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2023.05.08
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カテゴリ:シナリオ


農林水産省のホームページでは、伝統野菜を「その土地で古くから作られてきたもので、 採種を繰り返していく中で、その土地の気候風土にあった野菜として確立されてきたもの」と説明しています。ここには「日本に自生していた野菜」という縛りはありません。一方で今、私達が目にしている野菜はほとんどが、海外から伝播されたもので、それを、各地の気温や風土に合うように、数十年の年月をかけ地場の野菜として育ててきたものです。このため、都道府県で伝統野菜の定義はかなり異なります。今の野菜作りは、遺伝子組み換え品種やF1種が主流になり、スーパーでの販売・流通に適した、形が均一で生産効率の良い野菜へと変化しています。今回は茨城県内でこうした「儲かる野菜」からは置き去りにされていますが、どっこい、小じんまりと継承されて、命をつないで生産されている野菜たちを「茨城県の伝統野菜」として紹介します。

 

<茨城県農業の特徴>

茨城県の耕地面積は約17haで全国第3位です。農業産出額は1位北海道(12,667億円)、2位鹿児島県(4,772億円)に次いで、茨城県(4,417億円)が全国3位(令和2年)の農業県です。農地は河川流域の水田地帯、台地の畑作地帯、県北の中山間地帯といった環境に恵まれており、様々な動植物の南限北限の境となっています。このような気象条件等を生かし、数多くの農産物が生産されています。茨城県の主要農産物は甘藷(かんしょ)、レンコン、ピーマン、メロン、ほしいも、みず菜、チンゲンサイ、クリ、セリがいずれも全国1位の農業産出額を誇っています。他にも白菜、小松菜、レタス、なし、落花生、ねぎ、にら、スイートコーン、ごぼう、かぼちゃ、春菊、しそ、らっきょう、みつば、そらまめ、マッシュルーム、こんにゃくいも等さまざまな野菜を産出しています。茨城県守谷市、取手市からは東京都心まで40kmであり、長い距離でも160kmに位置しており、大消費地に近いことから重要な食料供給基地となっています。

 

<茨城県内には多様な気候環境があり、地区により適応した農作物が育つ>

茨城県の気候は太平洋側気候で夏季は多雨多湿、冬季は少雨乾燥です。沿岸部は気温の日較差が小さいなど海洋性気候の特徴があります。内陸部は内陸性気候の特徴を持ち、夏季は、埼玉県に近接する一部地域を除き、北東気流の影響を受けやすく、比較的冷涼です。冬季は、朝晩は放射冷却により気温が下がります。豪雪地帯に指定されている地域はありませんが、南東部を除く地域、特に北西部山間部は南岸低気圧や北東気流の影響で局地的に大雪となることもあります。南東部の海洋や霞ヶ浦等の湖沼があることによって、栃木県や群馬県などの内陸の県と比べ湿度が高くなりがちで、霧が発生しやすい傾向があります。また、雷も多く、県北部の山沿いや栃木県境での激しい雷の様子は有名です。

 

<固定種・在来種・F1種>

(1)固定種:品種の系統を守るため選抜した野菜の種を取り、その種を蒔いて育てた中からさらに一番よいものを選んで、また採種することを何世代にもわたり絶えず繰り返した結果、自然とその野菜の個性が定着し、固定化していったものが固定種です。昭和30年代頃までの日本の野菜はほとんどが固定種でした。

(2)在来種(固定種の一種):元は同じ品種であっても、育てる気候や土の質が
    違えば、
野菜の特徴は元の品種から段々と変化していきます。気候条件の
    異なる日本各地の
土地で栽培されたことによる「その土地の気候・風土に
    適合した野菜」が生まれま
す。「伝統野菜」とか「地方野菜」とも呼ばれ
    ます。

(3)F1種:現在の多くの野菜が「F1種」となります。人為的に別系統の野菜を掛
    け合わ
せて種を作ると、一世代目の時だけ雑種強勢によって、両親の優性
    形質だけが表出
します。F1種は野菜の成長が早く収穫量も増大、形や大き
    さも揃うため、大量生
産にうってつけの種です。ただ、雑種強勢は一代限
    りです。農家は毎年種を買い続
けなければなりません。「一代交雑種」、
    「ハイブリット種」とも呼ばれます。

 

<伝統野菜に関する豆知識>

1.日本自生の野菜とは:

  昔から日本に自生していた野菜は多くはなく、山菜と言われる品種がほとんどです。

「ウド、オカヒジキ、山椒(サンショウ)、自然薯(ジネンジョ)、じゅん菜(ジュンサイ)、芹(セリ)、蓼(タデ)、つる菜(ツルナ)、浜防風(ハマボウフウ)、菱(ヒシ)、蕗(フキ)、松菜(マツナ)、三つ葉(ミツバ)、茗荷(ミョウガ)、白藍(ハクラン)、ヤマゴボウ、ユリ、山葵(ワサビ)、牛蒡薊(ゴボウアザミ)、枸杞(クコ)」などの20種類ほどだとされています。これらの野菜は、料理の主役として使われることは少なく、薬味のような位置づけで使われています。

