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あずさわ日記

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2012.04.10
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カテゴリ:カテゴリ未分類
屋根裏のピアニスト

赤い煉瓦のアパートだった。
春の黄昏れの陽射しを浴びて
静かに建たずんで居た。
夕刻の6時頃だった。
アパートの五階の明かりが灯った。
しばらくすると、
軽やかなピアノの音が聞こえて来た。
「又、始まったよ。」
501号室の住人トムソンは、
元々音楽は好きだったが
最近引っ越して来たこのアパートが大のお気に入りだった。
煉瓦造りで五階建てなのにエレベーターも無いので
初老の彼には少し辛い事も有るのだが、
仕事から帰って来て、
ふと気がつくと
毎夜上の階からピアノの音が聞こえて来るのだった。
それを楽しみにして居たのだったが、
良く考えて見ると、
このアパートは確か五階建てで、
自分の部屋は五階で有った。
そして階上からピアノの音が聞こえると云うのは不思議だった。
「ま、いいや。」
あくる日もピアノは続いた。
夢の中でも聞こえた。
トムソンが広いコンサートホールの
一等席のふかふかの座席に座ると
スポットライトに照らされたピアノの前には、
耳の大きなピアニストが、
深々と頭を下げると椅子にかけて演奏会が始まります。
「雨垂れの前奏曲」
「別れの曲」
「革命のエチュード」
「幻想即興曲」
「英雄ポロネーズ」
「華麗なる大円舞曲」
「別れのワルツ」
「子犬のワルツ」
会場は割れんばかりの喝采。
突然ライトが消えると
彼は目を覚ましました。
階上で何か物音が聞こえました。
トムソンは眠り込み、
やがて朝に成りました。
それ以来彼は二度とピアノの音を
聞く事は有りませんでした。






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Last updated  2012.04.10 06:28:54
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