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カテゴリ:シナリオ
牡蠣というと冬のイメージが強いですが、それは「まがき」と呼ばれる種類の話。今回紹介する「いわがき」は6~8月中旬の夏が旬で「夏がき」とも呼ばれて種類が違います。いわがきは全国で漁獲されますが、茨城県鹿島灘沖の「いわがき」は、大人の手の平には収まりきらないサイズの貝殻の中に、大きな身がぎっしりと詰まっていることで全国的に有名です。冬に市場に出回るまがきを「海のミルク」、対して、夏が旬のいわがきは「海のチーズ」と紹介する人もいます。共に身が乳白色で、牛乳やチーズのように栄養がたっぷり含まれているからです。特にタウリンが豊富で肝臓強化、鉄分とビタミンB1で造血効果、亜鉛も豊富で免疫力アップ!は知られたところですね。そして、共にプリプリとした食感と磯の香りはたまりません。特にいわがきが誇る大きな身は、食べごたえの満足度が高く、一度知るとやみつきになってしまいます。茨城での漁獲方法は男たち(漁業者)が素潜りで一つ一つ漁獲します。茨城の「あま」は男性のみなのです。獲りたての「いわがき」は、生で味わうことはもちろん、火を入れて旨味成分を活性化させても「うまい!」のひとことです。大粒で濃厚な牡蠣を楽しみたいなら、大洗港周辺の市場や飲食店へお越しください。十分に堪能できますよ。
<牡蠣の種類> 世界には100種もの牡蠣がいるそうですが、普段、私たちが日本で食べているのは主に2種類。カキフライやカキ鍋など、冬の時期の食卓に馴染み深いのが「まがき」で、夏にちゅるっとお刺身で食べることが多いのが「いわがき」です。まがきもいわがきも、産卵時期は同じ夏場。ただ、その産み方が違います。まがきの場合は、秋冬から栄養を蓄え、夏の手前で一気に産卵します。そのため、産卵直後の夏は栄養が抜けた状態で味が落ちてしまうのです。いわがきの産卵も同じく夏場ですが、まがきのように一気に産卵せず、少しずつ、少しずつ卵を産んでいきます。そのため、産卵期の夏場でも栄養が抜けてしまうことがなく、濃厚な味が楽しめます。そして、生息地が違います。まがきが育つのは波打ち際や海岸線沿いなどの沿岸部で、成長から産卵までが短いので小ぶりです。養殖場も主に浅瀬に作られます。いわがきはまがきよりも深い、水深5m~15mの外海の岩礁域や潮が激しくぶつかる防波堤、波消しブロックなどに生息し、プランクトンを食べて成長しています。この厳しい環境下でゆっくり、年数をかけて大きくなるので、手の平をはみ出す大物も珍しくありません。実はいわがきも人気の高まりで、今では養殖物が出回っていますので、通年で食べられるようになりました。夏場(5月~8月)の店頭で、氷の上に殻付きのまま売られているのがいわがきで、通年でむき身パックとして、スーパーなどで売られているのが、まがきという認識でほぼ間違いないです。
<いわがきの豆知識>
3.栄養素と効能:牡蠣のうまみの秘密は、豊富なグリコーゲン ・コハク 酸・ グリシンによる味のハーモニー。これらの成分以外にも、体を元気にするた めの健康効果もたくさん! (1)肝臓を強化:夏バテに悩む時期ですが牡蠣 に含まれる「タウリン」で (2)造血効果:牡蠣は含まれる鉄分やビタミン B1が造血に必要な成分で (3)免疫力UP:牡蠣には多くの亜鉛が含まれ、細胞の活性化・免疫力の向 4.いわがきの基本的な食べ方;いわがきは夏の風物詩として、刺身としていた だいてください。まがきにはないおいしさですよ。 (1)生ガキ:濃厚な海の味を楽しむには、まずは生牡蠣!本来の味を楽しむ ためにあまり手を加えず、 ポン 酢やレモン、わさび醤油で食べてみ (2)焼きガキ:焼くことでうまみ成分を活性化!浜焼きスタイルの豪快な火 入れでほどよい加減に焼き上げた焼きガキも絶品です。 (3)あぶりガキ:牡蠣の表面をちょっと焙た通なメニュー!生牡蠣と焼き牡 蠣のいいところを合わせた絶妙なうまみと触感です。私がおすすめす る食べ方です。 (4)更に、もうひと手間加えて、蒸したり、カキフライ、炊き込みご飯も美 味です。 5.いわがきの目利き:残念ながらいわがき、まがきなどのかき類については目利きが難しく、実際に殻をあけてみるまで身の大きさ、肉付きはわからないそうです。 <養殖のいわがき> 平成4年に隠岐島の西ノ島町で養殖に成功してから、全国に広まりました。養殖の方が大きさ、肉付きが安定した品質となるためです。いわがきの養殖では、夏に人工授精を施してホタテ貝の貝殻に付着させた稚貝を、海中のロープに吊して大きくします。