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日の当たる白いポーチに出て 男はおもむろに 靴底の汚れを気にした。 たったそれだけの仕草で 私たちは全てを悟る。 静寂の中に漂う 異様なまでの緊迫感。 コインの表裏という 彼にしか解らない奇妙なルール。 「私は選ばない。 決めるのはあなただから」 搾り出すような それがたぶん 彼女の最期の言葉だっただろう。 必要か、必要でないかは 全く彼には意味をなさず 殺人は ただ起きてしまうこと。 そこにはいささかの戸惑いも躊躇もない。 男はどこにも属さず どこから来たかもわからず ただ混乱と恐怖と破壊だけを残して どこかへ去って行く。 理不尽なまでの邪悪さで。 もはや正義の力だけでは 何も変えられない世の中なのか。 奪われたたものを取り戻そうとすると、 さらに多くを奪われるのか。 私たちはあまりにも 多くの 殺しを目撃しすぎてしまった。 ![]() 観終わってふと気づいたのは この映画にはBGMがなかったってこと。 もしかしたら あったのかも知れないけれど 何でだろう・・・ どうやっても思い出せない。 静寂の中に続く はりつめた異様なまでの緊迫感。 実際のところ 音楽なんて全く必要なかっただろう。 ハビエル・バルデム演じる 「人間離れした」殺人鬼の怖さに比べたら 音楽で煽る恐怖など きっと、とるに足らないと思えるから。 フツーの人間とは全くリンクしない思考回路。 自分だけに明瞭な哲学。 何の変更も加えずただ几帳面に 請け負った「任務」は遂行される。 彼にとっては、鍵穴も人間の体も同じこと。 邪魔であればただ ぶち抜くだけのもの。 高圧ボンベ付の道具を 人目につくのもかまわず持ち歩く。 だがそこには快楽も苦悩も存在しない。 最初の殺しのシーンの不気味さには いきなり度肝をぬかれたけれど 物語後半から多くなる 「見せ過ぎない」演出にも引き込まれた。 足元だけを見せる描写が、 観ている側のイマジネーションをかきたてる。 殺しの瞬間はあえて映さず 電話をしながらソファに足を乗せ 広がる血だまりを避けたのは 別の殺し屋、カーソン殺害の時。 モスの妻の元に赴いた時も 会話の後に殺しのシーンはなく 外に出て靴底の汚れを気にした ただそれだけの仕草。 わずかな期待を抱いていた。 彼女は果敢にも立ち向かったから。 そのことがもしかしたら この血も涙もない殺人鬼の ルールを変えることになるかもと 信じたかった。 殺しの瞬間は描かれなかったが 彼の仕草で全てが判った。 その瞬間を目撃した以上に おそらく激しい絶望感・・・。 先がまったくわからない。 胃のあたりがギュッと痛くなる感じ。 老保安官は正義の名の下に 殺し屋をきっと追い詰められると信じていたし 大金を持って逃亡するモスも どうにか逃げ切るつもりでいたに違いない。 私も心のどこかで そう願っていた。 転がる死体の先には きっと報いがあるに違いないと。 詳しくは書かないけれど あのラスト近く・・・ 一瞬目を見張った、報いは下った!という 思いもむなしく 普通では理解できない展開。 この不条理さは言葉では尽くせない。 キモチはやはりざわついたまま。 思えば、「理不尽さ」こそが、 シガーの正体だったのだ。 老保安官でなくても、嘆いてしまう。 NO COUNTRY FOR OLD MEN この国(アメリカ)にはもう居場所などないんだと。 [映画館で観た映画]カテゴリの最新記事
この映画を一言で表したら、「すごかった」かな(^^ゞとにかくインパクトが強く印象に残る作品
でした。この監督の作品はほとんど初めてでしたので映像的にも内容的にも驚かされました。 大好きとは言いがたいのですが、観終わった後に いろいろな疑問が余韻となり、また観てみようかな と思ってしまった自分が不思議でした(^^ゞ あっ!でも、今度はDVDでいいですが(笑) 夏恋karenさんはお好きな作品みたいですね^^ 胃のあたりがぎゅっと痛くなる感じ・・・ 確かに私にもありました(^^ゞ >「理不尽さ」こそが、シガーの正体だったのだ。 本当にそう思いました(T^T)そして 老保安官の嘆きは、ひとごと(外国の話)ではなく 最近の日本にも言える嘆きのように思いました。。 (2008.03.24 23:28:03)
★バウム1939さん、こんにちは♪
>ジョーンズさんだ。 >次の地球の調査は、なにやるんだろ? ★あのCM、続きますね~♪ 一度は宇宙へ帰ってしまうのかと思わせるバージョンもありましたが(笑) シリアスもお茶目もオッケーなジョーンズさん、いつも観ているだけに親近感大です!!(2008.03.25 17:07:13)
