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2016年09月29日
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カテゴリ:イマジン
7月末に発売となったシナリオブック『ゆとりですがなにか』(KADOKAWA/角川マガジンズ)では、演じ手の俳優たちが撮影現場を振り返りながら和やかに語り合う座談会も収録されている。
「『Mother』のような骨太な作品を出している演出家の水田伸生さんともう一度、連続ドラマを作りたいと思ったのが出発点です。テーマは何かと考えて、ゆとり世代を描きたいなというのはすぐ決まりました。ゆとり世代の部下を叱責したら次の日に自殺したというプロットを考えて『これだと連ドラにならないですよね?2時間ドラマでやりませんか』と水田さんに提案したら、『“世代”というのは極めて連ドラ的なテーマだから、じっくりと話をつくっていきましょう』という反応で。だったらと、自殺は人違いだったという展開に変えて、より多面的にゆとり世代を表現できるように人物も増やしていきました」
ゆとり世代は「わけがわからない。だから面白い」
「ゆとり世代」に着目した理由。それは、宮藤自身が感じていた違和感が発端となっている。1970年生まれの46歳の宮藤にとって「ゆとり世代」は一回り以上も違う「わけのわからない世代」だった。
「映画を撮っている時の助監督さんに、ちょっと面白い若者がいまして。通常、助監督は小道具とか撮影に必要なものを早めに集めておいて『監督、これでいかがでしょうか』とお伺いを立てるんですが、彼はいつまで待ってても何も言ってこないんですよ。しびれを切らして僕から『なんか聞くことないの?』ていうと『今日撮るシーンのアレですけど…、コレでいいですか』って。『全然よくないけど、今日だから変更しようにも間に合わないよ。いつからコレ持ち歩いてたのよ?』『3日前からです』『なんで来ないの』『いや、あの、タイミング図るのが、ちょっと…』みたいな(笑)。そういうのが何度か続いたとき、なんか面白いなって。僕らにしたら全然わけわからない行動だし当然叱られたりするんですけど、彼らもきっと何かを考えているんだろうなと。“ゆとりだから”だけで済ませちゃいけないのかもしれないなと思ったんです。不可解な相手を理解したいという個人的な思いが最大の動機でした」
30歳目前となったゆとり世代の俳優陣が主役を張るようになった今、宮藤自身の周辺にも変化を感じるようになった。
「学校教育では平等を重んじられ、社会に出て急に競争にさらされてきたからだと思うんですが、ものすごい危機感を持っていますよね。求められる役割を理解したら信じられない早さで適応しようとするし、貪欲な意志もハッキリ伝える。『宮藤さんの作品に出たいっす!』とか面と向かって言えちゃうんですよね。阿部(サダヲ)さんだっていまだに言ってこないのに…(笑)。怖いものないんだなって、こっちが怖くなるくらい。傷つくことをおそれずにアグレッシブだから、全然ゆとりじゃないなって思いました」
身近なサンプルだけに基づく一方的な表現にならないよう、一般社会に暮らす若者を集めての取材も自ら提案して挑んだ。これまで自らの想像力で勝負してきた宮藤にとっては初の試みだったという。

ドラマにそのまま生かされた、50人以上の取材
「山田太一先生が『ふぞろいの林檎たち』を書く時にしつこく取材したというエピソードがずっと頭にあって、今回はやってみようと。実際に会って話を聞くと、取材って面白いなと思いました。彼らは社会に出る前から“ゆとり世代”と名付けられて、オトナに好き勝手言われてきた事実をどこか冷めた目で客観視しているし、『自分たちのことを“ゆとり”と言われてもピンと来ない』と言う。さらに下の世代に対して言いたいこともある、と。話を聞きながら、僕が若い頃に『最近の若いやつらは』って一括りにされた時の苛立ちや反発心を思い出しました」
直接取材した人数は延べ50人以上。気になった人物数人は複数回アポを取って聞き取りを重ねた。そのうちの一人は、会社を辞めて実家の酒蔵を継いだばかりの若者。「親のやり方は嫌ですよ。でもまだ半人前なんで」と他人事のように話していた彼の目は、半年後には社長のそれに変わっていた。
「酒蔵の二代目が、ゆとり世代のクリエイターが集まって造ったという新酒まで持参して来たり。人はこういうふうに変わっていくんだと、すごく感じるものがありました」。
会社を辞めて実家の酒蔵を継ぐ、という設定はドラマにそのまま活かされた。また、コンサルタントだという別の若者は、自らゆとり世代でありながら「タイプ別ゆとり世代対処法」を論じた。取材で得たインプットはそのままリアリティあふれるセリフとなり、1話放送の頃には8話まで書き終えるほど筆も進んだ。「世間の評判に振り回されたくない」という思いもあったという。
「一人一人じっくり話を聞いていくと、“個”が明確に見えてきた。すると、彼らがちょっとは怖くなくなりましたね。昔から俺らの周りにもいたやつばっかりじゃんって。最終的には“ゆとりだから”ではなくて、いつの時代にも普遍的なキャラクターを描いていたような気がします。そういうものだと思えたからです」


