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林鳥巣のどっちらけ

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2012年10月11日
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カテゴリ:ドラマ・映画


爆走機関車 シベリア・デッドヒート
原題:Край
2010年 ロシア 124分
監督:アレクセイ・ウチテル


1945年9月、シベリアの流刑地クライに赴任した元機関士/復員兵イグナト。
その破天荒な性格から、住民達といさかいを起こす。
専任の機関士から女と職を同時に奪い取り、サボタージュを繰り返すリトアニア人の鉄道作業員まとめ役を殴ったりした挙句、ハメられて鉄道事故を起こす。
機関士の職を奪い返されほとほとイヤになったイグナトは、トロッコで村を飛び出す。すると鉄路は途中で寸断されていた。
河の半ばに鉄橋が崩れて落ちていたのだ。
構わず水に身を投げ、橋の先の島へ泳ぐ。
チビの便利屋は「あの島には亡霊が出る」と言っていた。

泳ぎ着いて鉄路を辿り、密林に分入る。
なんとそこには錆びついて蔦に覆われた廃機関車が!
これを我が物とすべく近付くイグナト。
しかし突如として車内から銃撃を受け、機関室に殴り込む。
武装した謎の女と格闘し猟銃を破壊するが、鉄道事故の後遺症、持病の発作でたまらずうずくまる。苦悶の末気絶したイグナトを、ドイツ語を話す謎の女が看病する・・・。



あらすじはこんなところで、続きは見てからのお楽しみ。



ワタクシいつも彩プロの珍邦題には泣かされるクチですが、この映画「爆走機関車 シベリア・デッドヒート」に関しては本当に機関車が爆走してシベリアでデッドヒートしまくる大興奮超絶ぽっぽやアドベンチャーなので、割と正確だしイカしてると思います。
原題の「Край(クライ)」は流刑地の名前なのですが、日本人に馴染みがあるとは到底言えませんからね。「ナニ、暗い映画なの?」という。

暗い映画じゃないんです。
ヌードあり暴力ありマシーンあり、自由を求めて爆走し、なんか民度低い一般ピーポー&暴虐なNKVDから女を守ってデッドヒートする男の物語。
登場人物の殆んどが後ろ暗い不幸な過去を抱えていて、現在もおおむね不幸ですが、映画自体はぜんぜん暗くないです。

一般ピーポーも主要人物もよく笑います。泣きます。
人間臭く色々な側面を持っている普通の人達です。
しかし祖国からは裏切り者と見做され、阻害されている人達です。
自らの小さな幸せを守るため、団結して異物を排除する。
別の誰かをいじめる。
ドイツ人を、「ファシスト」を。制服を着て威張り散らすよそ者を。
ここで描かれているのは恐らくソ連社会そのものなのでしょう。

でもツイッターでも2ちゃんねるでも、似たような光景見たことありますよね(ぉ
群集心理、コワイ!

並のハリウッドアクションより断然面白い作品です。
つまらない一方通行の正義を押し付けられて、釈然としない思いでDVDプレイヤーの電源を落とした昨日の貴方は、この映画を借りるべきだったのだ。
チョイスを間違えましたね。


固有名詞も少ないから、ロシア史に疎い方でも見やすい映画です。

ロシア映画はプロパガンダ?
そんなありきたりの先入観は鉄路に放りこんで轢いてしまえ!
魂を流刑地から解き放ち、いざ新天地へ。

★★★★★





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Last updated  2012年10月11日 17時31分31秒
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