1999 アメリカ 　監督：マーク・ローバー
出演者：グレッグ・コリンズ、ジョー・ララほか
９７分　カラー　

　テレビムービーらしいが、英題がオペレーションデルタフォース４となっているように、シリーズ化されており、1997年の１から1999年の５まで制作されている。いわゆるＢ級アクション映画の類だが、本作は同じＢ級でも登場する兵器類やロケーションの観点ではスケールが大きいほう。だが、戦闘の設定やアクションという点ではまるで駄目駄目。
　主役はもちろんアメリカ陸軍特殊部隊のデルタフォース。前後半で二つのミッションがあり、前半はセルビアを舞台にコソボ紛争戦犯であるセルビア軍将軍収容作戦で、後半はトルクメニスタンとオレゴン沖の島を舞台に核テロを企てる科学者との対決である。前半のセルビア軍との戦闘シーンまでは比較的ましだったが、後半はもうぐちゃぐちゃ。

　とても不思議なデルタフォースをご紹介しよう。雪山の秘密潜入だというのに赤い目立つジャケットを来ていたり、武器を何も持っていなかったのにいつの間にかＡＫ-47 を持っていたりする。雪山からスキーで下りるシーンも明らかにずっと後方にいたはずなのに先回りできちゃったり、スノーボードでクネクネしながら銃を乱射してみたり、戦車がトラックよりも速く走って道をふさぐなど、ちょっとありえない場面も。極めつけはいきなり敵戦車(T-72）を乗車操縦、さらに発砲できるだけでなく、いつの間にか作った火炎瓶一つで撃退してしまうのである。また、T- 72の主砲発射弾を回転レシーブで避けるなんて神業。また、核ミサイルの発射時間もセットした本人しかしらないはずなのに、いつの間にか皆知っている。どこにタイマーが表示されているのだろう。とにかく、探し出すとキリがないほど不自然な展開。

　ロケ地はブルガリアらしい。そのため、登場する兵器類はみな東側兵器。そういえば、デルタフォースが扱う銃も皆AK-47だった。国連軍のヘリとして登場するのは白の機体に「UN」と書いたMi-8ヒップ。後半にテロリスト（ロシアマフィア）側で登場するヘリも「UN」の書いていない同じ白いMi-8ヒップ。またロシアマフィアの有する戦車はT-72ＭかT-90。これを借りるだけでも結構大変そう。
　アクションで秀逸だったのは市電が横転して横滑りしていくシーン。次々に乗用車に衝突し、地面からは火花が。ロケにしても地面は痛むし、良くＯＫが出たものだと感心する。このあたりはＢ級にしては金がかかっている。

　せっかく前半は良い感じだったのに、後半に行くに連れて非現実的で突拍子もない展開になってしまったのは残念。それでも同じ、オペレーションデルタフォースシリーズではこの四作目が一番良いとの評判もあり、ほかの作品の出来はいったい・・・・。




興奮度★★
沈痛度★★
爽快度★
感涙度★


（以下　あらすじ　ネタバレ注意　反転でご覧下さい）
　国連はコソボ紛争の戦犯として捕らえたセルビア軍のグラノビッチ将軍をヘリでインコニカの山村に移送していた。セルビア軍に捕まったアメリカの地震調査団の人質と引き替えのためだ。
　村では同じセルビア軍の戦犯ナビージャ将軍が出迎えるが、そこをアメリカ陸軍特殊部隊デルタフォースが急襲する。人質救出とグラノビッチ将軍の再逮捕のためだ。隊長のラング・スキップ大尉、マック軍曹はグラノビッチ将軍を追いつめるも、マック軍曹が将軍を射殺してしまう。人質にも被害が出たがなんとか国連ヘリで脱出する。スキップ大尉はマック軍曹が戦場で恐怖を感じていない事を危惧し、恐れを持てと助言するがマックは理解できない。
　トルクメニスタンのカラルチェフでキューバ系アメリカ人のオリビア・ガルシア博士がロシアマフィアのボス、ボリス・ワシロフとプルトニウムの入手で密談を重ねる。ガルシア博士は核工学者で1989年まで国防省に勤めていたが、プロジェクト「ゼウス」が中止になったことに腹を立てていた。
　サンディエゴ地震観測所。ヒル博士は異常な地震波を観測し、人工的に核爆発で大地震を起こそうとする「ゼウス」計画に関係があるものと判断し、市の行政センターで記者会見を行おうとする。しかし、その最中に何者かに暗殺されてしまう。
　デルタフォースの５名は、ガルシア博士がプルトニウムを入手しゼウス計画を実行するのを阻止するために派遣される。博士のアジトであるカラルチェフスキー場の山荘を急襲するももぬけの殻で、プルトニウムを積んでいると思われるトラックが２台山を下っていた。スキーで追走するデルタフォースだが、その背後からはロシアマフィアが追ってくる。ロシアマフィアを撃退すると、デルタフォースは二手に分かれて追跡開始。
　列車に乗せ替えたコンテナを追跡するチームは市内電車等で派手なカーチェイスを繰り広げた後、列車を止める事に成功するがコンテナは空だった。一方、スキップ大尉とマック軍曹のチームはトラックを追いつめるが、敵の戦車やヘリコプターまで登場し、あと一歩の所で取り逃がしてしまう。
　デルタフォースは、「ゼウス」計画に詳しい女性ローリー・グレンジャー博士とともに、ガルシア博士の基地があるオレゴン沖のデルブランド島に急行する。内部に潜入するものの、すでにガルシア博士によって核ミサイルの発射スイッチが入れられていた。残り３０分。
　ミサイルを止めるにはミサイルの水銀スイッチを止めるしか方法がない。隊員のビッカーズが捨て身の攻撃で敵の陣地を突破する。しかし、ハッチ、ドクも撃たれ、スキップ大尉とマック軍曹だけがミサイルに到達する。スキップ大尉が支えて降ろすロープにぶら下がってマック軍曹が水銀スイッチのコードを切ろうとするが、ガルシアが銃で邪魔をする。スキップ大尉も撃たれて瀕死のところにドクがガルシアの狙撃に成功する。残りあと３秒というところでスイッチの切断に成功する。しかし、スキップ大尉は息絶えていた。

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