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カテゴリ:映画
1月30日(月)新宿アカデミー1にて
夫を事故で亡くしたカイル(ジョディ・フォスター)は、遺体をニューヨークへ運ぶため、6歳の娘ジュリアとともに、ベルリン空港を飛び立ちます。機内で仮眠し、起きるとジュリアの姿が見えません。 乗客や乗員に訊いても、誰も娘を見ていないのです。搭乗名簿にも、ジュリアの名前はありませんでした。機長の言によれば、娘は6日前に死亡している、と言うのです。 半狂乱になったカイルは、必死になって機内を探します。このジャンボ機を設計したひとりとして、飛行機の内部は知りつくしていました。客席だけではなく、天井裏、機械室、貨物部屋等々、隈なく探しても見つかりません。ジュリアはいったいどこへ消えたのか。 ヒッチコックの出世作「バルカン超特急」を思い出しました。車掌も、コンパートメントに乗り合わせた客も、姿を消した老婆を見ていない、と言います。巧みな伏線と意外な結末は、いかにもヒッチコックらしい切れ味がありました。 「フライトプラン」には、そういう構成の巧みさはありません。前半はカイルの暴走ぶりが描かれるのですが、血相変えて走るまわる姿は、怖いくらいです。母性本能がなせるわざとはいえ、その行動は常軌を逸している、といえるでしょう。 カメラは、普段はうかがえない飛行機の裏側を見せてくれます。サスペンスなら、この前半で真相のヒント、伏線が張られているのが常識です。が、そのような気配はありませんでした。 ジュリアが窓に書いた絵も、生かされていません。「バルカン超特急」では、窓のスペルが風に消されるシーンがあって、サスペンスが盛り上がるのですが、本作には、そういう細かいテクニックが不足しています。 後半になると、突如として犯人が明らかにされますが、唐突すぎて、説得力なし。機長(ショーン・ビーン)エアマーシャル(ピーター・サースガード)アラブ人など、脇の人物も、機長以外は描写が中途半端でした。 2度のオスカーに輝くヒロインだけが、際立っています。ひどく偏った脚本です。ジュディ・フォスターのワンマンショー、といってもいいでしょう。 いるはずの目撃者ががひとりもいなくなる、といえば、ウイリアム・アイリッシュの「幻の女」があります。口直しに、この傑作ミステリーが読みたくなりました。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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