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January 8, 2007
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チョコレートコスモスのちょっと違った続編のような小説。
神谷脚本、芹沢演出の舞台が実現したような、また別のお話のような…

視点が違ったらみえ方が違うというお得意のパターンを駆使しながら、
劇の中の劇、脚本家の世界すら劇の中に飲まれてと見事な入れ子小説が完成。
ちょっとした設定の違いすら並行世界ならではかと惑わされ、しかし…と迷いながら読み進む。

~ネタバレあり~

中庭にて~
三人の女優が脚本家・神谷の一人芝居のオーディションを受けるが、その決定直前、神谷は中庭で開いたパーティーの最中に死亡。毒殺か自殺か?
一人の女優の犯行に気付いた女優が彼女を問いただす。その直後、犯人である女優が崩れ落ちた―
というような脚本を書いている細渕晃が、友人である楠巴にその案がいけるかどうか話す。
後日、犯人は女優一人案と三人共謀案が出来る。

「中庭の出来事」~劇中劇。
脚本家・神谷が(自宅で)死んだ。
揺れ惑いながら、それぞれがその場面、事情聴取での刑事達とのやりとりを演じる。それすらもオーディションの様にも思えるのだが―
脚本家:神谷華晴・元劇団の座付き作家。若手女優・河野百合子と再婚。
演出家:芹沢

女優1:槙亜希子・芸能一家のサラブレット・・・チョコレートコスモスの東響子のような人物
女優2:甲斐崎圭子・劇団出身の性格俳優・・・チョコ~の佐々木飛鳥と宗像葉月が混ざったような人物
女優3:平賀芳子・大女優。病弱な義弟(死亡)がいた?・・・チョコ~のオーディションにきた女優のような人物

彼の死を自分のものにしようと偽証の後、自分が犯人だと名乗り出る。(でも、実際は事故だった)
追い詰められた中の告白に見せかけてそれすらも演技だったというのはさすが女優とうならせる展開。
実際に観てみたい。

旅人たち~演出家?と思われる昌夫と男(女優になった義姉がいる?)が山の中にある廃屋(元駅舎)を舞台にしようと訪れる。
「中庭の出来事」の事件を知っているような素振り。

どれもがだんだん混ざりながらも、並行進行していく。
そして、最後の”中庭にて、旅人たちと共に”で集大成(?)を見せる。
チョコレートコスモスをより恩田陸らしく表現した新しい話といったかんじだろうか。

オフィス街の真ん中で倒れ、心臓発作で死んだ女性の謎にも迫る。(中庭にてと旅人たちにまたがる)
女性が倒れるときは3人の人間に目撃された。
それぞれの証言によると「泣いていた」「笑っていた」「怒っていた」とばらばら。
(苦しい顔が歯が見えた一瞬笑い顔にも見えた?突然制御不能になった自分に悪態をついたのが怒っているように?その直前にコンタクトがずれでもし、泣いているように?)

色褪せた寒々しいペールグレイの薄曇りの空を描いたルネ マグリットの絵「光の帝国」が物語を繋ぐような、薄曇りの中のような物語のような…

「中庭の出来事」8で魂の重さが12グラムとあるが、ヒットした映画にもあったのは21グラムではなかっただろうか?(観てないから確かじゃないけど)





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Last updated  January 8, 2007 08:44:56 PM
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