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カテゴリ:シナリオ
![]() 首都圏に住んでいる高校の同級生3人が喜寿を迎えたことを契機に始めた街歩き。歴史探訪や 文学散歩を楽しんでいます。四ツ谷駅に集合した3人は赤坂離宮に向かいました。 ヒデ:赤坂離宮は今年から一般公開されたので、是非見学したいと思って企画したんだ。 ヤス:僕もまだ内部を見ていないから楽しみだ。 ノブ:明治42年に紀州徳川家江戸中屋敷跡に東宮御所として建てられたもので、平成21年に 明治以降の建造物としては最初の国宝に指定されている。 ヒデ:さすがに、よく勉強してきているな。日本における唯一のネオ・バロック様式の建築で 100年は経過している。ということは、関東大震災にも耐えているんだね。まるでヨー ロッパの宮殿のような荘厳な外観は圧巻だな。 ヤス:そのネオ・バロック様式とやらについて説明してくれる? ヒデ:辞典では、16世紀後半から盛んになった様式で、建築前から建築家と芸術家がプロジェ クトを組んで建造するやり方で、結果として、ど派手な外装の造りと彫刻や絵画を含 めた豪華な装飾品そして曲線や楕円が多く用いられた内部構造などで建物の内外共に 豪華で複雑な構造になっていると書かれていた。僕に言わせれば、バロック様式とは、 権威と財力を見せつけるために贅を尽くして造った建造物ということになる。ネオと はお金がかかり過ぎることで一度すたれたバロック様式が19世紀のナポレオン3世時代 に復活された復刻版と理解すればいいと思う。明治政府は国家の威信を最もよく表現 する建築様式としてこのネオ・バロック様式の建造物を採用したのだろうね。 ノブ:外国に日本の国力を見せつけるために造ったということだな。俺たちにもこんなものが 造れるんだという明治政府の気持ちが凝縮された建築物とも言えるな。 ヤス:なるほど、見せるための建物だからこの離宮はどこから撮影しても絵になるんだな。 赤坂離宮を正面から見るだけなら無料で見られますが、建物の内部を見学するには西門より 1000円を払って入ります。和風別館の見学は事前の申し込みが必要で、500円の追加になり ます。 ヒデ:公開されている内部を見物しよう。最初は「彩鸞(さいらん)の間」で、左右の大きな 鏡の上にある「鸞」と呼ばれる架空の鳥が名前の由来だ。来賓の控えの間として 又、 調印式などにも使われているそうだ。 ヤス:「鸞(らん)」という鳥は聞いたことがないんだけど・・・ ノブ:この字は親鸞の鸞だね。鳥の名前だったんだ。今、係りの人が見物人の質問に鳳凰の子 どもと言われていると説明しているのが聞こえたぞ。 ヒデ:この部屋の特徴は何と言っても天井と壁の装飾と10枚の大きな鏡だね。控えの間という ことだから、次は、どんな装飾の部屋に案内されるのか期待が膨らむよ。次の部屋は 「花鳥の間」か。名前は天井に描かれた36枚の絵や、欄間に張られたゴブラン織風綴織、 壁面に飾られた「七宝花鳥図三十額」に由来しているそうだ。公式晩餐会が開かれる大 食堂だね。 ヤス:先ほど建築様式の説明を受けたから、晩餐会の会場であるこの部屋が豪華であることは 分かる。腰壁の茶褐色の板張りが重厚な雰囲気を醸し出しているな。国威発揚の部屋と して最も力を入れた部屋なのだろうね。それにしても七宝の花鳥風月の絵柄が日本的で 洋館にそぐわない感じを受けるけどな。 ノブ:ゴブラン織風綴織って、どんなもの? ヒデ:フランスのゴブラン家の工房で織られた物で、自由で絵画的な模様を織り出すのが特色 だそうだ。では次に行こう。ここの空間は正面玄関から直接2階へ上がる中央階段と2階 のホールだ。床はイタリア産大理石、壁面はフランス産の大理石が使われている。正面 玄関から続く階段に赤いじゅうたんが敷き詰められているのが印象的だね。 ノブ:次は「朝日の間」だね。ここはサロンとして使われ、ここで表敬訪問や首脳会談が行な われたんだな。要人たちの写真があるからよく理解できるよ。 ヒデ:天井に書かれた女神の壁画が名前の由来で、周囲16本の円柱のノルウェー産の大理石と 壁の金華山織の織物が特徴だ。次は最後になるけど「羽衣の間」だ。ここの名前も天井 の絵に由来している。オーケストラ・ボックスがあるから舞踏会場として設計されたよ うだけど、主にレセプションや会議場として使用されているらしいよ。 ノブ:明治の鹿鳴館時代はこんな部屋で踊っていたんだろうな。特に、この部屋のシャンデリ アは豪華で大きいね。地震で落ちなきゃいいけど。 ヒデ:公開されている部屋をひととおり見たけど、どうだった?各部屋に利用した要人たちの 写真パネルが置いてあったから理解しやすかったね。 ヤス:各部屋に説明してくれる係員がいたけど、見学者が多くて質問できなかったよ。 ノブ:内部が写真撮影禁止だったのが残念だ。でも、公開されている部屋は天井が高くて、す べてが煌びやかで美しかったね。ヨーロッパの建物はもっと豪華なんだろうな。 内部参観を終えた3人は南側の主庭にまわり、大きな噴水と南側の建造物の装飾を堪能した。 ヒデ:この大きな噴水も国宝だよ。噴水は1909年建造されたもので、あの像はグリフィンと言 って、ワシの翼と上半身・ライオンの下半身を持つ伝説の生き物だそうだ。 ノブ:大きな噴水だね。これまで見た中で一番大きいかもしれないな。白い砂利もいい。 ヤス:噴水と建物がマッチしていて絵になるよ。みんなで写真を撮ろう。 その後、正面の建物全景を見わたせる前庭へ向かいました。 ヒデ:前庭に着たぞ。これがネオ・ゴシック様式の迎賓館赤坂離宮の正面だ。 ヤス:大きくてどんなに後ろに下がっても建物の全景が写真に納まらないよ。 ヒデ:緑青の屋根、花崗岩の白い外壁、ドアや窓枠の装飾類などが調和のとれた美しさを醸し 出しているね。外装に使われている花崗岩は全て茨城県産なんだって。 ヤス:正面玄関の屋根に兜・鎧で武装した鎧武者が一対置かれている。何とも日本的なものが 洋館に乗っているから目立つね。和風別館を見学できなかったのがちょっと残念。 ノブ:今日はいいものを見させてもらったよ。ちょっぴり鹿鳴館時代に触れた気がした。 3人はそれぞれどんな思いで迎賓館赤坂離宮を後にしたのでしょうか?この時期なら予約しな くとも、午後に行けば比較的空いていて、係員の人も質問に答えてくれますので、ぜひお出 かけください。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2016.09.05 14:24:00
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