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2016.07.11
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カテゴリ:シナリオ
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動物村の仲良し3人組が広場で遊んでいると、大きな笹を引きずりながら長老がやって来ました。
長老の背中には何枚もの大きな葉っぱを抱え込んだフクロウ博士が乗っています。

長老 : みんな集まって、フクロウ博士の話を聞いてくれ。
ミミ : フクロウ博士、お久し振りです!
博士 : みんな元気かい?長老から人間の習慣の中で、ここの子供たちにもできることはない
     かと聞かれたので、七夕飾りの話をしたんだ。そしたら、みんなに直接話して欲しい
     というので、ついでに七夕飾りを作るのに必要な材料を集めて持って来たよ。
ポン吉: 七夕飾りって何?笹と大きな葉っぱで何を作るの?

フクロウ博士の話では、この時期になると人間たちは家の前に笹を立て、子供たちは自分
の願い事を書いた短冊と言うものを、その枝先に結びつけるのだそうです。これを七夕飾り
と呼び、星がその願い事を叶えてくれると子供たちが信じているらしいのです。

ミミ : この葉っぱにお願い事を書いて、結び付ければいいのね。人間たちはどんなお願い事
     を短冊に書くのかしら?
博士 : 例えばだな、字が上手になりますようにとか、成績が良くなりますように・・・
     なんていうのが多かったな。編み物が上手になりますようにというのもあったぞ。
コン太: そんなの面白くないよ。俺たちにとって、そんなことは重要じゃないからな。それよ
     りも、俺は美味しい物をお腹いっぱい食べたいよ。
ポン吉: 僕も同じだ。僕はものぐさだから、探しに行かないで食べ物が手に入ったらいいな。
ミミ : 本当、本当。食べ物探しは大変だからね。
長老 : ハッハッハ。やはり最初に思いつくのは食べ物のことか。だけど、食べ物以外のこと
     を書いた方がいいと思うぞ。ワシとフクロウ博士は短冊に書いた願い事が本当に叶
     うのかどうかを知りたいと思っておる。だから、君たちに書いてもらって、確かめ
     てみたいんじゃよ。

3人組は葉っぱを受け取ると、それぞれ別々の方向を向いて考え始めました。

長老 : みんな、そろそろ願い事を書けたかな?
ミミ : 私は自分の部屋が欲しい、もっと体が白くなりますように、って書いた。
コン太: 俺、早く走れるようになりたい、高い跳び箱が飛べるようになりたいって書いた。
ポン吉: 思いつかなかったから、鳥になって空から僕の家を見たいって書いちゃった。
ミミ : わあ~、素敵。私も鳥のように飛んでみたいわ。
コン太: 俺だって飛んでみたいよ。ねえ、みんなで葉っぱを繋ぎ合わせて、大きな一枚の短冊
     を作って、「飛びたい」って書こうよ。賛成してくれるよね。
博士 : 待て、待て、お前たちの体には羽根が付いていないから飛べないんだよ。羽根がない
     のに飛びたいという願いを叶える事は誰にもできやしない。無理な話だ。
長老 : まあまあ、そう決め付けないで、ここは子供たちに任せてみたらどうだ。

3人組は葉っぱと葉っぱを笹の細い枝を使って編むように繋ぎ合わせて、大きな短冊を作りまし
た。「鳥のように飛びたい」と書いて、星からよ~く見えるように笹にくくり付けて広場に立
てた3人組は七夕飾りを囲んで、夜になるのを待ったのです。

ミミ : 星がいっぱい出てきたわ。どの星が私たちの願いを叶えてくれるのかしら?
コン太: 星がここに降りてくるわけじゃないよな。
ポン吉: じゃ~、一体、どうやってこの短冊を読むんだよ。

3人組は七夕飾りのまわりに寝ころんで星空を眺めていました。すると突然、ヒュ~ッという音
と共に強風が吹き、七夕飾りが吹き飛びそうになりました。慌てた3人組はとっさに七夕飾りに
しがみついたのですが、強い風に吹き上げられ、なんと、七夕飾りと一緒にフワリと浮き上がり、
そのまま風に乗って動物村の広場をゆっくりと旋回し始めたのです。

ポン吉: 飛んでる、飛んでるよ!鳥になったみたいだ。アッ、あれは僕の家じゃないか?
コン太: 俺たち、空を飛んでいるぞ。夢みたいだ。
ミミ : 本当だ!スゴイ、スゴイ。

旋回しているうちに、七夕飾りから葉っぱが一枚、また一枚と剥がれて落下し始めました。落下
する葉っぱの数がどんどん増えていきます。すると急激に七夕飾りと、それにしがみついている
3人組は急降下して、とうとう広場の真ん中にドスンと落ちてしまいました。

ミミ : イタッ!みんな大丈夫?
コン太: イテ~、お尻の皮がむけそうだ。
ポン吉: 僕だって痛いよ~。ア~ァ、繋ぎ合わせた葉っぱさえバラバラにならなければ、もっ
     と長く空中を飛んでいられたのにな~。ザンネン。
ミミ : 今度はもっと丈夫なもので短冊を作りましょうね。
コン太: そのためには、壊れない短冊を上手に編めますようにと、お願いを書くのが先だぞ。
     人間たちはそこのことを分かっているから、編み物が上手になりたいなんて書くん
     だな、きっと。
ミミ : 人間の子供も空を飛びたがっているのかな?

3人組からは見えないところで、長老とフクロウ博士が様子をうかがっていました。

長老 : ワシにはあの子たちが七夕飾りと一緒に空中に舞い上がり、空を飛んだように見えた
     が、見間違いかな?
博士 : 短冊に書かれた願い事が本当に叶ったのだろうか?羽根のない動物たちが浮き上がっ
     て鳥のように空を飛ぶなんてありえない。ワシは博士じゃ。理屈で説明できないこと
     は絶対に信じないぞ。ワシは今、夢を見ているに違いない。
長老 : しかしな、あの3人組には我々の理解を超えた不思議な能力が備わっておるような気が
     するんじゃ。これまでの経験から、ワシは今見たことを信じるぞ。

動物村の七夕飾りに不思議な力を与えたのは、夜空のお星様だったのでしょうか?それとも、長
老が言うように、3人組に備わった潜在能力なのでしょうか?動物村の仲良し3人組は、これから
も長老やフクロウ博士を驚かせ続けるのかもしれませんね。





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最終更新日  2016.07.11 08:04:41
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