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ちょっと本を作っています

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Nov 29, 2004
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カテゴリ:本を作る
もう一つのblog「個人出版がおもしろい」をまとめていたら前に削除された日記の内容を記載したくなりました。記憶をたどりながら書いたので、少しは表現方法も変わっています。またーっと思われるでしょうが、ぜひ目を通して下さい。


個人の経費で本を作る人が増えてきた

「本にする原稿を探しています」このような広告が目立つ昨今の紙面です。

ぶら下がり広告と呼ばれる電車のポスターでも自費出版を募集しています。

年間出版点数一位を占めてきた講談社も自費出版業者に追い抜かれました。


自費出版花盛りといえば結構ですが、多くの問題を抱えているようです。

その背景には本の売上不振があります。出版業者も変質しました。

読者が買わないから著者からお金を出させようという意図が見え隠れします。


既存の出版社が売れセンの類似書ばかり追いかけることも起因しています。

個性のある本、独創的な本は、どの出版社も取り上げてくれないのです。

一方で、自分なりの思いを込めた本を作りたい人は増加し続けています。


核家族化、地域のつながりの欠如、自己表現欲求の高まりが背景にあります。

出版社が出してくれないなら自分で費用を負担して出版したい人たちです。

そのような人たちに悪乗りしている業者の暗躍が目立ちます。


協力出版という名の甘い罠

「今度、本を出すことになってね」「買ってよね。本屋さんにも並ぶから」

雑誌社を定年退職した友人が報告に来ました。

「凄いですね。どんな内容ですか?」「何部ですか?」「ところで費用は?」


いくつか聞いているうちに、私のほうが青くなってしまいました。

「200頁ぐらいの上製本で1,000部だよ」「ん、費用。約300万ぐらいだね」

「協力出版なんだ。本屋さんで売ってくれるんだよ」


「冗談じゃないですよ。印刷の直接経費だけだと100万程度ですよ」

「自分で書いたんでしょう。ライター使っても300万ならお釣りが来ますよ」

「でも編集者が原稿に惚れ込んでくれてさ。自社企画に推薦してくれたんだ」


「残念ながら選考から外れたけど、ぜひ本にしたいって電話をくれたんだ」

「原稿もよく読み込んでくれていて、丁寧な評価も手紙でくれたしさ」

「そこまで惚れ込まれたんじゃ、よし出版費用は負担しようって決めたんだ」


すべてが仕組まれた罠にしか過ぎない

この人と同じような経緯で「協力出版」に踏み切った人は多いのです。

この出版社の、原稿への美辞麗句を並べた手紙もさんざん見てきました。

最初は自社企画として推薦したいってところも同じです。


最後の選考まで行ったのだけれど、惜しくも外れたって書き方も同じです。

すべてがパターン化して準備されているのです。

マクドナルドの接客マニュアルと同じようなものです。


ここで紹介した人の原稿は、手が付けられていなかったので引き上げました。

120万円で本は出来ました。もちろん本屋さんにも並べました。


経費折半の印象を与える「協力出版」の美名のもとでの客集めです。

実際は、経費のすべてどころか自分たちの利益や宣伝費も含まれています。


懸賞募集の甘い罠

「やりたくないですね。編集者なら、もっとほかの仕事があるでしょう」

ついつい言葉がきつくなってしまった。

私を訪ねてきた自称編集者の女性はア然としている。


「いい企画があるんです。相談に乗って下さい。儲かります」

私の知り合いから紹介を受けたという女性が電話をかけてきた。

今働いている出版社からの独立の相談だ。会社を辞めたいらしい。


「懸賞応募雑誌に記事広告を載せます」

20ほどのテーマを書き連ねた企画書なるものを持ち出した。

『恩師への言葉』『言えなかった母への一言』『天国のあなたへ』などなど。

「最優秀賞は賞金十万円です。そのほかにも幾つか賞を設けます」


懸賞募集の裏側

「今までの実績だと50人ぐらいは応募してきます」

「その内、掲載料を出してもいい人は約30人。一人5万円で150万円です」

「他にも掲載した本を一人平均20冊は買ってくれます。50万円の売上です」


「大した本じゃありませんから、製作費は80万円くらいです」

