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カテゴリ:小説
「皆、来ないね」と私がつぶやいた。
授業が終わった夕方、 キャンパス内のラウンジで授業のグループ発表の メンバーを私と羽鳥くんで待っていた。 羽鳥くんは中学の時の同級生。 実は、卒業式の日、私に第二ボタンをくれた本人だ。 「あ、あの第二ボタンをくれませんか?」 そのとき、彼は快く学生服の二番目のボタンを引きちぎり、 私に渡してくれた。 緊張していたせいか、小声だったと思う。 そして、もらえたことが嬉しくてお礼もそもままに 走り去ってしまったことを今でも忘れない。 あれから、数年が経ち、大学の授業で再開した。 「初対面の人と、いきなりグループ発表だろ。 そういうのって、苦手なんだよねぇ。 知ってる人がいて良かったよ~」と笑った羽鳥くん。 けれど、私にとってはある意味、バツが悪かった。 「誰も来ないしさぁ、ここの十階に行こうか」と 羽鳥くんが誘ってくれた。 この校舎の十階は大会議室になっている。 といっても、私は行ったことがない。 「何があるのだろう」と不思議に思うも、 私は、彼についていくことにした。 続く・・・ お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2005年11月19日 23時46分20秒
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