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カテゴリ:理科好き情報
今、桜といえばソメイヨシノである。ピンクの花が密集していて大変に美しい。花見といえば全国どこにでもあるソメイヨシノの下でみなさんも行ったのではありませんか?
しかし、この桜は人間の手が入らないとあっという間に絶滅してしまう種族だとご存じだろうか? 実はソメイヨシノはクローン植物だったのである! クローンというと最新の医療技術で倫理問題など問われている技術だが、少なくともソメイヨシノといえば江戸時代からあったはずだ。 そのころにクローン技術があったのか? このソメイヨシノ、江戸の染井の植木屋がオオシマザクラとエドヒガンの交配によって第一号が作られたのだ。 当時の商品名は「吉野」だったが、奈良県吉野のヤマザクラと混同するからと「染井吉野」という名前になったのである。 交配によって作られた種なので、増やすには挿し木や接ぎ木という方法しかありません。 種が出来ないのです。というのも1種類の遺伝子しか無い種同士だと雄しべと雌しべを交配しても実を結びません。これは自然の摂理です。 自力では子孫が出来ないので、人間の力が必ず必要になります。 人類が絶滅するとソメイヨシノも絶滅してしまう。人との共存によってしかこの世に存在することの出来ない、悲しい種族ということになるのでしょうか。 しかし、有史以来世界中に同一の種のクローンが存在しているということは有りません。 ソメイヨシノは気象学、その他研究に役に立っています。同一の条件の時に例外なく一斉に咲く花の木など他のどれにも無いからです。 実はこのソメイヨシノ、寿命60年説というのがあります。 片親のエドヒガンなどは長命な種で1000年以上の樹齢を有するものもあるくらいです。 でも、その子供ともいえるソメイヨシノは短命なのです。少々皮肉ですね。 (ちゃんとしたケアをすれば、もうすこし長生きするものもあるみたいですが) ソメイヨシノ以外にもクローンで増える植物は存在しています。 アスパラガスや胡蝶蘭などもクローンですし、ナシやモモなどもそうです。 他にバイオ野菜など、スーパーで一般的に販売されています。知らず知らずに皆さんも食べています。 食べやすく改良されている野菜なども、バイオテクノロジーで作られているのです。 さて、植物のクローンの話でしたが、動物のクローンも短命なのでは?と言われています。 ドリーというクローン羊をご存じでしょうか? 1996年の7月にドリーは生まれました。本来の羊の寿命は約15年です。 ドリーの遺伝子を受け継いだ元のヒツジは遺伝子取り出し時の年齢が6才です。 遺伝子情報の中のテロメアに寿命情報が書かれていて、これが加齢により少しずつ短くなるものがあります。 細胞分裂の回数は有限で、一生の中で決められているものだそうです。 ドリーは生まれた時点で既に6才の状態だったのです。非常に悲しい星の下に生まれ出た赤ちゃん羊だったのです。 この時に研究者はドリーの寿命を約9年(15年-6年=9年)程度と予想していたのですが、ドリーは6年で亡くなっています。 大切なサンプルなので大事に育てられていたのですが、2001年頃(4才)から高齢の羊に見られる特徴的な関節炎を発症しはじめ、進行性の肺疾患のために2003年2月14日に安楽死しました。 動物のクローンは想像以上に寿命が短命になってしまうようです。 ソメイヨシノも本来の親の数分の1の寿命しかなく、羊のドリーも同様だったのです。 植物や動物、どちらも人の手によって生まれた種は共通して短命であったとは、人間は神の技術に勝つことは出来ないと思い知らされたような気になりませんか? お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2006.04.18 14:06:09
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