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山行・水行・書筺 (小野寺秀也)

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小野寺秀也

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2015.06.19
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テーマ:街歩き(613)
カテゴリ:街歩き

ころりと横になる今日が終わっている
             尾崎放哉 [1]

 久しぶりに中学時代の同級生に電話をした。肝臓ガンから復帰して2年経ったので、一緒に出かけないかと誘いの電話だったのだが、昨日の検査で肺に転移していたことが分かって来週にも抗ガン剤治療を始めるのだという。
 「君は元気か?」と訊かれて「年相応に元気だが、年相応に弱ってもいる」などと曖昧に返して電話は終わった。

 私は元気である。とくに病んでいるところもない。だが、快調かといえば、そうともいえない。毎日が、気がつくといつのまにか「今日が終わっている」のである。
 実感としていえば、達成感がないままに毎日が暮れてしまうのである。何かをやろうとしてやれなかったというわけでもないのに、達成感がない。どうも、そもそもの自分の平常というのが私には実感できていないので、根拠も理由もなく日々に不満らしいのである。

壁には新しい絵を掲げ
甕には新しい花を挿し
窓には新しい鳥籠を吊るした
これでいい さあこれでいいではないか
〔…………〕
行雲流水 い往きとどまるものはなし
わがよたれぞつねならむ……
それなら私はどこに行くにも及ぶまい
ここにかうしてゐるとしよう
ここにかうしてゐるとしよう
とまれ
今日一日は 

        三好達治「烟子霞子」部分 [2]

 これでいい、さあこれでいいではないか、という心の平衡点を探さなくてはならない。私の年齢のことを考えると、もしかしたら私なりの平衡点(基底状態)にあるのかもしれない。基底状態の量子揺らぎのごとく本質的に避けがたい心の揺らぎに惑わされて、無益に気落ちしているだけかもしれない。
 「とまれ、今日一日は」金デモに出かけて終わらせることにしよう。体を動かし、声を出し、話を聞いて、少し考える。週に一度のそんな時間が大事に思えてくる。

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錦町公園、今週も雨の中。(2015/6/19 18:41、47)

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フリー・トーク。(2015/6/19 18:43~58)

 先週とまったく同じような雨模様である。先週と同様に、屋根の下に集まって集会が始まった。

 フリー・トークも、先週の話題(市内のある町内会が女川原発再稼働を止めさせる株主提案に賛同するよう仙台市に申し入れた)を受けて始まった。その申し入れをした町内会の会長さんが参加されて経過報告、何とかして株主提案に賛成するよう仙台市を翻意させたいという気持ちと、そのために市民の意思表明が重要だと熱心に話された。
 続いて、当の株主提案をしている「女川原発の再稼働を許さないみやぎアクション」の篠原さんが、電力自由化、発送電分離を控えて各電力会社の株主総会への対応の変化や、現在の状況、これからの取り組みについて話された。
 角野さんは、仙台市議会の質疑における東北電力の株主総会へ仙台市の対応について報告された。例年のように、木で鼻を括ったような役人の答弁(市長はまったく答えず)しか得られなかったという。あたかも仙台市は、原発に対しては判断停止状態のようである。自治体住民の健康や生命、それぞれの意見を考えることのない(考える力がない?)地方政治と行政にどんな価値があるのかと思わざるを得ない。
 最後のスピーカーは千葉県市原市の方で、千葉県の放射能汚染の状況のひどさやそれに対する取り組みについて話され、宮城県南部も同じような汚染状況にあるのでとくに子どもの健康を守るための取り組みが必要だと訴えられた。Lここでもまた、県や市、街の地方行政体をあてにできない実情が明らかにされ、私たちの積極的な活動や運動によってしか解決の道がみえてこないことが明らかにされている。

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定禅寺通りを西へ、一番町に向かう。(2015/6/19 19:12~15)

 先週と同じような雨天なのに、先週を上回る50人のデモ参加者は雨の市街に歩き出す。脱原発デモなので、シュプレッヒコールは原発のことばかりだけれども、それぞれは「戦争法案反対!」、「憲法違反を許すな!」と国会前の抗議の声に合わせてひそかに叫んでいるに違いない。

