テーマ:経済(42)
カテゴリ:經濟
昨日の続き。 仮想討論「BTRONの過去と未来」より 新田創一 、ゲームメーカー勤務 中野専太郎、電子関連機器の技術者 古木護 、パソコン雑誌の編集者 孫正義氏は何故トロン潰しを画策したかより後半部 中野 別の本ではね・・・、竹村健一氏がインタビューした「孫正義大いに語る」って本ですが、アメリカ人がいろんな発明をして、日本人がさっぱりなのを・・・孫氏が何のせいだと言ってると思いますか。 新田 日本人が発明でさっぱりだとは思いませんけどね、 中野 遺伝子のせいだって言ってるんですよ。アメリカ人は独創性を発揮できる優れた遺伝子がある。日本人は遺伝子レベルで独創性に欠けてるんだと。 新田 それはヤバイですね。下手をすれば人種差別だ。ところで、孫氏がトロンを排斥した理由ですけどね。 古木 そんなの決まってるじゃないですか。アメリカの優れたOSを排斥して、世界の孤児になる恐れがあったからです。本にもそう書いてあったじゃないですか。 中野 それはおかしいですね。彼はその直前に、独自OSを作る・・・って言って、技術者を集めてるんです。自分がやろうとした事を、トロンがやったら「世界の孤児」なんて、とんだ御都合主義ですね。 新田 彼がどういうつもりで、あんな事をやったのか解りませんが、その直前に熊本県の教育パソコンに参加して、教育ソフトの販売ルートを作ってましたから、DOSの教育ソフトで儲けるつもりだったのが、トロンが出てきて予定が狂いそうになった・・・ってのはあったでしょうね。 古木 どういう理由にせよ、彼には彼なりの考えに基いて反対する自由があるでしょう。それを理由に攻撃するのは、信条の自由に反します。 新田 自分なりの考えがあるなら、どうして堂々と反対しなかったんでしょうね。こそこそと妨害工作みたいに、通産官僚と組んで。それをあたかも立派なことをやったみたいに「トロン蔓延を水際で阻止」などと・・・ 中野 「通産省に支持されたのが悪い」と言いながら、実は通産省の役人とつるんでたのは自分だったんだから・・・ 古木 通産官僚だって、悪者ばかりじゃないでしょう。孫氏と連携した棚橋佑治氏などは、埼玉大学の教授として教鞭を取り、通産次官の時には「新社会資本」としてIT投資の重要性を進言した、国を思う立派な人です。 新田 その「新社会資本」って、学校に生徒1人1台のパソコンを・・・ってやつでしょ、確か93年の。あの時期のパソコンと言えば、ウィンドゥズ3.1があと2年でウィンドゥズ95に置き換わる頃でしたね。 あっという間に時代遅れになるパソコンを大量に税金で買ってたら、廃棄パソコンで日本はパンクする筈でした。しかもトロンの排斥で、ウィンドゥズなんか使って授業出来る教師は殆どいない。実現しなくて良かった。 中野 それでも、孫氏みたいな業者は儲かりますから。この棚橋氏って、実はかなりの曲者です。機械情報産業局長として88年に乗り込んで、孫氏と組んだわけですが、その前は大臣官房長。最後は通産次官に上り詰めた大物です。 93年に彼が退職した直後、汚職がらみで批判されましてね、通産省に入ってた自分の息子を、政治家として立候補させるために、恣意的に出世させるいわゆる「箔付け人事」をやったんです。 それを内部告発されて、通産省を出た後、埼玉大に逃げて逼塞してたんです。それが95年頃また勢いを盛り返して、今度は石油公団の総裁に押された。 新田 石油公団っていうと、あの通産官僚の天下りのための、利権の巣窟って告発された。 中野 はい。で、また内部告発が出て、今度は子供の選挙で、あの泉井氏・・・通産・大蔵との癒着疑惑で告発された人ですが、彼から選挙資金を出してもらったって。結局はそれもうやむやになって・・・ 新田 まさに、汚職の常習犯ですね。今でも孫氏との関係は続いてるんでしょうか。 中野 最近のエコノミスト誌で、孫氏の人脈地図・・・ってのがありましたが、それにもしっかり載ってます。