四季ライティングオフィス コラム例可憐な姿で稲の栄養分になる ~蓮華草~
レンゲ畑は春の風物詩として、以前は日本中どこでも見ることができました。レンゲの花が田んぼ一面に咲く様子は、昭和に子供時代を過ごした人たちにとって、原風景ともいえるのではないでしょうか。
レンゲソウは根に根粒(こんりゅう)というツブがつきますが、これは根についた根粒菌という細菌が、窒素を固定してできるものです。窒素は稲にとって大切な養分なので、稲を刈った後の田んぼでレンゲソウを育て、春にそのまま土の中にすきこんで肥料としていました。また、花の蜜は高品質のはちみつの原料として有名で、養蜂場では今もレンゲ畑が広がります。
紫色に煙るように広がるレンゲ畑は、ギリシャ神話の舞台になりました。美しい娘・ドリュオペが、咲いていたレンゲソウの美しさに思わず手折ると、茎から赤い血が流れおちました。妖精が、言い寄る男から逃れるために姿を変えていたのを、気付かずに摘んでしまったのです。その罪でレンゲソウに姿を変えられたドリュオペは、最後に「花はすべて女神の化身。どうか摘まないで」と言ったとか。
一説には、ハスの花にまつわる逸話だともいわれますが、生活のために栽培されていたレンゲソウを、子どもたちがいたずらに摘み取るのを戒めるにはちょうどいい話だったでしょうね。
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