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香納諒一執筆日記

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2009.08.30
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カテゴリ:カテゴリ未分類
 2度目の夏休みで、どっかに1泊旅行を、と思っていたが、明日は台風が来るということだし、「熱愛」の進行が今月はどうにももたついているしで、一日だけ遊ぶことにする。
 総選挙の投票し、国民の義務と権利を行使したあと、バスで目黒駅、JRで新橋駅と移動し、そこからゆりかもめへ。
 息子は電車好きで、ゆりかもめに乗せると喜ぶだろうと思ったため。
 私は子供の頃、一切乗り物には興味がなかった。車はすべて「車」であり、電車はすべて「電車」としか認識せず、それ以上名前を憶えなかった。
 ようは歩くよりも速ければいいわけで、それ以上の種類分けに何の意味があろうか、と思う子供だった。
 こういった点については、そのまま現在に至り、私は一切のブランドに対して無敵な人間に成長した。何も知らないのだ。どうだ、参ったか。
 と、のっけから誰に何を威張っているんだ?
 話を戻せば、私の父は、そんな子供だった私に些かがっかりしたようだ。
 電車の名前もバスの名前も、いろいろ細かく教えてくれた。
 私はそれを何一つ覚えられなかった。
 関心が持てなかったのだ。
 関心が持てなかった、ということでいうと、ひとつ鮮烈な記憶がある。
 アポロが月に到達した日のことだ。
 あの映像を、両親はテレビで食い入るように見つめ、私のことも呼び寄せたが、私は何の関心も持てなかった。
 既に想像の世界では、人類は何度も月に立っている。今さら現実に立ったところで、何を驚くことがあろうか、と思ったためだった。
 閑話休題。
 さて、自分が父親になると、バスや電車の名前を憶えて片端から誇らしげに揚げていく息子という生き物は実に興味深く、面白く、そして愛おしい。
 ゆりかもめも大変に喜んでいた。
 が、今日はいったいどうしたことか、新橋から日本テレビがある駅あたりまではもの凄い混雑。
 駅員さんに話を訊くと、実物大ガンダムと「24時間テレビ」の影響だという。そうか、そんなことがあったのか。
 私は人が多いところが苦手で、些か難儀をしたが、それ以外の地域はほどよく寂れていてよしよしだった。
 来年壊される予定の観覧車に乗り、その傍にあったトヨタの展示場のようなところに何の知識もなく入り込むと、自動運転で走る電気自動車の試乗や、子供たちに簡単な「科学的な遊び」をさせるコーナーがあって、結構遊べる。
 結局、ゆりかもめも豊洲側の空いている区間を2往復乗った。
 今日、ゆりかもめで走ったお台場一帯は、私が書き続けている刑事シリーズK・S・Pの第2作め「毒のある街」で舞台にした地域だ。また、有明や対岸の芝浦の辺りは、「記念日」という作品でも使っている。
 これらの作品を雑誌連載したのは、僅か2,3年ほど前なのに、その当時の風景とはまた大きく変貌を遂げていることに驚いたりもした。
 帰宅後、ビールを飲みながら選挙速報を見る。
 いつもながら驚くが、8時から開票なのに、8時から既に「当確」が続々と出る。
 このスピードは何なのだろう?
 息子を相手に、「あれは誰かが前倒しで選挙の投票箱の中を覗いているから出せるんだよ」などと教えているのをかみさんに聞かれ、怒られる。
 バスや電車の名前を教える父親のほうがいいだろう。
 今日は仕事は頭から離すことにして、夜は読書。
 時々引っ張り出しては読んでいる「路上遊書日記」(南陀楼綾繁 右京書院)を楽しみながら読む。なにしろ今日は休日だ。
 この本には、私の好きな人たち、好きな本たちが、まあ実に次々にこれでもかというぐらいに出てくる。あまりにそれが重なっているために、もしかしたらこの人は私なんじゃないか、と思うぐらいだ。
 私は昔編集者だった関係で、この本に触れられている方たちの何割かとは会い、一緒に馬鹿話をして酒を飲んでいる。
 無論、全然面識のない方もいる。
 本人と会っていようといまいと、面白い人は面白いとわかる。それが本を介在して誰かを知るのの一番ありがい、素晴らしい点だ。
 今夜読んだ条りでは、三角寛、小沼丹、石井輝男、獅子文六といった人たちの本を、南陀楼さんが古本屋で買う話が出て来る。
 私も古本屋で見かけたら、当然買う人たちばかりだ。
 ――というか、当然のように既に買って来てしまったので、もうこれ以上本は増やさないぞ、と、今は日々自分に言い聞かせて暮らすようになっている。
 1975制作の「実録3億円事件 時効成立」に触れられていて、ああ、懐かしいなあとしみじみ思う。
 東映は、当時、こういういい加減な映画をたくさん作っていたのだ。この作品は、しかし、金子信雄、岡田裕介、小川真由美の絡みがすごく面白かった。
 「随筆 本が崩れる」(草森紳一 文春新書)も出てくる。私は草森さんの担当で、この本は、私が社を辞めたあとで文春から出版されたものだが、家を埋めた本が崩れて風呂場に閉じ込められ、そのまま本とともに命を落としそうになった話は、担当当時、草森先生御本人から聞いている。この方も、実に愛すべき、変わったお爺さんだったなあ。
 今日は休暇のせいか、最後にもう一度話が逸れる。
 去年、どこかの高校が行ったアンケートで、「なりたい職業」のトップが「地方公務員」で、その理由が「安定しているから」だといったニュースがテレビで報じられるのを見たことがある。
 担当の先生方がアナウンサーのインタビューに答え、「我々の指導の成果です」と胸を張っていたのを見て、私はかなりの驚きと違和感を覚えた。
 一緒に酒を飲んで最も面白いのは、よくぞまあこんなことをしていて飯が食えるなあ、といったようなことを、まあ実に何年もやり続けた挙げ句、常人の及ばない域にまで行ってしまっているような人たちだ。
 私は地方公務員という仕事を否定するつもりはさらさらないが、「安定しているから地方公務員になりたい」といった答えをする高校生を作って「指導の成果です」と胸を張るのは、如何なものかと思えてならない。
 閑話休題、ふたたび。
 20代や30代だった頃、まあ妙なものに興味を持ち、それを好きなように突き詰めて、よくぞその結果として飯を食ってるなあ、と驚かされる人はみな自分より年上だった。
 大げさに言えば、私はそういう人たちに人生(「生活」と言うほうがしっくり来る)の楽しさを教わった。
 しかし、40代も半ばになった今、そういう愉快な突き詰め方をし、よくぞまあと思わせるような連中が、自分よりも年下にも数々いると知るようになった。
 南陀楼さんも、そんなおひとりだ。
 私は南陀楼綾繁さんのファンなのだ。





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Last updated  2009.08.31 01:56:20
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