痙攣発作についてすーさんの体験記 私の弟は、幼い頃に遭った事故が元で知的しょうがい者(児)になりました。 身体にも多少マヒがあったのですが、事故後6年も経ってから、 新たにてんかん発作にも悩まされるようになりました。 発作は頻繁に起こり、特に夕食時に起こる事が多かったです。 舌を噛むのを防ぐため、割り箸にガーゼを巻いたものを準備して、食事をしたものです。 (この行為については、今はかえって危険といわれています) 発作が起こると、食卓は修羅場です。 時には箸が間に合わなくて、母や叔父が口の中に指を突っ込み、 指を食い千切られそうになった事もありました。 そしてそれは私にとって、見慣れた光景になっていました。 年齢が進むに連れ回数は減ったものの、 発作の内容が激しいものになって行きました。 発作が起これば、それを押さえるために薬が増えます。 4~5年前には、毎食後片手にてんこ盛りになるほどの薬を飲んでいました。 発作の回数が減っても、あらたな弊害が起こりました。 言語しょうがい・幻聴・パニック。 かかりつけの病院に相談しても、『薬は減らされない。』の一点張り。 ついには、私が動脈瘤を診断して頂いた脳外科や、 父が怪我をした際お世話になった精神科で診て頂きました。 どちらのDr.も、『今までこんなに薬を飲んでいる患者を診た事が無い。』 『このままだと、近い将来廃人になるよ。』と仰いました。 そこで我が家では、ある決心をしました。 以前から耳にしていた、静岡にある国立てんかんセンターを受診する事です。 両先生にこの話をすると、口を揃えて『すぐに行きなさい。』と仰いました。 問題は、弟の主治医です。 私がネットで探し出したという事にして、セカンドオピニオンを相談した所、 案の定色よい返事は頂けませんでした。 『何でそんな所に行かないといけないの。』 『検査なら、うちの母校でも出来るよ。』 と渋い表情で話す主治医に、 『ここで診て頂いてもダメなら、諦めがつくので。』と懇願し、 やっとの思いで紹介状を書いて頂きました。 実は、すでにてんかんセンターには予約を入れていて、 センターからは『もし今の先生が資料とか下さらない場合は、 真っ直ぐこちらにいらして頂いて構いませんから。』という返事を頂いていました。 何でも、よくあるパターンだそうで(苦笑)。 秋に診察と検査をして頂いたあと、長期入院をして薬を減らす作業に入る事になりました。 てんかんセンターのDr.も、弟の薬に量を見て『ありえない。』と驚かれたそうです。 最初の入院は、3ヶ月ほどだったでしょうか。 いろんな成分を週単位で増減して、様子を見るといった日々が続きました。 その後2度ほど入院して、今弟が飲んでいる薬は、朝夕1錠のみです。 もちろん、パニックや幻聴といった症状も収まり、 永年悩まされていた言語しょうがい(激しい吃音や言葉そのものが出ない症状)も、ウソのように無くなりました。 今は年に3回ほど、静岡まで通院しています。 発作もしばらく起きていません。 別人のようになった弟に、通所施設の職員さんはもちろんの事、 利用者の親御さんも驚き、実際うちからの紹介でてんかんセンターを受診している方もいらしゃいます。 静岡には、良い病院が多いようです。 そのてんかんセンターには、小児病院が併設されていて、 こちらの小児癌病棟が有名らしく、よくTVでも取り上げられています。 温暖な気候が、治療にも大きく影響するのかもしれません。 何の病気もですが、特にデリケートな病気の場合、 詳しい検査もせず出された薬には、用心しないといけないと思います。 病気を押さえるために飲んでいる筈の薬が、 逆に身体を蝕む場合があるという事を、 私たち患者も肝に命じなければいけないのではないでしょうか。 追記 国立静岡てんかんセンター では、Dr.・看護師・ソーシャルワーカーが3人1組になって、1人の患者のケアを行っています。 世界的にも有名な病院であり、脳波にしても日常生活をしながら48時間というロングタイムで検査を行うなど、大変丁寧な診察でも知られています。 国立静岡てんかんセンターは こちら 目次へ ジャンル別一覧
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