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2005年12月18日
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カテゴリ:戦争映画
 昨日大雪の中、見に行ってきました。
2005 東映 監督:佐藤純彌
出演:松山ケンイチ、反町隆史、中村獅童、山田純大、蒼井優、仲代達矢、鈴木京香ほか  
143分 カラー

 
 ノンフィクション作家辺見じゅんの原作「男たちの大和」の映画化で、久方ぶりの骨太戦争映画と大いに期待させられた。辺見氏は昭和50年代に戦艦大和の生き残り150人余のうち、117人にまで会い、この著作を執筆している。さらに、下手な脚色をすることなく、戦中・戦後の登場人物の人生そのものを描き、ノンフィクションものとしては至高の出来と思っている。以前に本作を読んだ感想をblogに掲載したのでそれを記しておく。

「辺見じゅん氏の取材の賜物ですね。よくぞここまで聞き取り、記録してくれました。生き残った「男」達の心情とともに、亡くなった方々への鎮魂の気持ちを強く感じました。確かに、ノンフィクションとしての衝撃性や興味も十分にあるのですが、読み終わっての感想は、戦争は体験した者にしかわからないということでした。
 いくらリアルに聞きかじっても、バーチャル体験しようとも絶対に越えられない山があるのだと思います。体験者は武勇伝、怒り、悲しみを言葉で語る事はできますが、その言葉の裏に絶対に言葉に出来ない出来事があるような気がします。それは、本書の後半部分にも良くでてきますが、大和生き乗り兵の戦後の苦しみと、大和戦死者の遺族の悲しみです。
 我々戦後の人間や戦争を体験しなかった人にとっては、戦争を反省し、語り継ぎ、罪を許す行為は出来ます。もちろん、戦争当事者も贖罪し、許すことは言葉の上ではできるでしょう。しかし、実際に隣で血を流して死んでいった戦友や、二度と帰ってこない肉親がいるという現実は、当事者にとって贖罪や許し合ったところで絶対に取り消せない事実なのです。心でいくら考えようとしても、本能的に拒否する気持ちを戦後もずっと抱き続ける様子が、本書では実にリアルに描かれています。理性や理屈では「生きて」いけない人間の性のようなものを感じるのです。戦争とは、こうした人間の性の積み重ねの上に成り立っているのだと実感します。それは、人間の「生」に対する永遠のテーゼであり、決して単純に「反戦」ではないことを強調しておきたいところです。」


 私の本映画に対する過剰とも言える期待感はここに始まっている。とはいえ、こうした心情表現を映像化するのがいかに難しいかと言うことも理解はしているので、100%の出来は毛頭期待していなかった。果たしてどこまで原作に近づけられるか、そして原作の意図するところ、さらには人間の「生」の本質に迫ることができるかが気になるところであった。
 結論から言えば、私の期待度に対して、本映画は75点というところであった。

 まず、原作に対する忠実度ではかなりの減点要素となった。士官以上の登場人物は実名だが、下士官、兵卒は架空の名前となっている。明らかにモデルがわかり、エピソードも実話をもとに構成してあるが、かなりの部分で脚色もしくはフィクション構成となっている。もちろん脚本を辺見氏がチェックしてOKを出しているのだから、原作の意図は受けているとも言えるのだろうが、果たしてここまでフィクション化する必要があったのだろうか。短い本編に数多くのエピソードを盛り込むことは無理なのは承知だが、原作はノンフィクションにもかかわらず、映画はフィクションというのではその価値も半減以下である。近年の映画はこうした「脚本化」という作業が一般化しているようだが、ノンフィクションのノンフィクションたる所以を軽視しているように思える。事実だと思って観るからこそ、思い入れと疑似体験ができるのだ。これでマイナス10点。

