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2015年08月21日
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カテゴリ:鈴木藤三郎
二月三日 曇 午後小雨降
 午前十時よりアーレンス商会に行。セフエル氏と面会して注文品の約束を相談せり。是より郵船会社に行、根岸氏及び由井氏に面会して土佐丸号の出帆日時を聞く。是より三井会社行、渡辺専次郎氏に面会して注文品の約束書受取る。是よりラスペ商会に行、是より午後に至りハミルトン会社に行、注文品の調書を促す。是よりトテナンコートロードシウルブレツド(大なる勧工場)に行、雑品を買ふ。是より直に帰宿す。午後六時なり。
二月四日 小雨降 
 午前十時アーレンス商会のセツフエル氏来訪ありて約定書にサインをなす。是より正金銀行に行、金百ポンドを受取。是より市中にて雑品を買求む。而して帰宿す。此の夜ハミルトン氏自宅に行、同氏より製図器械一箱を記念として附与せらる。
二月五日 雨降 
 早朝より両人にて各注文せし器械の説明書を翻訳せり。午後五時三十分カンノンストリートハミルトン会社に行、是より三井会社に行、此夜三井会社支配人渡辺専二郎氏及び副支配人福原氏両人は我等をゲーテーレストランドにて夕食を饗せらる。是よりドルウワー・レインスエター(演劇場)に案内して見物をなす。而して夜十二時宿に帰る。
二月六日 雨降 
 早朝よりハミルトン会社に約定せし注文品の説明書等を翻訳せり。午後二時より書類を取調べて荷造りの用意せり。
二月七日 晴 日曜
 此日は例の休業なり。午前十時頃徳富氏と暫時談話せり。是より日誌及び手紙を認める。

1 「黎明日本の一開拓者」一七五~一七七ページより
「十二月十七日にフランス・ドイツ両国をあまねく視察して再びロンドンに帰った翌日から、これまで手もとに集めた機械類の見積書や説明書の翻訳を今井氏に協力してする一方、各国の機械の粋を集めてしかも我が国の国情に合う最新式の工場を設計することにまず努力した。そしてそれが出来あがると、一種の機械ごとにその製作を得意とする数個の製作所に命じて、詳細な仕様書を提出させた上で、競争入札をさせた。それでも、まだ高価と思われるものには、その落札値からなお適当な値引きを要求した。ある製造会社などは2割5分の値引きを要求してやっとところが、社長があわててロンドンへ出掛けて来て、父に会うなり二分五厘の間違いではないかといったというくらいになかなか厳しいものであった。
 現在残っている当時の契約書の控えを見ても、平均一割五分の値引きをさせている。これが主としてかけ引きがないといわれているイギリスの工業家を相手としてであるから、相当やったものであるといわれなければならない。ある製造家などは「開業以来の最低限で取引した」とこぼしたそうである。
 父は機械の選択には自信を持っていたから遠慮なくビシビシやった。これに閉口した各製造所は陰に陽にコンミッション政策を用い出したが、例の潔癖で断然と拒否した。
 物の値段が本当に解り、しかも欲心に引っかけられることさえなければ、欧米人を相手にしても決して卑下する必要はない。
 ちょうどその頃、徳富猪一郎(蘇峰)氏が通訳の深井氏と共に父と同じミセス・チャップマン方に泊まっていられたので、明治三十三年二月七日は、午前十時頃徳富氏と雑談をした折にこのことをいったら、徳富氏も大いに共鳴されて、商業以外のことでもやはりそうだと氏の経験を話された。」


二月八日 晴
 この日正金銀行で金五十ポンドを受取、午前九時よりハミルトン自宅に行、ハミルトン氏に面会して、明日出発の暇乞をなす。是より高田商会に行、亦日本領事館に行、書記生山下氏に面会す。是より郵船会社に行、根岸氏に面会す。是より三井物産会社に行、渡辺氏に面会す。是よりハミルトン会社に行、ロツカード氏と午后六時より送別の為めホルボーンレストランドホテルで会食する。是よりガワストリート七十六番地に行、浅野宗一郎氏、通訳小林・三浦諸氏に面会す。而して直に帰宿せり。夜九時なり。
二月九日 曇
 早朝より行李を調ひ午前十一時ハムステツトパウーリヤメントヒル十六番地チヤプマン方を出立す。(ビクトリア)ステンションより十一時五十分発車に乗ず。此のとき三・渡辺・福原両氏が見送りの為め来り、於是両氏と袂別して、今井君と両人にて午後三時三十分サンサンプトン港に着す。是より今井氏と両人にて当市中を散歩す。是より午後六時小蒸気船に乗り込、於是今井氏と分袂し、直に本船土佐丸号に向ひて進む。而して七時頃港口に定船なる土佐丸号に乗込めり。是迄郵船会社より手代スチワード氏案内として本船迄来り、於是同氏と分袂す。 

1 鈴木藤三郎はアメリカを視察して、その企業の規模やその科学力、機械力で自然を圧倒するような有様に一種絶望的な感覚となる。果たして日本はアメリカに追いつけるであろうか。イギリスに渡って視察を続けるなかで、産業革命の発祥の地、イギリスにおいてその産業の発展が、二宮尊徳先生の「小を積んで大を為す」方法で発展させてきたことを学ぶ。そして山本達雄氏と「イギリスの見聞と将来の日本の事業の前途などについて」意見を交わしたりして藤三郎は自信を取りもどして行く。自らの信ずる報徳主義、それは鈴木藤三郎が独自に理解した荒地開拓主義、職務専念主義が米英の先進諸国でも通用するという自負でもあった。そうした見解が、「二宮先生と余が欧米観」(「二宮翁と諸家」所収)にもこう総括されている。
「▲英米の総合的観察 ところが、余が今までの英米観は、なお甚だ狭隘であった。これは英と別々に観察すればこそ、いろいろの迷いも生ずるなれ。試みにこれを総合して観察した時にはドーダ。英国がその漸進主義、その積小成大主義を以て蘊蓄(うんちく)した精力を、米国が胆大気豪なる方針を以て発散しているものと併観すれば、何にも驚くべきほどの事もないではないか。英国は人種的に自ずから米国の基礎を作っている。その人種的性質は即ち小を積んで大を為すので、二宮翁の言を籍(か)って云うと、本を尊(たっと)んでこれを進化さすのである。これ実に天地の化育を賛するの途にして、併せてまた永遠に富強を致す方法である。」






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最終更新日  2015年08月22日 02時49分15秒



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