カテゴリ:保険
「イスラム金融」という言葉をご存知でしょうか?。イスラムの教義に基づいた金融手法のことです。特に、一般の金融と比べて特異なのは利子がないというか、金利という概念を用いないことです。イスラムの教典「コーラン」が利息を取ることを禁じているからです。
そして、相互扶助的な色合いの強いイスラム金融商品が、「タカフル」と呼ばれるイスラム保険です。タカフルは、イスラム教の教義に沿った保険に相当する制度なのです。 1979年にスーダンで創設されました。タカフルとはアラビア語で相互扶助を意味します。 保険は、イスラム教の教義で禁止されている「不確実性」と「投機行為」に相当すると考えられているため、「相互扶助」と「寄付」の概念を組み込んで保険に近い商品性を提供しているのです。 タカフルでは、契約者がタカフル会社に対して一定額の保険料を支払う契約を結びますが、保険金と利子の受け取りについては契約に含めず、それとは別にタカフル会社が運用益の一定比率を契約者に支払う契約を結びます。 加入者が支払う拠出金(保険料)でファンドをつくり、それをタカフル会社が予定利率を保証するのではなく、手数料をとって管理・運用するものです。 契約期間中に保険事故が発生した場合には、タカフル会社が災難に遭った契約者への寄付として保険金を支払います。 タカフル会社には、イスラム法に反していないか審査する委員会を社内に設ける必要があるなどの制約が設けられています。 東京海上日動火災保険は、12月10日にエジプトの首都カイロに現地企業と合弁でタカフルを取り扱う会社を設立すると発表しました。エジプトで外資系保険会社がタカフル事業を手がけるのは初めてだそうです。東京海上日動がタカフル会社を設立するのは5か国目です。 合弁相手は、中東諸国で事業展開をしている投資会社のエジプト・クウェート・ホールディング・カンパニー(EKH)。すでにEKHがエジプト保険監督庁から生命保険に相当するファミリータカフルと損害保険に相当するゼネラルタカフルを取り扱う2社の事業免許を取得しており、来年中の会社設立と営業開始を目指して準備を進めているそうです。 合弁会社の資本金は2社合計で3000万エジプトポンド(約6億円)。東京海上日動は40%を出資します。エジプトの保険普及率は1%未満にとどまっていることから、高い成長が見込めると判断し進出を決めたということです。 社長はEKH側が出す予定ですが、東京海上日動も役員数人を派遣する予定だそうです。開業後3年をめどに黒字転換を目指します。 東京海上日動は、サウジアラビアの合弁会社で2001年からタカフル事業に参入。現在は、マレーシア、インドネシアを含めた3カ国で元受け事業を、シンガポールで再保険(リタカフル)事業を展開しています。今後も、中東などイスラム諸国でのタカフル事業を積極的に展開していくそうです。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2007/12/16 11:42:47 PM
コメント(0) | コメントを書く
[保険] カテゴリの最新記事
|
|