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2006年09月17日
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カテゴリ:戦争映画
ビデオ 2006 松竹  監督:佐々部清
出演者:市川海老蔵、 伊勢谷友介 、上野樹里 、 柏原収史 、伊崎充則 、香川照之 、古手川祐子 、三浦友和ほか
約120分 カラー


早速初日に見てきました。初日なのにお客はまばら。でも一応ハンカチは必要系の映画です。

 敗戦色濃くなった1944年から海軍が海の特攻兵器として採用した人間魚雷回天。明治大学野球部のエースだった青年が、野球の夢を捨て回天搭乗員となっていくという、横山秀夫の原作「出口のない海」を山田洋次が脚本を担当して映画化したもの。主演は11代目襲名して初映画主演の市川海老蔵。題材が題材だけに泣ける映画として期待も高まる。
 結論から言うと、邦画としてはコンパクトにまとまっているし、ストーリーも単純すぎず複雑すぎず、ツボを押さえた程よい作り。映像的にも傑出したものはないが、駄目出ししたくなるような悪劣なものでもない。原作は感動作との評判もあるが、私目にははっきり言ってお子様向けの軟性小説でしかなかったが、映画では原作を超えてうまく要点を押さえ、幾度も感動的場面を作り出している。以上の点を総合すればかなりの名作、と言いたい所だが評価はタイトルにあるとおり。

 まず、残念だった点から先に述べると、本作は映画館で見るべき作品と言うよりは、テレビの2時間特別ドラマといった印象を受けたこと。映画館の広い画面から私の五感に迫ってくるものがない。先にコンパクトにまとまっていると書いたが、まさにコンパクトすぎて画面や台詞、演技から真に迫るものがない。加えて、エンディングに流れる竹内まりやの主題歌「返信」は、私が刷り込まれてしまったせいもあるのだろうが、テレビドラマのエンディングそのもの。
 次に、本作がフィクションである点。これはもう致し方ないところなのだが、いくら回天を取材したとはいえ、架空の人物であるとわかっていると、感動的シーンもいささか興ざめなのだ。迫り来る恐怖心、逃げ出したい葛藤、切なく心残りの愛、いずれも感動を呼び起こす重要なテーマだが、リアリティなしには伝わりにくい。目に浮かんだ涙が流れ落ちるか留まるかの違いなのである。もちろん、フィクションとして感動的に練られた小説であるからこそ、ここまで感動シーンを創作できたわけではあるが。まあ、この点は戦争映画オタクからすると不満だが、一般の方は素直に感動できるのかもしれない。
 このほか、映画の根幹を担う役者。並木少尉役の海老蔵さんには何の恨みもないが・・・戦争映画の役者として演技力は落第点。顔の表情が乏しく、恐怖や喜怒哀楽の違いが全然伝わってこない。北中尉役の伊勢谷友介もとても個性的な演技をしてはいるが、シリアスものとしては何か勘違いしている。ムルデカならいけただろう。潜水艦艦長役の香川照之はいかにもいそうな艦長風貌だが、ちょっと饒舌すぎ。光基地の剣崎大尉役は高橋和也。個人的な印象で申し訳ないが、男闘呼組のイメージが強すぎて・・・「タイムゾーン~」とか歌い出しそうですごい違和感。逆に良かったのは沖田兵曹役の伊崎充則と佐久間少尉役の柏原収史。伊崎は良い味出してるのだが、もう30歳近いというのにまだ少年役というのが凄い。柏原収史はかなり映画に溶け込んだ演技をしており好感が持てたが、ただ一点、出撃の際に「二号艇発進用意よし!」の台詞で緊張と興奮のあまり声が裏返る演技がわざとらしくて気にくわない。同じ声の裏返りなら「人間魚雷 あゝ回天特別攻撃隊(1968東映)」の松方弘樹の演技の方が数段上。さすが松方さんだ。
 このほか、女性軍では恋人役の上野樹里、妹役の尾高杏奈ともにかわいい。こんな女性なら守ってあげたくなるし、手放したくないわな。登場するだけで胸がキュンとしますな(爆)。ただ、母親役の古手川祐子はちょっと戦時下の婦人としては似合わないかな。
 余談だが、「男たちの大和(2005東映)」でもそうだったが、現代回顧シーンを挿入するのはいかがかと思う。大和では冒頭であったが、こちらでは最後に持ってくる。感動した気持ちのまま終わってくれた方がいいのに、潮が引くように精算されてしまうのは興ざめだった。最近の流行なのだろうか。

 なかなか良かった点としては、無駄なCGがあまりないこと。無論、水中の爆雷シーンなどは致し方ない所だが、戦闘シーンを極力省いた結果でもあろうが、その分幻滅する回数も少なかった。また、本作では回天内部のセットがかなり細かく再現されている。回天操縦の手順も細かに映像化しており、難しいとされる回天操縦の一部を認識できたような気がする。並木少尉が初操縦訓練で失敗して上官に殴られた際に、「覚えられるわけないだろう!」とキレた演技は、ある意味リアルで面白かった。
 また、回天搭乗員の心情表現はなかなか秀逸。出撃搭乗前の心境から発進直前の心境の変化、さらに出撃中止命令後の心情変化とめまぐるしく変わる姿をうまく表現している。航空機特攻隊に比べて状況即応的行動に左右される回天搭乗員の気持ちというのは察するに余りあるからだ。戦友との別れ、艦長との決別の辞など涙なしには見れない。これまでの回天モノ映画にひけをとらない出来となっている。

