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カテゴリ:鉄道
JR西日本の真鍋精志社長は、2月19日の記者会見で、北陸新幹線米原ルートに関しての問題も指摘しました。東海道新幹線のダイヤが過密である、東海道新幹線と運行システムが違う、などの点を挙げたそうです。
湖西ルートや小浜ルートに関しては、「主体的にルートを決める立場にない」としました。主体的にルートを決める立場にない、といいながら、米原ルートに関してだけは問題点を列挙しているわけです。JR西日本は、以前から米原ルートに及び腰でしたが、最近は、「米原ルート阻止」という姿勢を鮮明にしてきたのでしょうか。 http://tabiris.com/archives/hokuriku-shinkansen-4/ (H27.2.21. タビリス記事) JR西日本にとっては、リニア全線開業後であっても、JR東海の領域を走る米原ルートは阻止したいということであろう。料金収入はJR東海のものになってしまうし、遠回りの米原ルートでは、時間短縮効果も少ないということが理由となっている。 湖西・小浜ルートは建設コストが高く、関西の自治体は難色を示している。とりわけ、リニア全線開業に向け、地元も負担を要請される可能性が強いので、北陸まで手が回らないのが実情である。 3ルートともダメなら、フル規格は敦賀止めにして、未来永劫FGTでいいというのが、JR西日本のホンネだというのは、その通りかもしれない。 ただ、これはFGTが技術的に成功することを前提としている。2025年でもギリギリのタイミングというFGTが成功するかは不確定な面がある。FGTが失敗すれば、敦賀乗換が永久に続くことになる。 これでは、関西-北陸間の交通事情は永久に改善されず、JR西日本としても、全線開業にともなうメリットを享受できないわけである。関西の自治体にとっても、当面の負担は回避できても、これまで関西経済圏だった北陸が首都圏に組込まれてしまうことになる。 最悪、FGTが実用化できなくても、名古屋-北陸は敦賀-米原間を改軌・ミニ新幹線化することも可能である。 ひとり、関西だけが、取り残されることになる。 JR西日本にしてみれば、JR東海の線路を走ることになる米原・湖西ルートは避けたいかもしれない。 しかし、小浜ルートでは京都を通らないことで、JRにとっても収益性は低くなるというマイナス面がある。 また、新大阪駅は地下駅になり、乗換に苦労することで、メリットも減殺される。 湖西ルートなら、減収分は京都-新大阪だけで済み、全線開業による誘発効果で相殺することも考えられ、JR西日本としても受け入れる余地はあるでしょう。 一方、関西の自治体にしても、米原ルートがダメなら、次善の策は湖西ルートになる。湖西ルートなら、滋賀・京都・大阪で分担できるのに対し、小浜ルートではメリットの薄い京都府が非協力なら、大阪府が肩代わりを求められる可能性が強い。一層建設コストが高いうえ、事実上、大阪府が全面的に負担する必要があるなら、大阪府としても難色を示すでしょう。 リニア全線開業後、東海道新幹線・名古屋-新大阪間をJR東海から西日本に移管するといった策が可能なら、米原ルートで決着できるが、敦賀以西ルート問題は、リニア開業時期、FGTの成否や自治体の思惑により、まだまだ流動的である。いたずらに結論を急がず、将来的に悔いの残らない選択をした方がいいでしょう。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2015.03.18 00:25:04
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