★ひろちゃん、こんにちは♪
>この映画を一言で表したら、「すごかった」かな(^^ゞとにかくインパクトが強く印象に残る作品 >でした。この監督の作品はほとんど初めてでしたので映像的にも内容的にも驚かされました。 ★もし続けてこの監督の作品を何か・・・と言うなら「ファーゴ」がお勧めです! >大好きとは言いがたいのですが、観終わった後に >いろいろな疑問が余韻となり、また観てみようかな >と思ってしまった自分が不思議でした(^^ゞ >あっ!でも、今度はDVDでいいですが(笑) ★今のシーズン、次から次へと劇場で観たい映画が来てますものね!私もDVDになってからでいいです(笑)また観てみようかな?♪例のシーンの謎も残っていることですし! >夏恋karenさんはお好きな作品みたいですね^^ >胃のあたりがぎゅっと痛くなる感じ・・・ >確かに私にもありました(^^ゞ > >>「理不尽さ」こそが、シガーの正体だったのだ。 > >本当にそう思いました(T^T)そして >老保安官の嘆きは、ひとごと(外国の話)ではなく >最近の日本にも言える嘆きのように思いました。。 ★ひろちゃんもそう感じましたか?この映画を観た後に、無差別通り魔事件が発生。理由が理解できない殺人事件には、背筋が寒くなるのを感じます。よその国だけの問題ではないですね。(2008.03.25 17:15:03)
★ジェニさん♪こんばんはっ♪
>この映画とても 評判いいですよね。 >この殺人鬼のハビエル・バルデムって ほんとに >存在感ありすぎで 怖いですよね。 >見る予定ではありますが・・ ★ハビエル・バルデムはこの映画で映画史に残る殺人鬼として語り継がれることになると思います! 怖いんだけど、もう一度観たいと思う不思議な映画でした♪役者さんが、みなとにかく上手いです。 面白い映画とはいえないかもしれないけれど、一見の価値ありですよっ♪(2008.03.25 21:07:24)
TBありがとうございました。
観客の想像力を刺激するこの映画。コーエン兄弟の演出が見事に冴え渡った全編にコーエン好きとしては大満足でした。 世間一般ではこういう映画をあまり見ていない人が多いこともあってか、評判がイマイチみたいですね。(2008.03.27 21:03:22)
★にゃむばななさん、はじめまして♪
こちらこそ、どうもありがとうございます(*^_^*) >観客の想像力を刺激するこの映画。コーエン兄弟の演出が見事に冴え渡った全編にコーエン好きとしては大満足でした。 ★ホントにそう思います♪ 巧いですよね~!それにキャスティングも抜群でした♪内容、ヴァイオレンスがすごくて、本当なら苦手なんですが、何故か、何度でも観たくなる映画となりました(笑)さすがはコーエン兄弟♪ >世間一般ではこういう映画をあまり見ていない人が多いこともあってか、評判がイマイチみたいですね。 ★観ないのはなぜでしょうね~♪いい映画なのに・・・。万人ウケする映画ではないのかもしれません。少しもったいない気がします(^_-)-☆(2008.03.27 23:17:54)
「江戸をよむ東京をあるく」というブログを綴っている小林と申します。このたびはTBありがとうございました。こちらからもTBひかせていただきました。こちらでたくさんの感想を読めて面白かったです。ただ、自分と同じような感想が無くて、おれはへそ曲がり?とか深読みしすぎ?とか悩んでしまいましたが(笑) ともあれ、印象深い映画ですね。(2008.04.03 14:15:36)
★小林さん、こんばんは♪
コメントとTB、こちらこそありがとうございます♪ >ただ、自分と同じような感想が無くて、おれはへそ曲がり?とか深読みしすぎ?とか悩んでしまいましたが(笑) ともあれ、印象深い映画ですね。 ★いえいえ、先日はTBいただいただけで失礼しましたが、そういう観方もあったんだなぁと感慨深く読ませていただきました♪ 最近は、よくわからない事件が身近でもたくさん起こります。そう思ってこの映画を思い返してみると、なんだか空恐ろしい気がしてきました。 私のレビューはひどく甘口でお気楽なので、切り口の違う方のレビューはとても勉強になり、また楽しみです。 これからもよろしくお願いいたしますね!(2008.04.03 21:26:49)
夏恋karenさん、コメントもろもろありがとうございます。調子に乗って、拙ブログの記事に追加の付記を書こうと思います。おひまがあればご笑覧くださいませ。
(2008.04.04 01:03:05)
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