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カテゴリ:報徳記&二宮翁夜話
二〇一五年五月一六日(土)〇〇センター会議室 午前九時一五分~一一時五〇分
参加者 4名 先に〇〇、〇〇がセンターに到着していた。 〇〇は静岡県森町庵山の観音様の修復工事に編者と共に賛助金を出した。鈴木藤三郎は観音信者で、観音像を鈴木鉄工所で製作し、一体は台湾・高雄の台湾製糖敷地内に建造し、従業員の安全を祈願した。現在でも黒銅観音として台湾の現地の人々に大切に祀られている。また、一体は故郷森町に建立した。観音像は庵山に建立され、風雨にさらされて損傷が激しく、台座が不安定で、衣も一部が欠落していた。森町で修復予算を計上したが、鈴木藤三郎のご子孫や町民の寄付などを受け、当初の予定より大規模な改修事業を行った。その修復完成記念が五月一八日に行われる。衣の欠損部分の修復工事は専門の業者でも大変だったという。その状況を宮下に伝える。 〇〇、〇〇に二宮尊徳全集の『二宮先生語録』の原文を示した後、三人で、当日の朝までかかって読み下し文に全ルビをふった原稿を輪読する。 語録の原文はなぜ漢文なのですか? 作者の齋藤高行は相馬藩の武士で、おそらく当時の治政者である教養ある武士層に読んでもらうため尊徳先生の話を自分で記録したメモ『報徳秘稿』等を漢文に直したのではないか。当時、江戸において小田又蔵を中心に二宮先生の生涯と言行を漢文化しようという計画があった。『報徳記を読む第二集』に載せた青木村治蹟も正式な名称は「報徳本教第四青木村」で漢文です。第一が里居、第二が小田原、第三桜町、第四青木の構想で、最初に第四を作成した段階で計画は中断している。富田高慶の『報徳記』もこの構想がベースにあるように思われる。 当時の教養ある武士層は漢文読解能力に優れ、漢文で内容を理解できた。内村鑑三の父は高崎藩の武士だった。鑑三は父にキリスト教を理解させようと、中国で訳されたマタイ伝の漢訳を父の書見の机の上に置いた。父は、最初屑箱に捨てたが、鑑三はその都度拾い出して机に置いたところ、遂に父は読了し、『私はイエスの弟子になる』と言った。当時の教養のある武士は漢文で読了できた。齋藤も漢学の素養のある治政者に読んでもらうために漢文にしたと思われる。 なぜ、ルビは旧かな遣いでふっているの? 『報徳記』は『報徳要典』、『語録』は『二宮語録』に準拠したが、二つの本を比較すると、同じ字にそれぞれ違ったルビをふっている所がある。私には、ルビを統一したり、現代語に直すほどの知識がないので、典拠を明らかにした上で本文は『全集』に、ルビは原則として『二宮語録』によった。 十時過ぎに、〇〇も合流し、「二宮金次郎の対話と手紙」二刷の校正原稿を見せる。 「二宮金次郎の対話と手紙」二刷りの原稿ができました。初刷りの表紙は菜の花でしたが、二刷りはサツキの花の中を歩く金次郎にしました。 素敵だね。初刷りと二刷りとどこが違うの? 字句の誤りを修正したほか、一つは、『報徳記』の中の金次郎の少年時代の原文全ルビと福住正兄の『略伝』の少年時代を収録しました。また、コラムを増やし、「大切なエキス」をちりばめました。 報徳博物館の「古文書を読む会」で、富田高慶が書いた『報徳記』の原文を読んだのですが、驚いたことに、捨て苗を植えて一俵の収穫を得て「小を積みて大を致す」という文言が原文にはないのです。明治天皇に『報徳記』を献上する前に相馬藩内で、校訂者が付け加えたものだというのに驚きました。『略伝』や『語録』に「積小為大」は尊徳先生の言葉として述べられていますから、校訂者も尊徳先生の近くにいたことのある人で、この文章を付け加えても高慶は異議を述べなかったのでしょうね。 4人で、輪読を続ける。 全ルビ版の典拠は『二宮尊徳全集巻三六巻』三二三~四七六ページで全部で四七一あります。原文は見てのとおり漢文で、現代人には読めません。 かえり点が振ってあっても、読めないね。 言葉そのものが現代では使わない、たとえば大根を「莱菔」などやたら難しい漢字が使ってあり、ルビがふってないと輪読できません。『語録』の読み下しは既に作ってあったのですが、先日全ルビがふってある『二宮語録』を図書館で見つけました。 全ルビの「語録」があったんだ。 『語録』の書き下しがあることは承知していましたが、現物を発見しました。昭和一七年に平林久男氏が編集したもので、七〇年前の本です。紙質が悪く、コピーするとボロボロと紙片がこぼれる、限界に近いものです。全ルビがふってあったので、全集の『語録』を底本とし、ルビをこの『二宮語録』を参考にふりました。『二宮先生語録』は有名ですが、漢文のためにほとんど読まれることがありません。本会で全ルビ版を輪読した後、『報徳記を読む第三集』に収録します。森町の報徳報本社のドラマシナリオ「砂糖王鈴木藤三郎の報徳」も五〇年前に作成され、私たちが現代によみがえらせましたが、この『語録』全ルビ版も意義のあるものと思います。 輪読はまずGAIAが即席の現代語訳によりそれぞれの話ごとの概要が理解できるようにしてから、全ルビの原稿を声に出して交互に読んだ。予定していた【一】から【五〇】まですべて輪読できた。 袋井講演会の翌日、愛知県半田市で行われた〇〇先生の講演会を〇〇君と聞きに行きました。講演の帰り、〇〇先生から「これ(「報徳記を読む第二集」)は日本の宝ですね」とメールをいただいて喜びました。 『報徳記を読む』シリーズが完成したら、最後に『報徳記』、『報徳論』、『語録』の全ルビ版を一緒にして、先生のお言葉にちなんで、『報徳宝典』として刊行したいと思っています。それは世を益し、世に広め、世に遺す価値のあるものとなりましょう。 私たちから後世への最大遺物となることでしょう。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2015年06月28日 23時29分37秒
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