かかづのばかもやすみやすみ

　日本の出版社が、頑なに電子書籍への本格移行を嫌がっている――というより現実的な物事の見据え方が無いらしいというのは、皆さん結構感じているのではないでしょうか。

　で、電子書籍のハードルをどう下げるかということについて、ちょっと具体的な数字を交えてここに記事にしたいと思います。

　さて、電子書籍からどうしても排除できないブツに、AndroidもしくはiOS端末があります。両方とも公式のブックリーダーや電子書店が存在し、本来ならそれ以外の電子書籍など存在しないはずです。

　しかし『自炊ブーム』というものがあって、pdfでもjpgなどの画像ファイルでもかまいませんが、つまり公式に依らない電子書籍を読む環境がすでに構築されています。で、この時点でこれらの端末は、高度にマジコン化されていると言えます。

　マンガの違法アップロードは、昨年ワンピースなどで摘発者が出たばかり。その後細々と検挙されているのですが、根切りするほどの効果は上がっていません。
　例えばドラゴンボール全巻。

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　価格約1万8千円が、マジコンと同じ感覚で言えば『無料』です。「そんな馬鹿な！」と言われるかもしれませんが、このようなものに限らず違法なブックデータは常時大量にネットの世界を流通しており、インフラも整って手が付けられなくなっています。本気でやるなら国連加盟国以外も引っ張り込んだサーバの管理監督を行う必要がありますが、ぶっちゃけ軍事機密にも触れるので不可能。

　警察の取り締まりも機能しない現状に至っては、これら違法ダウンロードのリスクを上回る利便性と価格とのバランスを持って、電子書籍を構築しなければなりません。現状は『すべてタダより安く』という現実的ではないレベルですが。

　それもこれも、出版業界が『再販制度』を始めとする権利構造をガチガチ守ろうという前提があるからです。

　別に「再販制度は悪だ」とは言いません。しかし物理販売もブックオフにやられっぱなしの現在、マジコンで任天堂が致死量に近い流血を強いられ続けているネットの現状で、古式ゆかしい理論はもはや通じません。『タダより良い』というコンテンツ構築をしない限り、日本は電子書籍で利益を上げることは不可能です。

　ところで、車に乗っている方、任意保険に入っていない人はまずいませんよね？　対人無制限の対物三千万ぐらいが普通ですか？　でも『万が一』に備えて、きっちり自腹でコストかけてますよね。

　日本の電子書籍も、そういうように『新品にお金払って当たり前』という構造構築が必要じゃないかと思います。素人考えで良ければ披露しますが、ネットの電子書籍は『超格安のレンタル形態』でかまわんと思うのですわ。
　週刊誌などを2週間も2週間も読み続ける人は少ないと思います。つまり、Wi-Fi環境があれば常に立ち読みできるというのを前提にすれば、わざわざ手間を掛けて違法DLする人も減るでしょう。違法DLだってそれなりに時間がかかるので、待ち時間も時給換算すればそれはそれでなかなかの経費です。
　もちろんバックナンバーは価格下げて販売を継続。本来利益が出なくなるものも、これで利益が出し続けられるものになります。
　じゃあ単行本は？　これも現在行われている『レンタルコミック』の電子版アレンジで構築出来るのではないでしょうか。物理で欲しい人は物理で買いますし。

　いずれも『違法ダウンロードの手間を省く』という部分を省力化して、よりお得感を増すという仕様配分に振ってます。超サービス業として定義しないと、違法DLには太刀打ちできません。現状、何万円もするタブレットの元を取ろうとしたら、金銭的に分かりやすく、なら違法DLで金額相当のデータを入手するほうが早いからです。さっきのドラゴンボールクラスのものなら、4コンテンツ完封出来れば新型iPadだって元が取れます。

　ユーザーに利益をどうもたらすか。

　そこに重心を置かない限り、電子書籍なんぞ商売にならないと思います。誠に遺憾ながら、マジコンのインフラ整備と同じぐらいマンガの違法DL環境も出来上がっているようなので。

　だからといってそこの人、気軽に違法DLに手ぇ出すなよ。あんたが違法DLを1件すれば、本屋は10冊売らないと回復できない万引き行為と同じなんだからね。