼の諸村をして、荒蕪を開き、人戸を置き、負債を贖ひ、窮乏を扶け、生業を起す等のこと、亦尚ほ汝等の郷村の如くならしめんことを。即ち予が汝等の郷村に、施設経営せし所のものを以て、之を彼の諸村に転用し、斯くて、吾が広済の道を拡充せば、恵沢窮民に加はりて、実効州邑に普及し、本教の宗旨を弘め、宗国の徳輝きを発揚せむ。信に能く此くの如くなれば、則ち功成て教え明かに、本固くして末信に、たとひ飢饉凶荒に値ふと雖、溝壑に転ずるの患なく、各人其の所に安んじ、其の業を楽み、永世に伝へて究りなからんか。語に曰く、『老者は之を安んじ、朋友は之を信じ、少者は之を懐く』と。予が国の為めに法を立つる所以のもの、畢竟これが為のみ。斯くして、相報ゆるに徳を以てし、父母を養ひ、其の郷党を善くし、内睦くして外親しみ、これを国中に達するのみ⑴。書に曰く、『克く俊徳を明らかにし、以て九族を親しみ、九族既に睦じく、百姓を平章し、百姓昭明にして万邦協和す』と。邦家を治むるに、未だ一戸よりせざる者あらず。封疆を開くに、未だ一畝よりせざる者はあらざるなり。
 右記して以て父老に諭示す。各自拳々服膺、敢て或は違ふ勿れ。

⑴ 尊徳は「国のために法を立つ」と言う。そして「国中に達するのみ」とし、書経を引いて「万邦協和す」という。尊徳は青木仕法時から、一村仕法にとどまらず、国に、更に世界に開かれた方法であることを意識していたことがわかる。
大藤修氏は『近世の村と生活文化』で「尊徳は、特定領域の復興のみをめざしたのではなく、そこでの仕法による生産力向上の成果を他領にも「推譲」させて荒地を次々と開墾し、もって日本全体の「興国安民」を実現せんとしていた。のみならず、日本が富裕化したならば他国にも「推譲」し世界の繁栄に資することさえ主張している」「これが報徳金運用の論理であった」とされ(p.56)「尊徳の思想と仕法」を分析される。「農民の思想的・実践的な営為はあくまで自家・自村の再興・存続を目的としたもので、したがって、「家」・「村」の論理の枠内にとどまっているのに対し、尊徳はそれを基礎としつつ、かつそれを超えて社会化し、「興国安民」を実現するための仕法に体系化した」「そして「興国」の基礎は「安民」にあるとして、為政者に対し民衆の生活安定のための施策を何より強く要求し、その前提のもとに民衆に対して自律的・主体的な人間としての自覚と自発的な勤労意欲を促し、両者の努力を調和させることによって「興国安民」の実現を図る」(p.62)と。





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最終更新日  2014年10月13日 14時55分11秒



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