カテゴリ:健全な青少年少女の育成を阻害する記事
知り合いに障害者福祉施設に勤めている人が居て、電子書籍について思わぬコメントが入ってきました。
あらかじめ言っておくと本人としてはかなり苦渋の決断であり、違法性も含めて相当に悩んだ末の行動であることは記しておきます。それでも「違法とされれば責任を取る」と言い切っているあたり、個人的には応援したくあるのですが。 さて、最近ご一緒させていただいているサークルの方とお話している時、『電子書籍』についてこんな例え話を聞きました。 「自炊した書籍をOCRソフトで取り込んで、それを読み上げソフトで楽しんでいる人が居る。誤変換やの文字の読み上げ機能の不足でトンデモ表現になっていることも多いが、視覚障害者にとってはそれでも欲しいというのが本音だ」 説明は不要かもしれませんが、自炊というのは本を切断してスキャンし、PCに取り込む行為。OCRというのはスキャナーなどで使用する文字の判別ソフト(画像からの読み込みも出来る)、読み上げソフトは、使い方が違うけど『初音ミク』もそうですね。 OCRは実のところたいした能力が無く、『日』を『目』と取り込んでしまうなど、誤変換を修正しなければ実はマトモな音読も出来ません。 でも、視覚障害者の方は「それでもいいから本を読みたい」ということらしいです。 音声認識については、Windowsにも割と前からあって、『五体不満足』の作家の乙武洋匡さんも執筆には使用しています。しかし誤変換も多いので、乙武さんにとって現在のPCの執筆用辞書は、鍛え抜かれた何物にも代えがた財産の一つのはずです。 さて、日本の電子書籍が立ち後れているのは、『電子書籍』という単語を知る大半の人が感じていることじゃないかと思います。『電子書籍』『読み上げ機能』で検索するといくつかハードやコンテンツが出てくると思いますが、『自在に本を読む』という状況からは相当乖離しています。 で、その知人は手持ちの文庫や古書店で買った書籍を自炊して、片っ端からOCRにかけて読み上げソフトで読めるテキストなどの形式に興しました。で、そこで『私的利用を超えるのでは?』と思い、二次元とか出版とかにそこそこ詳しい私に相談してきた次第です。 私の『杓子定規な答え』としては、もちろんNG。現在はマンガのほうが自炊についてもの申している状況ですが、小説になったからと言って出版社や著作者が利用の許可を出すはずがありません。ゆえに著作権違反で問題になる可能性は、もう具体的に『ある』、としか言いようがありません。 しかし私も世間もそれほど鬼ではないと思いたいですし、『視覚障害者は点字を覚えないと本は読めない』というのが出版が提供する環境ならば、アマチュアでも比較的容易に多数の人へ文芸の娯楽を与えられるこのような流れは、産まれて当然ですし広まって当然だと思います。つまり『出版社の大人の事情なんか知ったことか』というのが本音です。 ただ……誠に遺憾ながら、違法コピーと違法ダウンロードとほぼセットになっている話なので、取り扱いが難しいのも確か。私は違法コピーを具体的に憎悪していますが、彼、あるいは彼女たちの行為を無下にするほどの鬼ではないと思いたいですし、そうありたいとも思います。 電子書籍も、ネット上ではFlashコンテンツだったりして読み上げ対応はほぼ完全に不可能になっています。それはもうガチガチにロックをかけて。 しかし『必要な人に行き渡らない』というのはやはり違うように思います。『現実的な電子出版』というのは、もっとライトでフランクであるべきではないでしょうか。 そのために出版社が必要なことって、実は『再販制度に乗っからない』という、ブックオフと同等の民間的な経済意識からだと思うんですがね。ブックオフと同等の価格帯でやったらブックオフそのものが潰れますし、手間暇掛けて違法コピーする人も激減すると思うんですが。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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