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カテゴリ:シナリオ
子:アジサイの葉に大きなカタツムリがいたよ。そばにナメクジもいた。 カタツムリの殻を取ったらナメクジになるのかな? 父:おいおい!カタツムリとナメクジは別の生き物だよ。カタツムリの殻 は、体からしみだした石灰分で作られているんだ。 殻は体にくっついているから、無理に体から引きはそうとすると、カ タツムリは死んじゃうよ。 これは、アサリやハマグリの殻を無理にこじ開けて、肉を引き出すと 死んでしまうのと同じことなんだよ。 子:カタツムリは殻を取ったらナメクジに似ているね。仲間なのかな? 父:そうなんだ!カタツムリもナメクジも同じ仲間で、先祖は海にいた 貝なんだ。それが陸に上がってきてカタツムリになり、そこから一部 がナメクジに進化したんだ。 子:本当に仲間なんだ!そう言えば、クジラは海から陸に上がった動物が 再び海に戻ったと学校で教えてもらったな。貝が陸に上がってもおか しくないね。 父:海にいた生き物がどうして陸に上がれるようになったのか? その背景を説明してあげようね。 子:うん!面白そうだね。 父:一言で言うと「ストロマトライトという微生物が酸素のある大気をつく った」んだよ。 もう少し詳しく話すと、地球誕生のころの地球には大気中の酸素はとて も少なくて、窒素と炭酸ガスがほとんどを占めていたんだ。 そして10数億年前に「ストロマトライトという光合成バクテリア」が 現われて、二酸化炭素とカルシウムを合成して酸素を放出しはじめたんだ。 このストロマトライトは世界中に広がって、空気中の酸素濃度は徐々に上 がっていったんだ。 こうして4億年前にはオゾン層ができて、太陽から地表に降り注ぐ紫外線が 抑えられたんだね。 この結果、生き物が海から陸に上がれる条件ができたんだ。 その頃に、貝も陸に上がってカタツムリになったと言われているよ。 だからカタツムリは陸に上がってきた貝で、巻き貝の仲間なんだ。 そしてもちろん、この殻が退化したのがナメクジというわけさ。 実はイカやタコも貝類の仲間で昔は殻を持っていたそうだよ。 子:それは驚いた!でもどうしてナメクジは殻を退化させたの? 父:それは餌のある場所に適応したからだね。カタツムリは殻を持っているから、 少し乾燥した場所でも生きていける。 でも、ナメクジは常に湿気のある場所で生きることを選んだので、乾燥対策に 必要な殻がいらなくなったんだと思うよ。 子:カタツムリは陸に上がってから形は変化したの? 父:カタツムリは外観の形態をほとんど変えずに、様々な地域で順応して1億年以上 生き延びているんだ。 カタツムリは活動範囲が限られているから、地球の環境変化を調べる指標生物 としても重要な役割を担っているよ。 子:「ストロマトライト」って今でも見られるの? 父:見られるよ!世界遺産になっている西オーストラリアのシャークベイが有名だね。 ここでは今でも酸素を作り続けているよ。 一つ注意しておくよ!ナメクジは寄生虫を媒介する性質があるから、手で直接 触らないでね。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2012.05.31 22:58:35
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