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kawaiiWorld 50

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『竜馬は往った』連載その1

我々はシナリオライター、つまり構成作家であります。
新しいゲームのシナリオをも作ってしまいました。
nhk

今晩は渋谷陽一です

今日から趣向をかえて、今晩は渋谷陽一の連載エッセイをお届け致します。

 題して『竜馬は往った』

今晩は渋谷陽一は、物心がついた頃からジャーナリストにあこがれていた
しかし、本を読むのが嫌いであった
だが、物申すことは好きであった。
結局はDJというフィールドで、モノ申すわけだが
結婚し、子どもが産まれ、親となり、自分自身の足跡ではない「痕跡」を
残してみたいと思い始めた。

ゲームに夢中になる息子達へ、今晩は渋谷陽一のゲームをプレゼントしたくなった。


幕末トランプ『竜馬がゆく』その時代の志士たちへ
一言で云ってしまえば、幕末の志士五十三人が登場するカードゲームで、至極シンプルな古来からあるトランプである。
 簡単に言ってしまえば、トランプという誰もが知っているであろうゲームをきっかけに、一人でも多くの人に、「司馬遼太郎の作品を読んで頂ければ」と思ったからである。
 トランプに行着くきっかけとなると少し話が長くなる。
しかし、その経緯を語らずして、トランプの真意は理解してもらえないのではないかと思い、敢えて長文を書かさせて頂く。
 とあるファーストフード企業と資本提携した大手商社があった。
資本提携はしたものの、一向にそのファーストフード企業との取組は進展しない。あせる担当者は、松浦氏に「売れる企画を考えて下さいよ」と泣き付いてきた。

(松浦氏は、私が昨年の春から居候させてもらっている会社の社長である。因みに、司馬遼太郎の魅力を教えてくれたのも松浦氏である。
彼の事務所には多数の司馬遼太郎作品があり、私が韓国へ長期出張する際「滞在中、時間があるので、ちょっと本でも読もうかな」というと、その書棚から「坂の上の雲」と「燃えよ剣」「俄」を出してくれた。
正直、司馬遼太郎の名前は知っていたが、その紙数の多さに戸惑った。が、日頃彼と話をし、また、彼の小説「ザ・ムーブメント」を読むにつけ、彼のバックボーンは司馬遼太郎なんだろうなと感じたので、四十二歳にして初めて司馬遼太郎の本を開いた。)

 松浦氏に、「福祉、居住福祉の点から考えてみてはどうでしょうか」と提案してみた。
高齢化が進むなか、商業施設は郊外の大店舗に集約され、駅前商店街のシャッターは加速度的に閉ざされていく、人気のある店舗は、殆どが東京に本社を持つ企業のチェーン店、効率化が求められ、お店の方とお客さんとのコミュニケーションもろくに出来ない、まさに早く、早くのファースト化が進み、これからのファーストフード企業に必要なのは、高齢者の方が人として過ごせるようなお店ではないかと考えるようになっていた。
そんな会話をする中で松浦氏は「孫といきたい○○店」という企画を考え、お年寄りと孫の接点となる物は何かな、と熟考し、出てきた物が「男の子と遊ぶメンコ」と「女の子と遊ぶお手玉」であった。
 
そして、直ぐにその企画の鍵を握るメンコとお手玉の現状を調べるため彼は事務所を飛び出した。

夏の昼下がり、松浦氏は大阪の松屋町筋にいる。
ここは古くから玩具や節句の人形を扱う問屋が軒を並べ、今ではメンコやお手玉といった非日常的な商品を扱うとなると、この街以外に考えられなかった。
 余談だが、彼の細君の実家はかつてこの街で隆盛を極めたおもちゃ問屋の一つであったが、テレビゲームが出現して以来、子ども達の遊びが激変する時流に嫌気がさし、自ら静かに幕引きをした。

 松浦氏はそんなノスタルジックな感傷に浸りつつ、問屋街を歩き回り、ついに、店の奥に申し訳程度に置かれたメンコとお手玉のセットを手にするのであった。
 お店の方に話しを伺うと、ごくたまに、地方の駄菓子屋の店主の方が求められるので置いているとのことであった。よって、数あるメンコやお手玉の中から気に入った商品を選ぶというものではなく。そこにある物を必然的に手にとるしかなかった。


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