素晴しき一生(ひとよ)へ向かふさみどりの扉みえつつ雨みだれ降る
                           水原紫苑 [3]

 扉は見えているのである。扉を開けて、平和を確かなものにするしか素晴らしい「ひとよ」は得られない。どんなに雨が乱れ降ってもデモは元気に進んで行くのである。雨天、曇天、晴天、いつでもデモは元気なのだが。

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「ゲンパツなくても、ええじゃないか、ええじゃないか」 (2015/6/19 19:21)

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今日のコーラー。 (2015/6/19 19:19、27)

 「ええじゃないか」コールはいつ頃からやるようになったのだろう。そんなに前からではないように思うが、このコールをやるようになってからデモは活気づいたように思える。
 いつものコール、いつものアピール文と「ええじゃないか」コールが順繰りに繰り返される。変化があっていいし、「ええじゃないか」コールには、いくぶん原初的な匂いのするリズムがある。

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傘から開放されて。 (2015/6/19 19:26、27)

 こういう詩がある。

新聞の見出し
赤と黒
「ドイツ」という言葉のもとに
死者達は売店のそばに立ち
そして大きな眼で
新聞の見出しを見つめる
黒くそして赤く印刷された憎悪を
「ドイツ」という言葉のもとに
死者達は恐れる

これは死者達が恐れている
国である

    ヒルデ・ドミーン「灰色の時代」部分 [4]

 同じように、「日本」という国を、「日の丸」国旗を、「旭日旗」を恐れているアジアの死者たちがいることを忘れてしまったかのように、いま、日本人は政治的に振る舞っている。
 アジアの死者たちから見れば「日本人」として括られるだろうが、私(たち)から言わせれば、安倍自公政権、自民党、公明党とその支持者たちのことである。かつての歴史の中で死んだ死者たちが恐れる国は、70年を経てふたたびアジアを越えて世界が恐れる戦争国家になろうと画策している。
 その政治的野心を潰えさせることができるか、それが今日の私(たち)の避けがたい課題であり、しいていえば私の日々の不達成感の一つの原因でもあろう。


 「原発再稼働するな!」、「原発建設やめろ!」と叫びながら歩くのだが、私にとってこれらのコールは「戦争国家反対!」と等しいのである。

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青葉通りを東へ。(2015/6/19 19:33、34)

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大通りを渡って。(2015/6/19 19:40)

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ゴール前で。(2015/6/19 19:43)

 「美しい国」という虚像に舞いあがっているのは、いったいどういう人たちなのだろう。日本という国のどの時代のどの場所で人は「美しい国」を実感し、納得しえたというのだろうか。
 「日本を取り戻す」という政治的スローガンと一緒に語られる「美しい国」は、過去のどこか一点にあったと推測される(論理的には)が、過去のどこであるかを示す言説は、右翼政治家からは明示的には発せられない。彼らも知らないのだ。少女趣味的なあこがれが、政治的仮面を被っただけの虚言なのだろう。
 しかし、いま、ここで、自公政権の戦争推進立法を認めてしまうと、太平洋敗戦後から今日までの70年の平和を「美しかった日本」といって絶望的に懐かしむ時代が待ち受けているのは確かだろう。

美しさの、裏切り、殺戮の、真実
その日、地上が再び三たび四たび燃え尽きる
そのたびごとの戦後の、はるかな、美しさ

       佐々木洋一「そのたびごとの戦後」部分 [5]

 

[1] 『尾崎放哉句集(一)』(春陽堂 平成2年)p.15。
[2] 『定本 三好達治全詩集』(筑摩書房 昭和39年)p.154。
[3] 水原紫苑『歌集 くあんおん』(河出書房新社 1999年)p. 43。
[4] 『ヒルデ・ドミーン詩集』(高橋勝義・高山尚久訳)(土曜美術社出版販売、1998年)p.212。
[5] 「アンソロジー佐々木洋一」(土曜美術社出版販売 2001年)p.111。






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Last updated  2015.06.20 18:51:40
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