いわがきは、海水中のプランクトン等を餌としており、プランクトン等を水と一緒に貝の中に取り込んで食べるので、海水をきれいにする働きもあります。いわがきが成長するスピードは、養殖する海域の餌や波といった条件によって多少の差がありますが、およそ生まれてから2年で150g、3年で300g程度まで大きくなります。初めはホタテ貝殻に付着していたいわがき稚貝ですが、成長に伴って次第にカキ同士がくっつくようになり、3年物で5kg程度の大きな塊になります。水揚げされたいわがきは、まず塊から1個づつの貝に分離した後、貝殻表面に付着したフジツボや海藻等を掃除してから出荷されます。イカダにつるされた状態で育った養殖のいわがきは丸みを帯びず、普通のまがきのようなかたちをしているものもあり、見た目の違いはさほど見られません。養殖の目的は一定の品質で、一定の大きさになると収穫することにありますから、養殖もので手の平サイズを超えるいわがきまで育てることはありません。そして、隠岐では冷凍いわがき技術で全国に発送できるまでになっています。素潜りでしか漁獲できない天然物のいわがきはますます貴重品になっています。
<牡蠣は本当に生で食べても大丈夫なのか?> 牡蠣の食中毒と聞いて最初に思い浮かぶのはノロウイルスではないでしょうか? ちょうどマガキの旬と同じ1〜2月頃、海水温が10℃を切る時期に流行します。一方、海水温の上がる夏に旬を迎えるいわがきは、ノロウイルスよりも腸炎ビブリオという細菌性の食中毒が心配されます。腸炎ビブリオ菌は4℃以下ではほとんど繁殖しないため、保存方法に気を付ければ繁殖を抑えることができます。(腸炎ビブリオ菌は牡蠣に限らず様々な魚介類に生息しているため、気温の上がる夏には要注意です)どちらの食中毒も、衛生的に管理され、食べる前に十分に加熱された牡蠣であれば、それほど心配するものではありません。(ノロウイルスは85℃・1分半以上加熱、腸炎ビブリオは60℃・10分以上加熱) では、私たちはどうすればいいのでしょうか……。日本の場合は、全国の漁協で定期的にノロウィルス及び貝毒の検査を行って、安心情報を発信していますので、この情報をチェックするとよいです。それでも飲食店で食べるのが心配であれば、そのお店の衛生状態をチェックすることも大切です。家庭で食べる場合は、新鮮な牡蠣を購入し、保存中は常に4℃以下の低温状態に保ち、牡蠣を水道水でよく洗い、調理器具や手を清潔にし、できるかぎり速やかに食べるようにしましょう。また、「とにかくノロウィルスが心配だ…」という方には、夏のいわがきシーズンはおすすめです!「それでもやはり心配だ…」という方は、生食にこだわらないのが一番です。カキフライ、炊き込みご飯、煮込むアヒージョ料理、フライパン料理のパエリヤなど、よく加熱して料理して食してください。
いわがき漁が盛期を迎えています。いわがきは、梅雨の雨水が河川を経由して届ける栄養分で身をふくらませます。8月中旬までに収穫されたものが、最も身が大きく、味わい深いといいます。大洗の漁師の小林さんの漁場は、大洗港沖にある堤防の壁面。素潜りで行う漁は、重労働ということもあって、担い手が少なくなっていますが、その中で頑張っている一人です。「苦労はあるけど楽しい漁だよ」と小林さん。楽しみの1つは、魚との交流です。漁の最中は、小林さんの周りを、イシダイ、フグ、アイナメ、タコなどが囲みます。岩ガキをかき取るのと同時に、カニなど魚の好物がこぼれ出すためです。「水の中では、とても人懐っこいよ」。小林家の夏の名物はいわがきの味噌汁です。「漁師ならではの料理で、一般家庭では再現しにくいけど」と小林さん。出荷できない小ぶりの岩ガキ20個分ほどを、一度に煮だします。「だしのうま味が驚くほどうまいよ」。小林さんが漁獲した大サイズのいわがきは、同町の海岸沿いの海産物店などで販売されます。皆さんも是非、大サイズのいわがきで知られる大洗町へお越しくださいね。この街は通年でどこのお店に入っても、大きな牡蠣フライを食べることができますよ。
<大洗でいわがきが食べられるお店>
今はいわがきの購入は通販でもきますが、そんなことは言わずに、是非。観光を兼ねて大洗に来ていただいて「大洗の巨大いわがき」をご賞味いただきたいです!
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最終更新日
2022.07.07 08:16:41
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