畠中恵さんの著書『アイスクリン強し』より
シユウクリームを作ってみました。
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時は明治、築地の外国人居留地で育った
孤児の皆川真次郎が西洋洋菓子店の風琴屋
を開き、そこに友人や幼なじみの少女が来て
あれこれいつも騒ぎになるという青春ドラマ
系な連作集なのですが、西洋洋菓子店が
舞台になってる関係上、文明開化時代の
洋菓子が色々出てくる訳なのです~。明治
時代の洋菓子なんてかなりワクワクする存在
ではないですか~。レシピは恐らく作者の方
が調べたその当時の物ではないかしらんと
思います。途中までですが、その当時の物
間違い無しの奴とかが文中で掲載されて
ますので(因みにこちらはそのコンプリート
版レシピがあったりします)。
今回は、その中の一遍『シユウクリーム危うし』
よりシユウクリームことシュークリームを作ってみ
ました。クリームのレシピは載ってないので皮のみ
です。一応、調べて明治時代のカスタードクリームの
レシピは見つけたのですが、なぜか湯煎で作ってたり、
とろみをつけるコーンスターチが少なかったり(しかも、
水で溶いて混ぜるという何か間違ってる様な手順だっ
たりします)でどうも作れる自信が無いのでまたの機会
にしてみます。後、砂糖がかなりど甘い分量だったりします。
普通の1.5倍ぐらいなんですね~。
本文中では、貧民窟の親分の謝礼に使われたり、
やっかい事を持ち込んできた友人にぶつぶつ文句
を言ったりしながら真次郎が作ったりしています。
分量は粉とバター(明治風に言うと牛酪)が各16匁、
水が1合半、卵が3個となっています。今回はその
半分でやってます。オリジナルの分量は今の単位で
計算すると、粉とバターがそれぞれ約60グラム、水が
約270ccですね。今の割合で考えると水がかなり多いです。
水135ccとバター30グラムを沸騰させ、粉30グラム
を一度に加えて良く混ぜ、卵1個半を少しずつ入れて
いきます。いつもより水分が多いので柔らか目に生地が
出来ました。卵も少し余るぐらいです。後は大さじ1杯ぐらい
を天板に落として焼きます。
温度は特に書いてないので取りあえず200度で30分焼き
ます。火加減が難しいと真次郎は言ってますが、今だとオー
ブンで楽々ですね。昔の調理用ストーブだと確かに大変だ
ろうなと思います。
ヴィクトリア朝の本でストーブの中に紙を入れてその色づき
方で温度を見るやり方がありましたので、その方法でやってた
のかなと思います。昭和30年代ですとガスコンロの上に載せ
て焼く天火で、その温度の量り方も温めた手を中に入れてど
れだけの長さを我慢出来るかという方法が正確に出来ますな
どと説明されてます。今みたいにオーブンにお任せ出来る様に
なったのは本当につい最近と言っていいかもですね。
生地の膨らみは悪くないです。どうなるかな~。
クリームを入れて完成です~。甘い香りとあったので
バニラエッセンスと隠し味にブランデーを入れて見ました。
生地はかなり軽くてさっくりしてます。バターが少なめなの
で、口当たりがさっぱりしてる感じです。ただ、いつもの生地
より作るのがかなり至難の業(水が多いのでまとまりにくく、
卵を入れる量の検討がつけにくい)ですので一寸上級者向
けかも知れません。
考えてみれば、日本って料理やお菓子の
吸収に関してはかなりどん欲であると思われ
ます。江戸時代でも既に南蛮菓子などが紹介
されてますし、今現在でもごく普通の主婦な
方々が世界の料理をあれこれ作れるのも珍
しくはありません(海外だと自分の国以外の
料理を作れるのは専門家のみと言う事も普
通です)。明治から昭和初期までのレシピなど
を見てみると、いかに限られた技術と材料で
再現出来るかの努力が凄いのです。食べ物
に関しては日本に住んでて良かったな~と思
います。