 次に、ストーリー構成だが、予告編にあったとおり、鈴木京香と仲代達矢が演じる現代シーンが多く用いられている。大和乗組員の娘さんが大和沈没地点へ行くというエピソードは実話であり、大和を語る上では欠かせない重要なキーワードを含んでいる。それ故に、このシーンを入れることは大和乗組員とその家族を少しでも身近に体感する上で、必要不可欠なものであることは理解するが、余りにそのシーンが長すぎる。こちらは映像の専門家ではないので良くわからないが、プロローグ、エピローグに少量入れるくらいの方がずっと効果的ではなかったか。鈴木京香が漁船をチャーターするシーンや仲代が倒れるシーンなどは全く無意味としか思えない。佐藤監督が意図的に映画の主題を異なった方向に持って行こうとしているのかと思わせる。
 辺見さんが読売新聞の特集でこう述べていた。「・・・今度の映画も、戦争映画ではありません。映画関係者には、戦争反対だ、戦争は悪だという視点ではなく、戦いの中での人間の生き方を中心に愛と死の物語を描いて欲しいとお願いしました。戦争の凄まじさは、観客が映画を通して、感じ、考えて欲しいと。・・・・」
 どうやら監督は、現代の愛と死の物語にしたかったようだ。反面、主人公たる主役級の人物の愛と死の部分はかなり省かれている感があった。確かに、戦時の感覚での愛と死の物語では現代一般受けしそうにもない。だが、せっかく戦時のシーンで感動の極地に至ろうかというところで、必ずと言っていいほど仲代と鈴木京香が出てくるのは興ざめの極みであった。これでマイナス10点。

 残りのマイナス5点は、3人の主役級下士官である反町、中村、山田の演出。3人とも役者としてはインパクトもあってなかなかよろしいのだが、ちょっと「ムルデカ」を思わせる過剰演出なのだ。原作から見ても決して間違いではなさそうだが、男気のある部分ばかりを集めすぎたのではないか。原作では彼らは彼らなりの人生観と苦悩があるのだが、そのあたりはいかにも軽々しく描かれており、映画中で理解できるとは思えない。特に、大和に限らず戦友の友情、友と一緒に死にに行くという感情は、戦時特有の究極の選択である。原作では、何故大和の乗組員が死を覚悟して行ったを突き詰めているのだが、映画では単に現代的友情のようにしか描かれていないのが残念。

 以上のようにかなり残念な部分をあげつらったが、それも私の過剰な期待があったからゆえ。単に映画としてどうか、という視点で見れば、近年の邦画の中では群を抜いた出来といえよう。
 まず、スケールの大きさは素晴らしい。広島県尾道に実寸大スケールを約6億円かけて建造するなど尋常ではない。紋章の艦首から巨大な主砲、そしてそびえ立つ艦橋の迫力は驚きだ。ただ、残念なのは、実物なのにCGに見えるところ。あまりに大きすぎてそう見えるのだろうか。
 戦闘シーンもかなり力が入っている。アクションシーンはスタントマンを使っての激しさだ。細かな火花や飛び散る破片、べったりとつく血糊など、海外も含めて艦上シーンを扱った映画でこれほどリアルな戦闘シーンは見たことがない。ただ、苦言を呈すれば、小細工に走りすぎたためかスケール感がなく、いかにもセットという印象は拭えない。スタントもちょっとやりすぎかな。
 ストーリーとしては、先にも述べたように、現代シーンが多すぎて流れをかなり切っている。従って、感動シーンとなるべき部分がぶち壊されているのだが、唯一、生き残った年少兵が遺族の元を訪れるシーンに原作の意図が刻まれていてほっとした。こういう場面をもっと多用すれば大作になっただろうに。
 役者陣は先に挙げた3人の下士官(反町、中村、山田)は良かった。中村獅童の演じた内田二曹はまさに原作のイメージ通り。ちょっとインパクトありすぎだが。また、松山ケンイチらの年少兵も悪くない。いかにも少年らしい純朴さが表れていた。それに比しておじさん連中は今ひとつ。先に挙げた仲代達矢をはじめ、司令長官役の渡哲也、艦長役奥田瑛二、草鹿参謀長役林隆三らは全然軍人らしくないし、なんだかしょぼくれた演技が目に付いた。臼淵大尉役の長島一茂は・・・何も言うまい(ここだけ笑うシーンかと思った)。このほか、個人的趣味だが(笑)、松山ケンイチの恋人役に蒼井優という子が出ていたが、この子ははまり役。とってもかわいいし、演技も良かった。

 最期に主題歌はエセ平和主義者長渕剛。はっきり言って、こんなのに歌って欲しくなかったが「CLOSE YOUR EYES」という歌自体はなかなか良い。もう一つの「YAMATO」は駄作。長渕曰く「LOVEを感じられればいい」んだそうだ。

 大いなる期待から言えば、出来は★3つ半といったところだが、やはり大和を扱った貴重な映画でもあり、是非多くの人に戦争映画を見て貰いたいという気持ちもあって★4つにした。



興奮度★★★★
沈痛度★★★
爽快度★★
感涙度★★★★







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最終更新日  2005年12月18日 11時47分58秒
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