何しろ孫氏ってのは、人脈を最大限に行使する人ですんでね。棚橋氏くらいの大物が反トロンで動けば、参加企業を蹴散らすくらいは簡単でしょう。問題は90年以降ですが・・・ 新田 教育パソコン以後のBTRONを巡る動きは、マスコミには殆ど出てきません。孫・棚橋連合軍がトロンを敵視し続けたかどうか・・・というのも、推測をしても仕方の無いことです。 ただ、思い当たるのは94年の・・・、ちょうど棚橋氏が逼塞した時期ですね、通産省で「トロンを潰したのは間違いだった」という声が業界から出て、「トロン再評価」が行われたことがあるそうです。教育パソコン規格を復活させる訳でもないのに、何のための再評価なんでしょうね。 最近の超漢字の発表でも、パーソナルメディアはかなり外部のプレッシャーを警戒して、厳戒態勢をとっていたそうですね。外部ってのが通産省なのかアメリカなのか、あるいは熱狂的なトロン敵視派なのかは解りませんが。ところで棚橋氏って、今はどうしてるんですか。 中野 エネルギー財団の総裁として、まだ影響力を持ってます。また、機械情報産業局での棚橋氏の部下として、孫氏とも共謀してトロン潰しに荷担した林良造氏も、しばらく資源エネルギー庁にいたのが、何故かつい最近また機械情報産業局に今度は次長として戻ってるんです。通産省では同期で最も権力を持ってる大物官僚だそうです。 新田 不気味ですね。 古木 まるで隠謀論だな! 中野 アメリカあたりから「通産省の隠謀」とか言いふらしてる「ノートリアス・ミティ」みたいなのを「隠謀論」として批判してるのを、あまり聞いた事が無いけどね。あなたもさっき、トロンを隠謀だって言ってましたね。それは隠謀論じゃないんですか? 新田 こういうのは、先ず「事実」を明らかにする事が肝心ですね。そうすればおかしな隠謀論はすぐボロが出ます。さっきの「トロン隠謀論」のように。それに、孫氏の場合は自分で「俺が陰で潰してやった」ってはっきり言って誇ってるんだから、これはもうどうしようもないでしょう。 中野 その、孫氏の動きと、アメリカの圧力とは、何か関係があるんでしょうか。 新田 これはもう推測するか無いですね。孫氏がアメリカに持ち込んだ・・・ってのは、可能性としては大いに有り得るんですが、そう言い切るのはちょっと・・・。 ただ、84年4月頃に「バージングループ」ってパソコン市場調査会社が、誰だか判らないけど、日本人ビジネスマンがアメリカで、トロンの悪口を触れてまわってる・・・って情報を掴んで、日刊工業新聞に載ってます。 おまけに「ゲッパートに話してみては」なんてのも書いてある。勿論、それが孫氏かどうかは解りません。「トロン批判」の理屈もそっくりなんですが。例の本も、肝心のことを書いてないんですから。「秘策」とか思わせぶりな事は書いてあるけど。 87年秋ごろから・・・ですね、各方面にトロン批判を触れて回って、単に「批判」ってだけじゃなくて「潰す」って明確な目標を持って行動したと。ところがその後の88年の約1年間に何をやったか全然書いてない。 -- 簡単にまとめると、 一、孫正義は日本人に対する差別意識を持っている。 二、独自OSを作ろうとしていたが、トロンが出て来たので官僚と結託してこれを潰した。 二、はつまり、日本独自でOSを作ること自体は目的ではなかったということを意味する。日本のパソコン文化云々ということも孫正義にとっては金儲けのネタの一つにすぎないということか。 しかし、「孫正義氏は何故トロン潰しを画策したか」が参照している書籍は読んだことがないのですが、本当にこのようなことが書かれているのか? 誰か読んだことある人います? お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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