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インド系IT企業で働くSEの日記

インド系IT企業で働くSEの日記

就職活動記

就職活動記

 サティヤム・コンピュータ・サービスと言うインド系SIerへの入社を決めました。最終的な結果としては満足していますが、ここに至るまでの過程で随分 と苦労し、悩みました。その辺りのことをまとめてみます。
 帰国後の再就職を気にかけているこれからの隊員にとって参考となるべく、できるだけ客観的な記述を心がけますが、個々の職種、年齢、経験、志向などによ り、状況が大きく変わるであろうことは、ご留意下さい。また、過去に転職活動の経験がある方などにとっては、当たり前なことの羅列になってしまうかもしれ ませんが、ご容赦下さい。

1) 情報収集

 僕は早い段階で企業への応募を始め、それと並行して情報収集を行っていましたが、このやり方は失敗でした。まずは情報収集をきっちりしてから、活動を始 めた方が良かったように思います。情報収集を進めるにつれ、過去の経験の棚卸しや将来やりたいことの明確化なども自然とできてくるはずです。
 過去(経験したこと、考えたこと)、現在(できること、考えていること)、将来(やりたいこと)、この3つに筋が通っていないまま手当たり次第に応募し ても、選考で落とされることが多いですし、応募した企業に関心が持てないことも多々あります。私も活動前半はそのようにうまくいかないことが続き悩んだの ですが、情報収集や過去の棚卸し、将来やりたいことの明確化ができてからは、劇的にうまくいくようになりました。
 
a) 転職サイト

 IT業界は非公開の求人が多いため、転職サイトに登録して自分の履歴書や経歴書を公開した上で、企業やエージェントとコンタクトを始める、ということが 就職活動の最初のステップになるかと思います。
 僕は以下の転職サイトに登録しました。転職サイトに関しては、手当たり次第に登録しても構わないと思います。
  • リクナビNEXT
  • マイナビ
  • 日経キャリアNEXT
  • @Type
  • エンジャパン
 リクナビとマイナビでは、キャリアアドバイザから連絡が来て、会って話をすることができます。
 日経キャリアNETでは、中小エージェントからのスカウトメールが多く来ますので、そこからエージェントを選ぶことができます。
 @Typeとエンジャパンでは、比較的多くの企業からプライベートオファーのスカウトメールが来ます。

 スカウトメールにはオープンオファーとプライベートオファーの2種類があります。
 オープンオファーは例えば「Java経験3年以上」といった検索条件に引っ掛かった求職者に対して、機械的に送っているだけなので、必ずしも企業側が個 々の求職者に関心を持っているとは言えません。
 一方、プライベートオファーは個々の求職者の履歴書・経歴書を読んだ上で個別に送っているものなので、個々の求職者に十分関心を持っていると言えます。 ただし、僕のように元請企業にこだわっている者などにとっては、関心を持てる企業からのプライベートオファーは少ないかもしれません。

b) エージェント

 エージェント(人材紹介会社)は求職者に求人を紹介し、最終的に求職者が入社を決めた際には、該当企業から年収の何割かを報酬としてもらう、というビジ ネスモデルで成り立っています。私は4社のエージェントにお世話になりまりましたが、うち2社は話を聞いてもらっただけ、企業への応募は主にリクルート・ エージェントとHays Japanの2社にお願いしました。
 エージェントを利用する場合のメリットとデメリットは以下の通りです。

 【メリット】
  • 求職者自身が気付いていない志向性を読み取り、隠れた優良企業などを紹介してくれる。
  • 面接日時の調整や年俸の交渉などを求職者に代わってやってくれ、手間がはぶける。
 【デメリット】
  • エージェントからの紹介企業とその他の企業で迷っている場合、エージェントから中立的な意見を期待することができない。
 リクルートや毎日など、大手のエージェントは案件を豊富に持っています。自分のやりたいことがはっきりしない場合、まずは大手のエージェントで相談に 乗ってもらうのが良いかもしれません。
 中小のエージェントは玉石混交です。特定分野に強い優良エージェントもあれば、そうでないエージェントもあります。利用したHays Japanは金融系と外資系に強く、その分野に関心のある求職者にはお勧めできます。一方で、一部のエージェントから送られてくるメールでの文章力の低さ には、度々驚かされました。
 私が入社を決めたサティヤム社は、エージェントを通さずに直接応募した企業です。応募したい企業が決まっている場合は、直接応募しても良いかもしれませ ん。

c) 会社説明会

 その企業に関心があるかどうかに関わらず、何社かの会社説明会には出た方が良いと思います。日本の企業で働く感覚を思い出せますし、色々と考えるきっか けにもなります。
 私は4社の会社説明会に出ました。私が興味を持てたかどうかは別ですが、中途採用で会社説明会を実施する企業は、自社に自信のある優良企業が多いように 感じました。

d) その他

 家族、同業種の友人・知人、異業種の友人・知人など、できるだけ多くと会って話をする機会を持った方が良いでしょう。エージェントや企業の人事の方々だ けでは、情報に偏りがあります。

