カテゴリ:本
あの日、聴いた歌 1980/12/9・
父親の会社が倒産し、大学中退した田村久雄は21歳。 たまたま入った小さな広告代理店では下っ端。 お昼もそこそこにあちらへ御遣い、こちらへ届け物、早い話が雑務に追われ、 感覚で指示するウエストの西条氏にダブル・デッキのコピーを何度も却下される。 あちこち駆けずり回り、乗ったタクシーの中で「ジョン・レノン」が殺されたニュースを聞く。 春本番 1978/4/4・ 東京で暮らしたくて、家を出たくて、高校卒業後、予備校を通う名目で名古屋から上京してきた久雄。 初日からあっという間に暇になり、他の上京した友人を訪ねることに。 住所も持たずに出て、交番であしらわれたり、お茶しか飲めない喫茶店に気後れしたり… 芸大に進んだ平野の下宿へ向かう途中、後楽園球場で行なわれているキャンディーズの解散コンサートの完成が聞こえてきた― 画家になりたい平野と音楽評論家になりたい久雄がそこにいた。 レモン 1979/6/2・ 大学(文学部)に合格した久雄は演劇部に入り、先輩の菜穂子に憧れながら日々、(主に部のメンバーと)飲み会に参加していた。 いつも久雄に絡んでくる同級生の小山江里にいつものように軽口を返すが、 翌日、彼女がショックを受けていると水野に責められ、彼女を探すことに。 強気に見せながらも繊細な彼女の照れなど交じった仕打ちと菜穂子の策略に翻弄されながらも、 久雄を好きな江里に気持ちが傾いていく。 今日は巨人・江川の初登板の日。 名古屋オリンピック 1981/9/30・ 7年後に行なわれるオリンピックの候補地に名古屋と北京が上がっている。 名古屋優勢、決まれば父親の新会社も持ち直すという。 だが、こちらの周囲の人間は名古屋が候補地になってることに関心はないようだ。 広告代理店の仕事は毎日充実しており、若い久雄にも部下がついた。 使えない部下にフラストレーションは溜まるばかり。 しかし、社長には部下に自分(久雄)と同じようなスキルを求めても無理だと、 西条氏には最近の久雄のコピーは自己主張が強すぎると諭される。 ハッとする久雄。 ―名古屋は負け、オリンピックは北京に決まる。 彼女のハイヒール 1985/1/15・ 母親に騙され、同じ名古屋出身の女性(母の友人の娘)と半お見合い状態に。 相手も見合いはしぶしぶらしく、態度最悪。 だが、お互いが結婚して名古屋に帰るつもりはないと分かり、御飯やドライブ、映画へ。 気の強い彼女とは(関係の)アップダウンはあったが楽しい一日に。 新日鉄釜石の七連覇(ラグビー)、北の湖の引退があった日。 バチェラ・パーティー 1989/11/10・ 礼宮の婚約のニュースで持ちきりの日。 独立した久雄(もうすぐ30歳)の同僚が明日、結婚する。 今日は彼のためにバチェラ・パーティー(独身最後の日、男ばかりで遊ぶ)が催される。 なのに、どうしても会いたいと彼女・理恵子は言い、大得意先の郷田がごねる― ―バブルの最中の華やかな一面が繰り広げられる。 個人的には、土地を買ったり、大金を動かしていた郷田のその後(バブル崩壊後)がちょっと気になった。 その日に起こった事件などのニュースにあわせて一人の男の人生を切りとっている。 作者の奥田氏は1959年生まれ。と、いうことは主人公と(浩宮)同じ年。 作者自身はどんな風に過ごしてきたのだろうか?自伝的要素が強かったりするのだろうか? 名古屋オリンピックの中の"他人に自分と同じスキルを求めるな"、というのは私も身に覚えがある。 自分の場合は後輩には甘く、というか、後輩はいつか育つだろうと長い目で見るようにしてるのだけど、先輩が微妙なのには厳しかったので。 今は少しは丸くなった。これも時間と経験だよなぁ…(笑) 作中ニュースの大半は記憶にないのだけど、タイムリーな人にはもっとぐっとくるのかも。 年代は違っても上記のように似たような経験はしてたりするから、それはそれで楽しめる一冊。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
March 30, 2006 12:28:59 AM
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