2.渡来の野菜が日本に定着:

ヨーロッパや中国、アジア諸国など海外から渡ってきた数々の野菜は、日本各地に広がり、時の流れの中、採種を繰り返すうちに、それぞれの土地の気候風土に適した野菜として形質が固定化し、固定種として定着していきました。4050年前までは各地で当たり前に食され、地域の食文化とも密接に関係してきました。信州の野沢菜漬けの野沢菜は、長野県下高井郡野沢温泉村を中心とした地域で栽培されてきた野菜ですし、名古屋名物の守口漬は、岐阜・愛知で栽培されていたホソリ大根や美濃干大根と呼ばれていたもの(現在は、守口大根)が今でも使われています。しかし、大部分の固定種や在来種は、儲かる野菜作りの指向の中で、その姿を消しつつあります。

3.固定種。在来種が衰退した背景:

  ①戦後の食糧事情:国民の食糧が安定的に供給されるようになったのは、戦後の1950年代に入ってからで、その頃の野菜はほとんどが固定種や在来種でした。

②西洋型の食事への移行:やがて、経済の復興に伴い食卓も米・魚・みそ汁の和食からパン・肉・牛乳の洋食に移行し、これに合わせて、大根や白菜などの和食野菜から、たまねぎ、キャベツ、レタス、ピーマン、トマトなど洋食野菜が伸びていきました。

③大量生産時代の到来:高度成長期に入り、大都市への生鮮食品の安定的な供給が求められ、そこでは工業製品のように一定の量と質という均質化・規格化が求められるようになりました。固定種、在来種の最初の衰退要因と言えます。

F1種(一代交雑種)の台頭:最初に作られたのは大正15年、埼玉県農事試験場で作られたナスで、野菜ではなんと世界初でした。この成功を皮切りに全国各地で固定種からF1種の作成が試みられていきます。経済合理性の高いF1採種ができた品種は、みなF1種にとって変わっていきました。固定種、在来種は一挙に衰退の道を辿っていくこととなります。F1種は遺伝子組み換え種ではありません。

 ⑤自家採種から種子購入へ:F1種は種子を購入するため、採種の手間が省けますし、その間の二期作や二毛作も行いやすくなります。農業のスタイルは「固定種で自家採種」から「F1種で毎年種子を購入」へと変わっていきました。

 ⑥固定種、在来種の終焉:戦後の食糧不足から脱したのが1950年代後半。それから10年経つか経たないかの期間で、日本の野菜はF1種に移行しました。固定種、在来種は、このまま絶滅を迎えてしまうだろうと予想されました。

4.固定種、在来種は衰退したが、どっこい「伝統野菜」として復活:

1980年代半ば頃からの「地産地消」の流れに加え、2013年に「和食」が無形文化遺産に登録されたことが推進力となり、地域おこしの産品として固定種、在来種の掘り起こしが活発になされました。ここでは固定種、在来種は、新たに「伝統野菜」、「地方野菜」と呼ばれるようになり、単なる「地産地消」の農産物だけでなく、地域の特産品、そしてスローフード(※)という新しい切り口での需要喚起がなされています。その他にも、F1種は一代限りの収穫で、農家は翌年以降、継続して種を種苗会社から買い続けなければなりません。伝統野菜を作り続ける農家さんは、種子販売ビジネスから自分たち自身を守るためにも、自然と時間の経過の中で歩んできた伝統野菜を守り、そして育むことがこれからは重要だと考え始めているのです。

こうして伝統野菜として復活したのは、かつての固定種、在来種のうちの一部だけです。消滅してしまった品種も多くありますが、それはもう取り戻せません。日本におけるスローフードとは伝統野菜を守り受け継ぐ文化のことなのかもしれません。伝統野菜とは「各地で脈々と受け継がれる野菜で、しかもずっとつくり続けなければ伝承することのできない、博物館に簡単に展示できない文化遺産だ」と書き添えている方がいました。

 

  ※スローフードとは伝統的な食文化を見直し、食への関心を高める運動のこと。「早い・安い・便利」な、ファストフード(fast=早い)に対する言葉としてよく使われています。ファストフードは「食材の生産地や調理・加工方法が不明」「大量生産によるコスト削減が最重要」といった側面から、人体への安全性が疑問視されてきました。これに対し「地元の生産者によって丁寧に育てられた、土地に適した食材を使ったきちんとした食事をしよう」という考え方が、スローフードです。

 

<茨城県が誇る伝統野菜>

今回、茨城県の伝統野菜として紹介するのは、レッドポアロー(赤ねぎ)、浮島だいこん、貝地高菜、里川かぼちゃの四品目ですが、ほかにも地区の伝統野菜として、まだまだ埋もれている可能性があります。探していくつかまとまりましたら紹介します。

 

赤ねぎ(レッドポアロー・ひたち紅っこ)

