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2016年07月27日
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カテゴリ:遠州の報徳運動


第三章 小田原報徳社創立と翁の美挙
 この頃、小田原の小島屋忠次郎、竹本屋幸右衛門、百足屋 七の三名は、報徳の教が世に稀な良い法なるを思い、同志を糾合し、たちどころに十九名を得た。
 天保十四年に三名は江戸の小田原藩邸に二宮先生を訪れ理由を告げ仕法を懇請したところ、先生はその志を賞し、仕法を組立、更に善種金百六十金をも下さった。これが小田原報徳社のはじまりである。この小田原社の仕法は社員をして日課縄索(なわない)の業をなさしめ、余裕あるものは加入金をなし、これを社員に無利息貸付を行う仕組になっていた。
 小田原社の創立を見て早くより報徳に関心をもっていた翁の兄久蔵と共にいち早く入社した。しかし翁はいまだ分家独立も出来ず、兄の家業を手伝っている身であったので、金を得る道がなく、他の人々のように加入金が出せなかった。しかし報徳社創立に熱意を持っていた翁は何とかしてこの加入金を得たいものと考え、思いついたのが毎年夏冬の二回兄より受ける仕着(しきせ)のことであった。これをいつもの如く衣服の支給の代りに相当の額の現金を受けて、加入金にあてんと思い、その意を兄に申し出て、快く承諾を得、金二分を受けることができた。この外、二分で求めたという江戸製秘蔵の煙草(たばこ)袋を売って得た六百文を合わせて二分六百文の金こそ、真に貧者の一灯であった。これは創立の年、即ち天保十四年五月の事である。
 同じ年十二月今度は直接必要でない衣服、日用品を全部売却して加入金としようと決心し、これを兄久蔵に告げたところ、兄は翁のたまり身の上を考え、あれやこれやと思いためらい、容易に許さなかった。しかし翁の矢の催促にたまりかね、小島屋忠次郎にはかったところ、「人には分限があり、天の定むるところがある。御身の弟が日常用いない衣服を売って加入金とするのは自己の分限を押し譲るもので、報徳の道にかなった行いであるから、その志に任せることがよかろう」との事であった。
 そこで兄は翁をその夜、一室によんでこれを許し、さらに合羽、 一枚ずつを翁に与えた。母と兄嫁もこれを聞き、この志を助けようとそれぞれ小袖一枚ずつを添えて贈った。翁は自己の意見がかなったばかりかこの母、兄嫁等の肉親の温情に接し、喜びの涙をとめられなかった。そしていよいよ報徳の道に専念する決意を固くするのであった。翁は自分の衣服と兄母等より受けた衣類を合わせて二十四枚を携えて竹本屋幸右衛門方に至り、事情を話し、売却の事を依頼した、たまたま麹屋七兵衛がいあわせて、その志に感心し、早速一枚一枚手に取って見たところ の見積もりであった。そこで翁は幸右衛門に万事を依頼して帰宅した。幸右衛門は他の世話人と相計り、社員の  半兵衛が古着屋をしていたから、これを依頼して競売せしめたところ、七両二分の大金を得る事が出来た。翁はその全額を加入金とした。
 小田原社ではこれらの加入金を入札によりじゅんぐり無利息五ヶ年年賦返還で貸付ける事になっていた。この年、翁はその撰に当り十一両の大金を借り得る事になったが、翁はいまだ独立していないので差当り十一両の大金を借りる必要もなかったので他の人々に譲ろうとした。小田原の世話人もこの翁の美挙を有難く受け、他に譲り、翁にはやがて独立の暁に無利息貸付をなす事を約し、感謝状を贈呈した。この加入金の事、入札の事は実に報徳の分度、推譲の実践であったのである。





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最終更新日  2016年07月27日 00時40分18秒
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