減量 ! ! !
「第一宝湯」に日課のように入りに行く。脱着場にて、扇風機も回さないでその前に座る者が居る。両腕に月桂樹のような葉が刃のような模様がぐるりと入れ墨になって、左の肩にはクルス。いい身体をしている。「...入れ墨って痛い。...いくらくらいするの。」と、いつものクセである。相手の若者もいやな顔もせずに、「10年前に入れたんですけれど、痛かたったんですよ。かさぶたが出来ると痒くなるでしょう。そのかさぶたを取ると入れ墨も取れてしまうんです。だから、薬を塗って、サランラップを巻くんです。」。そんな、かさぶた取ると入れ墨もはがれるん...。「右の腕が、10,000円。左の腕が、20,000円。肩が5,000円。」と。「格闘技をやっていて、試合のために今日はサウナに減量しに来ているんです。」。やさしい顔、鼻は少し曲がっている。鎖骨も脱臼したことがあると言う。「怪我するのが当たり前、相手にダメージを負わせて勝つのですから。」と。「職業病なんだ !!! 」角材の椅子に座る若者は、腹の一部の弛みをみせるものの、身体は、まさに格闘技家のもだった。昼は仕事をして、夜に練習するのだと言う。この道で、将来は食いたいと。そのおもいがかなってほしいと願う。