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カテゴリ:戦争映画
1984 アメリカ 監督:ジョセフ・ジトー
出演者:チャック・ノリス、M・エメット・ウォルシュ、ジェームズ・ホンほか 101分 カラー MISSING IN ACTION 地獄のヒーロー●チャック・ノリス DVD検索「地獄のヒーロー」を探す(楽天) ベトナム戦争後もベトナム国内に抑留された戦争行方不明者(MIA)救出を題材にしたアクション映画。いわゆる典型的B級ベトナム戦争映画であるが、チャック・ノリスにとってはその後の「地獄のヒーロー」「デルタフォース」シリーズの端緒となる作品である。チャック・ノリスは朝鮮戦争で従軍経験があり、米空手チャンピオンとしても知られる格闘家でもある。弟がベトナム戦争で戦死しており、本作はそのレクイエムとして製作されたということらしい。ほぼ同時期のシルベスター・スタローンの「ランボー」シリーズと双璧となりうる作品であったが、演出のチープさ、インパクトの弱さ、そして何と言っても主演俳優の個性から、残念ながら格落ちの作品というポジションに甘んじている。 本作は実際にあった戦争行方不明者(MIA)の問題を題材にしているが、戦後しばらくはベトナムら共産国側は不当抑留捕虜の存在を公式に認めていなかった。そのため、アメリカでは戦争行方不明者や戦時捕虜の捜索や返還を求める動きが活発となり、こうした反ベトナム作品が多く製作されている。ただ、その実態が闇の中であることも多く、このベトナム戦争捕虜奪還ものは、反ベトナム戦争、反ベトナムといったテーゼのもと架空のストーリーとして描かれることが多くなっている。本作も架空のストーリーで、ベトナム政府批判的な傾向が強い。 ストーリーはかなり短絡的な展開で、ベトナム潜入に至るまでの設定自体にリアリティが感じられない。潜入後も、安直な行動や戦闘が目立ち、とにかくMIAを救出さえすれば良いといった、強引に力で押すタイプの映画だと言える。起承転結に乏しく、伏線もクライマックスも盛り上がらないのだ。 また、チャック・ノリス自身も申し訳ないがスター顔ではないので、個人に感情移入できるタイプでもなく、助演陣も演技力や個性が活かされる起用にはなっていないのも残念。 本作の命となるアクション性だが、そのアクションも正直言って大したことはない。爆薬使用量、銃撃戦、格闘戦ともにじっくり描かれることなく、端折り気味で淡泊。さらに、敵弾に当たらない主人公はともかく、どれだけ撃っても弾切れしない機関銃や、MIAを目視確認していないのにベトナム軍キャンプを攻撃してしまったり、軍用トラックに追いつかれるジープ、ロケット砲を持っているのになかなか撃たずに味方を見殺しにするヘリなど、首をかしげる場面も多いのが気になる。 登場する兵器類はヘリコプターのUH-1イロコイと哨戒艇程度。フィリピンロケということなので、在比米軍のものを借りているのだろうか。 まあこんなもんかというレベルの作品。良いところを見つけようと思ったが、なかなか見つからない(笑)。見るに堪えない駄作というほどでもないので、チャック・ノリスの原点を見ようと言うのならば、それもありかな。 興奮度★★ 沈痛度★★ 爽快度★ 感涙度★ (以下 あらすじ ネタバレ注意 反転でご覧下さい) 38歳の退役陸軍大佐ジェームス・ブラドックはベトナム戦争当時の夢にうなされている。本人も7年間ベトナムに抑留され脱走してきた経緯があり、今もベトナムに残る2,500名余りの戦争行方不明者(MIA)の存在に心を痛めている。 折しもアメリカ政府はベトナム政府と国交復活を目指しており、その会議に上院議員はMIAの証拠を握るブラドッグ大佐を連れて行く。だが、ホーチミンに降り立ったブラドックはMIAはいないと言い切るベトナム軍トラン将軍と、かつて部下を虐待した幹部の姿を目撃し、不敬な態度を取る。その態度に怒ったトラン将軍らはベトナム人証言者を連れてきて、ブラドッグ大佐の戦争犯罪を非難し始める。ブラドック大佐に申し訳なさそうに話すベトナム人らに、わかっていると言う顔で大佐は去っていく。 ブラドック大佐はホテルで監視されるが、国務省の女性事務官フィッツジェラルドの部屋から密かに外出する。トラン将軍の屋敷に忍び込み、将軍を脅してMIAのデルタ収容所の場所を聞き出す。帰り際に反撃しようとしたトラン将軍を射殺し、守備兵との銃撃戦の末ホテルに戻る。ベトナム側はブラドックの仕業と疑い、部屋を捜索するが、すでにフィッツジェラルドの部屋に戻ったブラドックは戻っていた。 ブラドックはデルタ収容所に向かうため、タイのドン・ムアン空港に降り立つ。その後からベトナム軍の幹部が追う。ブラドッグ大佐はかつての戦友ジャック・タッカーを探してマダム・パールの売春宿に向かう。途中で視角に襲われるが撃退する。売春宿でタッカーを探し出し、1,000ドルで船をチャーターする。さらに、銃や急襲上陸用ボート、帰還用ヘリのチャーターを手配する。 いよいよ出航しようとした際にベトナム軍幹部が攻撃を仕掛けてくる。それを何とか撃退し、ベトナム軍幹部を殺害する。ベトナム沿岸に達し、ブラドッグ大佐はタックに12時間たっても戻らなかったら帰れと言う。だが、タックは陸にはあがらないぞと言いながら上陸用ボートの運転を受け持ち内陸部に潜入する。川を逆のぼっていくとベトナム軍の武装ボートに出会う。陸上にはベトナム兵がおり、見つかりそうになったブラドッグらはそれを撃退する。いよいよデルタ収容所付近に到着し、船にタックを残してブラドッグが潜入する。 収容所にはたくさんのベトナム兵がおり、ブラドッグは夜になって爆薬を仕掛ける。爆発とともに急襲し、ベトナム兵を壊滅するが、収容所にはベトナム人ゲリラ隊のディン軍曹らしかいなかった。米人MIAは数時間前にトラックで移送されたという。彼らを解放してブラドッグ大佐はトラックの後を追う。上陸用ボートでトラックに追いつき、銃撃戦が始まる。ボートがバズーカで破壊されるが、なんとか5,6名のMIAを救出することが出来る。だが、すぐにベトナム軍の追っ手がやってきたため、ブラドッグらはジープで海岸に向けて逃走。途中で反撃を繰り返しながら沿岸に待機する船を目指して海に入る。だが、沖からベトナム軍の哨戒艇が接近し、船に残っていたベトナム人が機関銃で反撃するも撃たれて死亡。危険を感じたブラドッグらは再び海岸に戻ろうとするが、タックだけは船に上がり機関銃で哨戒艇に応戦する。上空からようやく帰還用ヘリが到着し、ブラドッグらを吊り上げる。その間にタックは撃たれて死亡する。ヘリはロケット砲で哨戒艇を撃破しホーチミンに戻る。 ホーチミンではベトナム政府がアメリカとの和解会見を行っている最中だった。そこにMIAを連れたブラドック大佐が乱入するのだった。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2009年07月23日 21時45分56秒
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