 全体として、政治的、思想的なメッセージ性も特になく、フィクションとはいえども回天特攻隊の実像に限りなく迫った内容であると言え、見るべき価値のある映画と言える。内容的には是非多くの人に見て欲しいと思うのだが、映画としてどうだというと、DVDレンタルでもいいかもなと思ってしまうものであった。

興奮度★★★
沈痛度★★★★
爽快度★★
感涙度★★★★


(回天を扱った映画)
 人間魚雷回天(1955 新東宝) ★★★☆
 人間魚雷出撃す (1956 日活) ★★
 人間魚雷あゝ回天特別攻撃隊(1968東映) ★★★★


!(以下 あらすじ ネタバレ注意 反転でご覧下さい)
 明治大学野球部のエース並木は肩を壊し、変化球(魔球)への意欲を見せるが、キャッチャーの剛原とは意見が対立する。彼らが集う喫茶店「ボレロ」で、並木は元陸上部の北から、いつまで野球にしがみつくのだと馬鹿にされる。マラソン選手だった北はオリンピックが中止になったために陸上部を退部していた。
 戦雲急を告げ、ついに学徒出陣壮行会が開催される。並木や野球部マネージャーの小畑らも参加するが、北は一足先に海軍に志願していた。並木はどちらにせよ軍に招集される運命と悟り、野球を続けることを悩み始めていた。その日、東京中野の並木の家には恋人の鳴海美奈子が来ていた。二人は愛し合ってはいたが、時代は二人を離ればなれにするのだった。
 並木はついに海軍入隊を決意する。そして、入隊した海軍対潜学校で校長から特別任務の志願者募集の訓辞がある。極めて危険だが、戦況を打開する秘密兵器だというのだ。ともに入隊していた小畑は志願できなかったが、並木は志願する。それは特攻兵器回天搭乗員の募集だったのだ。
 先頭に1.6トンのTNT火薬を搭載した回天は九三式酸素魚雷を基に作られたもので、その操舵性は著しく困難であった。山口県光基地に配属なった並木は厳しい訓練を続け、単独航行の訓練に挑むが、イルカ運動のすえ危うく命を落としそうになる。そんな所に、あの北が赴任してくる。北はすでに中尉になっていたが、過去に回天出撃で艇の不良で戻ってきていた。また、基地の整備員には野球好きの伊藤兵曹がおり、並木とキャッチボールや野球談義に花を咲かせる。そして、ついに並木にも出撃の日が近づいてくる。
 最後の別れに実家に戻った並木だが、一晩の滞在しか余裕がなかった。美奈子に連絡をしていなかった並木だったが、妹の幸代は美奈子に電報を打つ。しかし、美奈子は来ず、ついに翌日の列車の発車時間となる。そこにようやく夜勤明けの美奈子がやってきて二人は束の間の再会を果たす。
 北中尉を隊長とし、並木少尉、佐久間少尉、沖田兵曹の回天搭乗員4名は、鹿島艦長のイ36号潜水艦に搭乗して出撃する。敵駆逐艦の爆雷攻撃を鹿島艦長の巧みな技と金比羅様のご加護で乗り切るが、沖田搭乗の回天四号艇が故障してしまう。沖田は失意の底に沈むが、残りの三名が逆に励ます。そして、ついに敵輸送船一隻を発見。北、佐久間、並木の三名は回天に乗船待機し、北に発進命令が出る。しかし、北の艇は故障で発進できず、代わりに佐久間艇が発進し見事撃沈を果たす。
 残された艇は並木のみだが、北は並木に代わってくれと懇願する。貧しい農家の出の北にとって、オリンピックが夢だったが、それが潰えた今、特攻で死んで軍神になるしか道がないというのだ。並木はそれを受け入れず、敵駆逐艦発見の報とともに回天に乗船する。艦長から言い残すことはないかと聞かれ、並木は野球仲間、父母、妹、恋人の顔を浮かべながらも、「ここまで無事に連れてきてくださって有り難う御座います。皆さんのご無事を祈っています」と告げる。しかし、並木の艇もまた故障のために発進できず。生き残った並木だったが、その怒りを整備員の伊藤兵曹にぶちまける。
 光基地に戻った並木は待機中についに魔球を投げることが出来る。そして、8月15日の終戦を迎えるのだが並木は出撃訓練の最中に着底事故で殉職してしまう。翌9月の台風で並木の回天が海岸に打ち上げられる。GHQに連れられてきた伊藤は回天のハッチを開け、並木の遺体に涙する。並木は死の直前に薄れる意識の中で、伊藤や美奈子あてに遺書を残していた。
 現代・・・山口県大津島基地跡。一人の老人がやってくる。あの伊藤兵曹だった。伊藤は並木から貰った野球ボールを海に投げ込むのだった。 


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最終更新日  2006年09月17日 06時01分03秒
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