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カテゴリ:鉄道
北陸新幹線は、小浜・京都ルートで決着したとは言うものの、地元負担を巡っては、まだ一悶着ありそうです。京都府は、負担の割にはメリットが少ない。大阪と北陸を往来する利用者のために、通過地の京都が負担を強いられることに不満のようである。 また、滋賀県もルートから外れながら、湖西線分離を押し付けられた挙句、「関西全体で負担」という過去の合意で、負担を強いられることに反発している。 一方、受益地とされる大阪府は、「地元負担のルールを見直す必要はない」との姿勢だ。 (H28.12.29 産経新聞) http://www.sankei.com/west/news/161229/wst1612290033-n1.html (H28.12.28 日経新聞) http://www.nikkei.com/article/DGXLASJB27H3N_X21C16A2LDA000/ (H28.12.22 日経新聞) http://www.nikkei.com/article/DGKKZO10958700R21C16A2LDB000/ 地元負担を巡って、各府県が押し付け合いをしている模様だ。 もっとも地元負担と言っても、半分程度は交付金等で返戻される仕組みになっている。 実質的な真水部分の負担は、半分程度だ。 その程度の負担で揉めるというのは、本当のところ、北陸新幹線大阪延伸など、関西の自治体にとって、負担に見合うほどのメリットがないということだろう。 関西全体で負担というなら、大阪府は属地以上の負担を背負うことになる。 場合によっては、ルート上にない兵庫県あたりも負担が回ってくる。 大阪府も他府県の負担を肩代わりしたまでやりたくないというのは、「負担はよそに、受益はウチに」という地域エゴとも取れるし、肩代わりすると言いながら、いざ建設が始まると負担から逃れるというのでは、「口だけ人間」「約束を反故」との批判が起こりそうだ。 関西広域連合が米原ルートを提案した時は、滋賀県の負担を大阪府等が肩代わりするスキームを作った。建設費の安い米原程度なら、肩代わりしても大したことないと思えたのだろうが、小浜京都では米原の4倍程度に膨れ上がった。 しかし、大阪にしても、属地負担だけで相当額に上るうえ、それほど受益のない事業に、他県分まで肩代わりしてくれというのは勘弁してくれというところだろう。 JR西日本も、滋賀県を避ければうまくいくと思っていたのだろうが、いささか見通しが甘かったのではないだろうか。 滋賀県を避けたところで、今度は京都府が同じことを言い出しているのだ。 それだったら、旧湖西ルートに近い敦賀-上中-大津-京都ルートを採用し、負担は関西全体で行うスキームを考えた方が良かった。そして、京都以西の建設は見合わせる。 小浜-京都ルートのような距離的に遠回りで、かつ峻険な山地、自然保護区域や活断層、京都市街地を縦断するなど、わざわざ困難なルートを敢えて採用する必要はなかった。 北陸の東京シフトに焦りを強めた関西財界ではあるが、2兆円という巨額の費用のかかる事業の必要性を再考したほうがよいだろう。
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