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カテゴリ:報徳記&二宮翁夜話
報徳訓 父母の根元は天地の令命にあり。 身体の根元は父母の生育にあり。 子孫の相続は夫婦の丹精にあり。 父母の富貴は祖先の勤功にあり。 吾身の富貴は父母の積善にあり。 子孫の富貴は自己の勤労にあり。 身命の長養は衣食住の三つにあり。 衣食住の三つは田畑山林にあり。 田畑山林は人民の勤耕にあり。 今年の衣食は昨年の産業にあり。 来年の衣食は今年の艱難にあり。 年年歳歳報徳を忘るべからず。 読書会において「報徳記」を輪読する時には、最初「報徳訓」を斉唱する。「報徳訓」を全員で斉唱すると心が揃う。「報徳訓」の意味を考える、寧静致遠。 「報徳訓を現代に生かす佐呂間漁業協同組合」 佐呂間漁協の貯金残高を組合員数で割ると約1億円。その仕組みは非常にユニークである。水揚高の70%は月取貯金として無条件で天引されて、翌年の生活費に回される。そのほか納税準備金、漁協への手数料、年金など水揚高の9割が天引きされる。自由に使えるお金は1割以下。生活費は前年度積立の月取貯金でまかなう。前年度の稼ぎで今年度生活する。月取貯金も全て生活費に回されるわけでなく、残った金は貯金され、平均1億円の貯金を持つことができた。組合員は毎年1月その年の営漁計画書を出す。計画書を漁協の担当者と組合員で計画が妥当か話し合う。漁協は貯蓄額の80%まで貸し出す。借りた金だから毎月返済する。金銭の緊張感が維持できる。昔の漁師は1回の漁で何百万も稼ぐと、その金を腹巻きに入れ、キャバレーに繰り出したりもした。もともとこの仕組みがあったわけではない。佐呂間漁協がホタテの養殖を始めたのが昭和40年で、組合員の生活を安定させたいと始めた。当時の漁協には新事業を立ち上げる資金がなく、上部団体に借入れを申し込み断られた。販売取扱高も貯蓄残高も少なかった。町が債務保証し必要な資金が確保できた。「佐呂間漁協の仕組みは、初代、二代目の組合長がつくりだした。 その精神は二宮尊徳の報徳訓にあった。特に最後の三行 今年の衣食は昨年の産業にあり 来年の衣食は今年の艱難にあり。 年々歳々報徳を忘るべからず。 が、佐呂間漁協の基本精神になった。」 報徳訓をこのように仕組みとして実践している例はほかに聴かない。 鈴木藤三郎は、尊徳先生の「荒地の力を持って荒地を興す」を製糖業など近代産業に適用して成功させた。尊徳先生の言葉を自分のものとできるならば、生涯使っても使い尽くせない無尽蔵の宝庫となる。その人一代だけではなく、それを実践し続ければ、子孫や共同体まで豊かにうるおしてくれる。鈴木藤三郎はこう断言する。 「報徳の道を修養し、この道の精神を以て各種の事業に応用すものあらば、事として成らざるなく、業として成功せざるなし」(「報徳実業論」『報徳産業革命の人』p.167) お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2014年10月18日 00時55分39秒
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