 葉鞘部分が深い赤色をした赤ねぎが、城里町(旧桂村)にはあります。旧桂村の中でも圷地区で明治時代から作られていたのが「赤ねぎ」。特に加熱すると甘みが増し、とろりとした食感に。その美しい色は、長時間煮込めば退色してしまいますが、軽い加熱ではそのままです。在来種ゆえ、種は代々自家採取。在来種は、品種改良がされていないので、虫や病気にも弱く、また赤い皮を傷つけてしまうことから機械での収穫はできません。また、9月下旬に播種し、翌年34月に赤ねぎの特徴がはっきりしているものを選別して仮植。さらに5月に本植をし、10月から収穫期を迎えるというから、その長さたるや驚きです。約1年がかりの作業なのです。これでは販売向きではありません。現在はこの赤ネギを品種改良したもの(F1種だと思う)が、11月~3月の旬の時期に「レッドポアロー」や「ひたち紅っこ」の商品名で、スーパーや道の駅などで売られています。値段は白ネギと同じくらいです。品種改良は赤ねぎを知ってもらいたい、そして多くの人に食べてもらいたいとの想いから生まれています。在来種の赤ねぎ、そして、普及用に品種改良された赤ねぎ、どちらも茨城育ちの赤ねぎには違いないのです。茨城県産の赤ネギは、食の世界遺産「味の箱舟」に登録されている伝統野菜です。

 

浮島だいこん

 現在の稲敷市・浮島地区で、現在30軒ほどで作られているのが浮島だいこん。ほとんどが自家消費で、流通にのることはありません。葉は青首だいこんの葉に比べて黄味が強く、やわらかな色合いが畑をふわりと覆います。根の上部はすらりと細く、下ぶくれ。果肉はやわらかいので、漬けものなどに最適で、独特の甘みとやわらかさが際立ちます。その反面、煮物にはあまり向かず、さらには下ぶくれの形ゆえに抜きにくいこともあり、徐々に現在主流の青首だいこんに変わり、生産する農家も減ってきてしまったという背景があります。この地域でしか浮島だいこんは作れません。ほかでもこの味を作りたいと、他の地域で種を蒔いてみたものの、浮島だいこんの形にはならなかったそうです。だいこんが属するアブラナ科は、ほかの種類と交雑しやすいです。同じ種を蒔いた畑のなかでも、青首だいこんの特徴が出るものがあるほどです。種は、浮島だいこんの特徴が顕著なものを選んで畑の端に植えかえておき、春になり種ができたら採取。この瞬間「浮島だいこんは在来種だったのだ」と当り前のことに気づくのです。種を作って蒔いて、実り、また種を採るという循環は、在来種だからできることなのです。生産者の宮本さん「最近の青首だいこんのおいしさは、浮島だいこんに少し近づいてきたわね」とおっしゃる。宮本さんにとって、浮島だいこんこそが真のだいこんなのです。そして、決して浮島だいこんを守り続けているのではないよ、「おいしいから作るだけよ」とも続きます。伝統野菜の名にふさわしい野菜ですね。旬の時期は12月ごろです。購入は直接農家さんへ!

 

貝地高菜

高菜という漬け物用葉物野菜をご存知ですか?ピリッとした辛みが特徴の高菜漬けは、野沢菜や広島菜と並ぶ日本三大漬物菜のひとつですね。高菜は産地ごとに種類がある地域密着の野菜です。福岡の「三池高菜」、熊本の「阿蘇高菜」、三重県の「赤大葉高菜」、岩手の「南部芭蕉菜」、山形の「山形青菜」・・・そして茨城県の「貝地高菜」などなど、高菜が産地ごとに種類がある理由は、漬物が日本の食卓には欠かせない食材だったことが考えられます。貝地高菜は主に石岡市貝地地区で生産されています。江戸時代から漬物として利用されていました。とうが立つ前に収穫して塩漬けすると、辛さと風味がよく、漬けても緑色が濃く残ります。現在では自家消費程度の生産量となっていますが、宅配での購入はできます。収穫の時期は3月ごろです。本種は耐病性強く、耐寒性にすぐれ、どんな土地でも良く生育し、作り易いですから、種を購入して家庭菜園で育てても収穫できますよ。

 

里川かぼちゃ

里川カボチャは、常陸太田市の里見地区の里川町で栽培されているピンクオレンジ色が特徴の在来種のカボチャです。標高600800mの高地という環境が生みだす寒暖の差により、非常に甘味のある、舌触りのなめらかなカボチャです。昔から「里川の土手カボチャ」として地域で作られてきましたが、長い歴史の中で様々な品種のカボチャと交雑して原種が失われつつあったため、平成21年度から里川カボチャ研究会(22名)を中心に、里川カボチャの品種の復活と固定化に取り組んでいます。旬の時期は9月~12月下旬。道の駅や県内のイオン店舗で購入できます。

 

近年は、農家の自家需要などで生存していた品種を、産地の地域おこしとして取り入れ、近傍の都市向けには地産地消商品、大都市圏向けにはスローフード商品として売り出す戦略に注目が集まっています。農業大国茨城県もこの戦略を牽引しています。

 

「伝統野菜とはずっと作り続けなければ伝承することのできない文化遺産」だという言葉がありました。是非、茨城県の伝統野菜に触れる機会がありましたら、茨城県の文化遺産だと想って手に取ってくださいね。






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最終更新日  2023.05.08 07:53:34
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