2) 選考

 私は25社前後の企業(途中辞退も含む)に応募し、最終的に4社から内々定を頂きました。
 以下、各選考過程についてまとめたいと思います。

a) 書類選考

 通過率は5~6割程度で、事前にエージェントから聞いていた通りでした。IT業界はまだ人手不足感が強く、他の業界に比べ書類選考の通過率は高めだそう です。未経験業界にキャリアチェンジする場合は、年齢にもよりますが、通過率は2割程度となるそうです。
 やはり過去の業務経歴が最も重要です。プロジェクトの内容・規模、対象業界、担当業務、使用技術(プログラミング言語、OS、データベース、ミドルウェ アなど)がよく見られるところですので、しっかり記述する必要があります。ただし、読みにくくなってもいけませんので、簡潔にまとめる必要もあります。
 元請案件で要件定義から関わった経験があるか、リーダーやマネージャ経験があるか、といったところもよく見られます。これらの経験があるのであれば、漏らさず書いておいた方が良いでしょう。

b) 筆記試験・適性検査

 3~4割の企業では筆記試験や適性検査(性格診断テスト)がありました。
 筆記試験は知識を問うものでなく、思考力を問うものですので、事前対策のしようがありません。IT知識や英語力を問うてくる場合もありますが、これも直 前に頑張ったところで高が知れてるでしょう。筆記で落とされたら、すっぱり諦めるしかありません。
 適性検査では1社、「消極的な性格」という結果が出て落とされました。一方で、内定をもらった1社では、「適性検査の結果が良かった」と高評価を得まし た。就職活動がうまくいかずに悩んでいる頃と、うまくいき出した頃とでは、自分に対する自信が違い、そのため適性検査の結果も随分と違ったのではないかと 思います。ペーパーで性格を判断するってのも、いかがなものでしょうか。

c) 面接

 面接の通過率も、全体としては5~6割だったと思います。ただ、活動の前半と後半とでは、大きく通過率が違いますが。
 面接ではまず、「過去」の経歴については細かく聞かれます。なぜIT業界を選んだか、なぜ協力隊に参加したか、一番の成功・失敗は、そのとき何を思った か、などなど。次に「現在」、強み・弱みは何か、どんな企業に応募しているのか。そして「将来」、何がしたいか。
 何度も述べますが、自分の過去・現在・未来に筋が通ってないと、面接をクリアするのは難しくなります。逆に筋が通っていれば、後は意欲を見せられるかど うかだけだと思います。
 こちらからも質問した方が良いのは当然ですが、その会社に関心があれば質問はいくらでも出てくるものです。逆に質問が出てこないということはその会社に あまり関心がないということですから、不採用とされても気にすることはないでしょう。

 インド系企業は5社に応募し、1社内定、2社最終面接落ち、1社書類選考落ち、1社辞退、という結果でした。インド系企業の面接はかなり異色の形式だっ た感があります。
 まず、1度は英語面接があります。オフショアとのやり取り、社内でのやり取りで英語は必須です。顧客が外資系の場合は、顧客とのやり取りでも英語を使う 場面があります。どの程度の英語力が必要とされるかははっきりしませんが、某社の求人票ではT0EIC800以上とされていました。ただ、若手の場合、今 は話せなくともポテンシャルがあれば良い、というのが各社共通なところのようです。
 電話面接が多いこともインド系特有です。わざわざ出向く必要のないのは楽ですが、やはり電話だと互いに伝えにくいことがあるのは難しいところです。特 に、電話での英語面接はしんどいです。
 そして、内々定の前に、配属予定のプロジェクトが提示されることが普通です。会社として採用しているというよりも、プロジェクト毎に採用を行っていると いう印象を受けます。会社にとってそれが良いか悪いか分かりませんが、求職者にとっては入社してすぐの仕事がイメージしやすいというメリットがあります。
 面接では、過去や将来よりも、現在に関して重点的に聞かれます。「テーブルの外部結合はどのような場面で使用するか」といった技術的なことから、「進行 中のプロジェクトに途中から参加したとして、どのようにキャッチアップするか」といったことまで、現在の能力や仕事に対する姿勢を見られます。プロジェク ト毎の採用ですから、プロジェクトに合うかどうか具体的に見ているのでしょう。