『ふぞろいの林檎たち』を語ろう

山田太一(脚本家)×大山勝美(プロデュース)
週刊現代(2012/5/19号) 今週のディープ・ピープル

〔誰が主役か分からないドラマ〕
(大山)『ふぞろいの林檎たち』というタイトル、
打ち明けますと『3年B組金八先生』の「腐ったミカン」ヒントなんです。

腐ったミカンが一つでもあると、
周りのミカンも腐ってしまうから、すぐ捨てたほうがいい、というあの寓話。

(山田)そうそう。
エリートではなく、落ちこぼれの規格外品に光を当てるようなドラマをやろう
と大山さんと話していて、
四流大学に通う大学生の群像劇にすることまで決まっていた。
それでスタッフで集まってタイトルを考えているときに、
箱から取り除かれてしまう「腐ったミカン」はつらいねって話になって。

(大山)イギリスに留学経験のあるスタッフが、
「向こうで売られている果物はみんなバラバラふぞろいだ」

と発言した。
(山田)それで「ふぞろい」をいただいた
そこにミカンではなく林檎が結びついたわけです。
(大山)ロケ地、大学のキャンパスを使わせてもらえなくて困った。
「四流大学」という設定が問題で、
どこも「うちは四流じゃありませんから」って断る。

(山田)キャスティングも大変でした。
誰が主役だかわからないドラマを書こう、という企画でしたから、
メインの男女8人に優劣がつかないよう、
主役級のスター俳優は使えなかった。

(大山)3人目の女性は美人じゃないほうがいい、と
「自分の容貌に不自由を感じている人」
という条件で募集した(笑)。
そうしたら、新聞記者が面白がって書いたものだから、
ものすごく応募が多かったんです。
(山田)ところが、ちっとも容貌に不自由してそうにない人ばかり来た。
(大山)しかも、女性ってのは面白いもんで、
そういうオーディションでも自分が一番よく写っている写真を送ってくる
んですよね。
こっちの狙いはそうじゃないんだけれど。

(山田)彼らが生き生き演技してくれたせいか、
よく「あのセリフってアドリブじゃないんですか?」と聞かれるんですが、
アドリブは一切なかったですね。
口調も口癖も一言一句台本どおりやってもらいました。
(大山)台本というのは、きちんと流れを計算して書かれている。
山田さんの脚本は特にそうですが、呼吸があるわけです。
アドリブが入るとその呼吸が乱れる。

(山田)それにしても『ふぞろい』が14年もシリーズが続くほど、
長く支持されるとは思っていませんでした。
(大山)たしかに。放送前は大学生モノのドラマは当たらないと言われていましたからね。
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〔あれから30年近くが過ぎて〕
(大山)大学生にニセモノだと思われないように、取材は入念にやりましたね。
(山田)まず早稲田大学を取材した。
でも、あまり面白くなかった。
それで、もうちょっとランクが落ちるとされる大学の学生に話を聞いたら、
ずっと面白かった。
成績がよくてスムーズに受験を乗り切った人ってのは、
学歴に関して感情のひだが少ないでしょう。

(大山)そう。
はじめは、大学に入った人と大学に入れなかった人の差をドラマにしよう、
話していたんですが、調べて見たら大学間格差のほうが大きかった

(山田)取材した学生に、サークルの勧誘ビラを女子大の前で配るかと聞いたら、
「どうせ来てくれないから配らない」
と言うんですよ。「じゃあ、どんな女の子とつき合ってるの?」
と聞くと、看護学校の学生という答えだった。
(大山)看護学校も取材しましたね。
(山田)看護学校には、
看護師を目指して、人のために役立ちたいと思ってがんばっている人と、
看護学校しか入れなかったから仕方なく入ったという人の2種類がいた

(大山)でもこうした取材の甲斐があって、
大学生の視聴者から
「俺たちの本当の気持ちをうまく描いてくれて嬉しかった」
という投書をたくさんいただいたのを覚えています。

(山田)大学生に受け入れられたのには、
BGMに使用したサザンオールスターズの曲も大きかったですよね。
(大山)主題歌に名曲『いとしのエリー』を選んだんだ。
『いとしのエリー』は『ふぞろい』用に作った曲じゃないんですが、
そういうイメージが強いようで、
サザンがコンサートで『いとしのエリー』を演奏すると観客から「ふぞろい!」
とコールが入るらしい。彼らは迷惑だったでしょうね(笑)





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最終更新日  2016年09月29日 00時59分39秒
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