テーマ:DVD映画鑑賞(13596)
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ジョン・ウー監督の「狼たちの挽歌」を観て以来、香港製アクション映画には格別の思い入れがある私です。膨大な火薬の量、ほとばしる血汐、派手な銃撃戦、背中に漂う男の哀愁、どれもこれもわが胸を締め付けます。 最近では「インファナル・アフェア」3部作に、涙を流しました。本作「ベルベット・レイン」も、香港黒社会を舞台にした映画ですから、大いに期待したのは無理からぬところでしょう。 タイトルバックに流れる哀切な歌声。思わせぶりな登場人物の紹介、スタイリッシュな映像、これぞ香港映画の醍醐味です。傑作の匂いが、ぷんと漂ってきました。 監督はこれが処女作だというウォン・ジンボー。主演はお馴染みのアンディ・ラウとジャッキー・チュンに、若手のショーン・ユーとエディソン・チャンが絡みます。ほかにも「インファナル・アフェア」などでお馴染みの顔がチラホラ。 ボスを殺して男を上げたい若者と、暗殺の気配を知った大ボスの身辺が交互に描かれます。ヒットマンに選ばれた若者と風俗で働く女の交情。人の親となったボスと弟分との友情。香港映画の黄金律に従って物語が進行します。 しかし、いつもと様子が微妙に違うのでした。緩急のある演出はいいのですが、それがわが感性と合わないのです。省略するべき部分と、じっくりと描写すべきシーンが、食い違っているのでした。いくつかの部分が、退屈だったことを正直に書いておきましょう。 最後に、ある仕掛けがあって、ふたつのエピソードが融合します。ミステリー小説に、ときどき見られる手法です。 映像ではフェアかアンフェアか、意見が分かれるところでしょう。伏線らしきものがあるので、本作の場合は、ギリギリ許される範囲のもの、と判断しました。が、観客を酔わせる香港映画特有の臭さがちょっと希薄だったことが、悔やまれてなりません。イマイチ、期待はずれでした。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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