3) 傾向と対策

 IT企業と一口に言っても、様々な企業があります。以下に、種別毎の傾向と対策を述べてみます。

a) 日系大手

 大手に限らず、日本的な色の濃い企業は、協力隊のような回り道をした者にとって、採用のハードルが高いように感じます。
 私は都銀の情シスと銀行系SIerで3社応募しましたが、見事に書類選考で全滅しました。「直近では技術者として仕事はされていなかったようですの で・・・」と言われたことが多かったように思います。

b) 外資系

 マイクロソフト、オラクル、IBMなど、外資系大手の日本法人は、かなり日本にローカライズされて海外経験が生かせる場が少ないでしょうし、そもそも採 用のハードルが高いでしょう。僕は応募していません。
 外資系でも中小パッケージベンダなどは、本国とのやり取りが必要なため、一定以上の英語力が必須とされているところもあります。帰国隊員にとって狙い目 かもしれません。
 インド系企業については、他で述べているのでここでは省略します。

c) コンサルティングファーム

 書類選考の通過率は5割程度で、面接は協力隊経験に関わりなく実力次第といったところです。私は1社だけ面接を受けて落ちましたが、残りは辞退しまし た。コンサルティングファームはライフワークバランスを保つのが難しそうです。

d) ベンチャー

 ここでは、規模は小さくとも特定分野で強みを発揮している企業や独自な事業展開をしている企業などをベンチャーとし、大手SIerの下請けを主な事業と している中小ソフトハウスとは区分を別にしました。
 書類選考は通りやすいです。ですが、だからと言って必ずしも採用のハードルが低いという訳でなく、優秀な人を集めているような企業でも、協力隊帰りだか らという理由だけで落とすことはしない感じです。その辺りがベンチャー気質といったところでしょうか。
 ベンチャーは玉石混交ですので、十分に情報収集して企業を見極める必要があります。隠れた優良企業はたくさんあると思います。ブラック企業は絶対に避け ましょう。

e) 中小ソフトハウス

 これらの下請け企業なくして日本のIT業界は成り立ちませんし、実際に良い企業もたくさんあるでしょうが、私は関心が持てませんでした。人手不足の企業 が多いようで、これらの企業からのスカウトメールは頻繁に来ます。

4) 希望年収

 サティヤム社から提示された年収は、「協力隊に参加する前の最終年収+20万」でした。
 当初は「協力隊に参加しないで日本で働き続けていたらこれくらいの年収かな」という想定で「最終年収+70万」を希望年収としていたのですが、エージェ ントの方からのアドバイスにより、「最終年収と同額」に下方修正しました。協力隊はキャリアとして認められにくいということですね。+20万を頂けたのは 幸運だったように思います。

5) 総括

 やはり、帰国隊員の就職活動というのは楽なものではありません。協力隊経験に対する評価は、企業によって差がありますが、プラスに評価されることは少な いでしょう。協力隊経験をアピールするよりも、前職での職歴を中心に語り、協力隊経験はプラスアルファ程度に語れればベストでしょう。
 外資系など英語力を見るところでは、TOEICで最低700点は取っていないと、アピールしづらいと思います。また、英語以外の言語については、IT業 界でアピールすることは難しいでしょう。中国語やベトナム語はオフショア先とのやり取りで役立つ場面があるかもしれませんが、かなり限定的です。

 ただ、就職活動が大変だからと言って、任期中に必死こいて情報収集などする必要もないかと僕は思います。積立金もあることですし、就職活動は帰国してか ら腰を落ち着けて頑張れば良いことで、任期中は任国でしかできないことに注力すべきです。2年間の活動で完全燃焼できたという自信がなければ、帰国後の就 職活動にも自信を持って臨めません。

 企業やエージェントから「2年間のブランクがあるようですが・・・」と度々言われました。もちろん企業側から見て、仕事に直結しない経験であることは十 分に理解できるのですが、自分なりの思いを持って活動してきた2年間です。ブランク(空白)なんて言われたくありません。自分のやってきた活動に自信があ るのなら、何を言われようと、敢えて反論する必要はないとしても内心は胸を張っていて良いと僕は思います。

 結論として、協力隊活動は評価されることが少ないため、そこを強くアピールするのはマイナス。だからといって2年間の活動に自信があるのなら、下手(し たて)に出る必要もない。そんなところでしょうか。


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