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カテゴリ:鉄道
大阪府の松井一郎知事は、16日の記者会見で、関西経済連合会の森詳介会長がリニア中央新幹線について関西の意見を年内に一本化するよう発言したことに対し、改めて関係者の意見を聞き直さずに「事業者(JR東海)の判断を尊重すべきだと述べた。
松井知事は「(品川-名古屋と)大阪同時開業を目指すのみ」と持論を繰り返したうえで、「まとめようとすると色々意見を聞かなければならない」と指摘した。 (H26.4.17付日本経済新聞・兵庫版) 松井知事にしてみれば、ルート選定で京都と奈良が揉めれば、リニアの開業自体が遅れることを懸念したものと思われる。大阪府知事として、京都にリニアが乗入れず、京都が衰退したところで、大阪さえ良ければよいわけである。 結果として、近畿圏における大阪一極集中が進むわけだ。 東京一極集中を批判しながら、近畿圏の中では大阪一極集中志向なのだ。 まあ、この発言、大阪だけが良ければいいというホンネが現れたものだろうが、それにしても、京都への乗入れは (1)ルートが長くなることによるコストアップ・所要時間増 (2)線形的にも京都駅西側に急曲線ができる (3)遺跡発掘のリスク などデメリットがあり、客観的に見て京都にとっては不利な情勢だ。 北陸新幹線については、京都を通らない小浜ルートは支持が低く、関西地域連合としては米原ルートを推薦したが、ことリニアルートに関しては、京都経由は相当無理があるように思えます。 また、事業主体のJR東海が基本計画通りに進めると言っている以上、どうしようもあるまい。 ただ、基本計画は、あくまで「奈良市付近」となっているので、必ずしも奈良県内でなければならないということはない。木津川市あたりは、行政上は京都府に属するが、事実上、奈良都市圏に属する。 奈良市自体が奈良県の北端にあるわけで、京都府南部の学研都市あたりなら、「奈良市付近」という基本計画から逸脱するとは言えない。 名古屋-新大阪間を直線的ルートで結ぶなら、通過点は木津川市から学研都市あたりになる。 大和郡山案では、南に寄り過ぎだし、生駒付近も新大阪に近過ぎるうえ、奈良市中心部からは遠い。 奈良市中心部に乗入れるとなると、若草山の景観を破壊することや、遺跡発掘のリスクもある。 リニア駅は木津駅に併設するのがよいと思います。 もっとも、ルート論争を止めたところで、リニアの新大阪まで一括開業は、財政・工事能力の面からも困難かもしれません。松井知事がどんなに要望しても、どうしようもあるまい。 結局、新大阪までの開業は30年後で、名古屋開業から18年もの間、関西の利用者は不便を強いられることになります。名古屋開業では、関西の利用者は面倒な名古屋乗換を嫌い、東海道新幹線でそのまま東京へ向かう人も多いでしょう。さりとて、現在のダイヤのままなら、東海道新幹線・東京-名古屋間は空席だらけで走らねばならない。 東京-名古屋間だけの旅客や、名古屋で乗換えても時間短縮したい人はリニアを利用するからだ。 また、東海道新幹線の負担を減らせないのでは、リニアを建設した意味がない。 ということは、一部の列車(例えば、博多発着「のぞみ」毎時2本だけ)を名古屋止めといったダイヤにする可能性がある。関西発着の乗客は、速いが名古屋乗換が必要なリニアか、直通だが今より停車駅が増える東海道新幹線を利用するかという中途半端な状態が18年も続くわけである。 関西発着の利用者にとっては、リニアは一括開業でなければ、かえって迷惑でしかない。 こんなことなら、リニアではなく、在来型中央新幹線に変更すべきという声が起こるでしょう。 リニアルートの最大勾配は40パーミルだから、在来新幹線でも何とか走行可能でしょう。 (独新幹線では40パーミル区間がある) お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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