カテゴリ:本
連作小説。
敵の女・ フリーの宣伝(ウー)マン、高坂藍子36歳は才色兼備、どんな仕事もきっちりこなすAクラスの女だ。 映画のキャンペーンで軍服のコスプレをして(ミリタリーフェスティバルの)ブースで仕事をする彼女のもとを 自分勝手な妹・麻衣子、かつての不倫相手・西村、月刊ミリタリー編集長のサカイ、たびたび彼女を誘い出そうとする麻衣子の夫・梨本が訪れる。 彼らを軽くいなしたりしながら思い出すのは、西村へのあてつけで結婚し(半年ほどで離婚し)たエディトリアルデザイナー・湯川卓のこと。 すべてにおいて西村に劣っていた彼が唯一優れていたのはマッサージ。 自分にも彼女がいながら、結婚してと迫る藍子を可哀想に思い、カノジョとの(結婚の)予行練習でも良いと結婚したという彼。 彼と離婚すると同時にすべてが莫迦莫迦しく、西村への気持ちも冷めた― そんなことを思い出しながら、年下の吾妻と仕事をした一日。 Aクラスの女・ 真紀が付き合っている20歳ほど年上の彼氏・湯川卓と一時、結婚したAクラスの女・高坂藍子。 憎い女なのに、脳裏に浮かぶ時はいつも莞爾とした笑顔だ。 真紀が勤める小田原社長のデザイン会社に仕事を依頼して来たのはその高坂だった。 彼との間に割り込んだ彼女は真紀に謝りたいという― 本気の女・ 浮気ばかりの夫・西村と離婚した大湊八重は中学生の息子・良太と暮らしている。 新入社員の吉口はギャルだが仕事は真面目に取り組んでいる。 そんな彼女から彼の浮気を見破るコツを請われたり、轟精密の野球チームのピッチャーとして活躍したり、夫が浮気するたびにステップUPした仕事(現在は営業)をこなしたりしている。 都合のいい女・ 惰性で付き合っているような彼女・美加がいる吾妻。 映画のことをほとんど知らない上司・宗像に虚しさや怒りを覚えつつ、 試写会に藍子が姿をあらわさないかとほのかに期待をしたりもしている。 現役映画評論家でもある90歳は超えただろう莉田翁は業界内で有名だ。 どこの試写室でぽっくりいくか"リタルーレット"が開催されているほどだ。 藍子、莉田翁、吾妻の御飯風景がコミカル。 自分自身も(自分がどこで死ぬかの)賭けに乗った莉田翁がなんともいい。 昔の女・ セクハラ発言をする映画監督・鳥羽にうんざりしながらも青年雑誌の美少女コンテストの審査員の一人に名を連ねた広告代理店勤務の西村貢。 不倫相手だった藍子と結婚するため、離婚し、マンションも買い、結婚式場も押さえたのに振られた自分。 何をどこで間違えたのか… 降格人事で子会社に出向になり、何もすることのない休日、 元女房・八重の参加する野球大会にふらりと出向いた彼は人数併せで試合に参加、キャッチャーとして八重の球を受けることに。 不敵の女・ 世田谷映画祭の実行委員の一人として名を連ねる藍子のもとを麻衣子が再び訪れる。 名誉委員長には莉田翁。 久しぶりに会った卓は真紀と結婚しており、過去の謝罪を快く受け入れてくれる。 有名映画監督を連れて現れた宗方は相変わらず映画には無関心だ。 次に現れたのは西村の息子・良太。 離婚してから母のキャッチャー役をするようになった父。 2人はよりは戻さないが今のまま三人で仲良くやっていきたいと良太は言う。 妹は夫・梨本護に他の女が出来て離婚し、映画会社をしたいと言い出す。 吾妻は利他翁の元で勉強するため会社を辞める。 藍子の今度宣伝するのは鳥羽の映画。 …吾妻は何にも束縛されずに、自分が思うまま自由に生きている藍子みたいになりたいと言った。 束縛はなくても自由である訳ではない― そう思いながらも煙草をふかす藍子はちょっとカッコイイ。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
March 26, 2006 03:02:16 PM
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