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花組『エリザベート』

<第16回>

▽花組公演『エリザベート』
▽宝塚大劇場2002年10月~11月
潤色・演出・・・小池修一郎
演出 ・・・・・・中村一徳
作品紹介・・・19世紀末のオーストリアを舞台に、ヨーロッパ随一の美貌と謳われた皇后エリザベートの生涯を、彼女と「死」トート、そして皇帝フランツの愛憎劇として描いたウィーン発のミュージカル。宝塚歌劇ではトート中心の潤色で’96年から雪組、星組、宙組の各組で上演されてきたが、この番組は’02年に花組で上演された最新版。
物語はエリザベートを暗殺したルキーニ(瀬奈じゅん)を狂言回しに進む。怪我で瀕死の少女エリザベート(大鳥れい)を見たトート(春野寿美礼)は、一目で彼女に惹かれ、命を助ける。自由を愛するエリザベートは若き皇帝フランツ(樹里咲穂)と結婚しても、皇太后ゾフィー(夏美よう)の厳格な教育、窮屈な宮廷生活に耐えられず、頼りのフランツも味方ではなかった。そんな彼女の元にトートはたびたび訪れ誘惑するが、エリザベートはなびかない。するとトートはあろうことか皇太子ルドルフ(彩吹真央)に近づき誘惑する。※スカイステージ作品紹介より
作品評★★★★★★★★☆☆
鑑賞日・・・2004年1月1日

▽’96年の一路真輝さんトップの雪組で初演されて以来、星組、宙組で上演されてきたヒット作を、ついに花組で春野寿美礼さんトップお披露目公演として再演!

伸びやかな歌唱が魅力の春野寿美礼さんのトート(死)は、期待を裏切らない見事な歌声で素晴らしかったです!甘い声でこの暗~い死の世界に本当に引きずり込まれてしまいそうなくらい。歴代のトートの中では、一番妖しげな雰囲気を醸し出しているのではないでしょうか。
ただ、トップとしての貫禄というか、どっしりしたところはまだ感じられませんでしたが(死という抽象的な役どころ故、あえてそういう見せ方をしたのかもしれませんが)。

比較的、歌に弱いと思われがちな花組ですが、本公演では春野さんを初め、エリザベートの大鳥れいさん、専科から出演のフランツ樹里咲穂さん、ルドルフ彩吹真央さんなど、主な役どころのスターが皆歌える人だったため、初めからある程度安心して最後まで見ることが出来ましたし、期待に応えてくれていました。
唯一心配だったのは、2番手スター、ルキーニの瀬奈じゅんさん。役柄的にはピッタリだろうとは思いつつ、もともと声量がないイメージがあったので。でも、TVで見る分には、十分鑑賞に堪え得る出来だったと思います。ただ、やはり劇場で聴いた場合は、初代ルキーニの轟悠さんのようなドスの効いた声は出せていないんじゃないかなぁと、正直なところ感じました。

作品の内容的なところは、初演時から当然骨格は変わっていません。ただ、回を重ねるごとに、トート(死)が全ての運命を握っていて、皆を操っている、という感じが分かりやすくなっているように思いました。
また、トートの衣装は再演ごとに新調されていているのですが、今回はこれまで以上にシンプルで、春野さんのスッとしたイメージによく合っていました。
音楽面では、’00年からドイツで上演されている『エリザベート』から加えられた“私が踊る時”という新曲が、この公演でも加えられ歌われています。トートとエリザベートのボレロで歌われるデュエット曲ですが、最初に聞いた時には、やはり後付け感を感じないではなかったです。何度も繰り返し見たら、耳に馴染みそうな綺麗な曲だなぁとは思いましたが。

さて、これで『エリザベート』を上演していない組は、月組だけとなりました。ぜひ、星組新人公演でトートを演じた次期月組トップスター彩輝直さんで、美しいトートを観たいものです。

作品評の★8つの理由は、やはり4回目の上演ともなると、初めてのものを見た時に感じる興奮というのは少なくなってしまうんですよね。
今後も、この作品は再演されていくでしょうから、そういう意味でも、衣装だけでなく、可能なところは新しいものを見せて欲しいなと思います。





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