「宣伝費や最優秀賞の賞金などを払っても一冊につき70万円は残ります」

「毎月2点は出来ます。今もやらされています。でもお給料が安くて……」


「その本、何冊作るんですか? 本屋さんにも並べるのでしょう」

「千冊ってとこですね。ムリして本屋さんに並べる必要もないし」


ここまでくれば詐欺そのものでは

「じゃあ、書いた本人たち以外は読まない。ちょっと酷いんじゃないですか」

「懸賞募集って飴玉で釣って、お金を出させようってことじゃないですか」

「それに懸賞の審査は誰がやるんですか」


「誰でもいいですよ。私でも出来るし、資格があるわけじゃないんだから」

「それにね。一度原稿をまとめると活字にしたいって誰でも思うんです」

「最初はその気がなくても、結構みんなお金を出すんですよ」


その時彼女の働いていた会社は、懸賞募集専門の出版社だったようだ。

社長だけが贅沢な生活をしていると口を尖らせて話していた。

彼女が帰った後、渡された名刺はゴミ箱へ投げ捨てた。

もう二度と会うこともないだろう。



楽天日記に掲載した内容を整理しています。 → 個人出版がおもしろい

38万円で出来る本作り -自費出版・協力出版から個人出版へ-
2005年1月20日発行予定 予価:980円 発売元:太陽出版






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Last updated  Dec 12, 2004 04:28:22 AM
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マリア4415@ Re:会おうね。関西の人、中国地方の人(08/05) はじめまして。突然お邪魔して申し訳ない…
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38万円で本ができた


第一章 もっと手軽に自分の本を作れたら


第二章 協力出版と懸賞募集の甘い罠


第三章 自分の本を作りたい理由を考えよう


第四章 本にする原稿をまとめよう


第五章 自分の本を売ってみよう


第六章 安く本を作る方法を考えよう


第七章 物書き稼業と編集者稼業の裏表


第八章 昨今の出版業界のお寒い事情


第九章 いまどきの本屋さんと物流事情


第十章 出版業界こぼれ話


【出版後記】


負けてたまるか


その1


その2


その3


その4


その5


その6


舞台裏からの独白


すぐそこの田舎暮らし


第一章 先住民/黒猫の『タンゴ』


第二章 山里「コンタ」発見


第三章 知らないってことは


第四章 竹の子で仲間を釣り上げる


第五章 森の天使の小さな落し物


第六章 小悪魔『チビクロ』参上


第七章 チビクロ砦とチビクロ王国


第八章 まったくもう、田舎暮しってヤツは


第九章 チビクロ、チビコゲへ変身中


第十章 隠れビーチで日向ぼっこ


第十一章 チビクロ、何処へ行こうか


第十二章 何で、お前まで行ってしまうの


第十三章 ムジナに見送られ、街へ帰る


エピローグ みんなで遊ぼうよ


両国・千夜一夜物語


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後編


はみ出し人生・出版屋稼業


第一話 私の出版屋事始め


第二話 ちょっぴり生意気だった理由


第三話 出版企画会議の話


第四話 土木から資格試験へ


第五話 工学書転じて実用書に 


第六話 なぜかスキー書


第七話 退職、そして創業


第八話 行け行けドンドンの始まり


第九話 原稿は役員専用車で届く


第十話 スパイにされちゃった


第十一話 ただ酒、ただ飯、お土産は仕事


第十二話 閃いた


第十三話 出版から映像へ


第十四話 ヒットチャートに載っかった


第十五話 思えば、いろいろやったもんだ


身も心も捧げた女は飽きられる


プロローグ


第一章 身も心も捧げた女は飽きられる


第二章 したたか女はイイ女


第三章 女の勘違い


第四章 私の出会ったイイ女列伝


エピローグ


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第一話 なぜナタマメ茶を作ったのか?


第二話 やっぱり巻き込まれてしまった


編集後記


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