テーマ:皇室(560)
カテゴリ:歴史 傳統 文化
平成十七年三月三十日(水)午後五時半~七時十五分 於総理大臣官邸小ホール 出席者 ・皇室典範に関する有識者会議メンバー 吉川弘之 産業技術総合研究所理事長、元東京大学総長 《全くけしからん事に緒方貞子 国際協力機構理事長が欠席》 出席者 ・政府側 細田博之 内閣官房長官 《全くけしからん事に小泉純一郎 内閣総理大臣と山崎正昭 内閣官房副長官が欠席》 議事概要 (一)説明 資料一「皇位継承の時代的変遷」、 (二)意見交換 【資料一~三関連】 ・今回の江戸時代以前の皇位継承と前回議論した明治時代及び戦後の皇室典範を比較するとどういう異同があるのか、という質問に対し、事務局から、「皇統に属する男系によって皇位の継承が行われてきたことは共通であるが、まず、江戸以前はそのときどきの外戚等の影響があった場合もあろうが、天皇や上皇の意思により継承者が決められていた。 明治時代に、天皇が定める皇室典範という形で成文化され、現行皇室典範ではさらに国会が定める規定によることとされた。また、その内容としては、江戸以前は庶系、養子も認められており、女性天皇も否定されていなかったが、明治の皇室典範で非嫡出子は認められたものの、養子と女性天皇が認められないこととされ、さらに現行典範で非嫡出子も認められないこととなった。その意味では現行制度は、歴史の中では皇位継承の幅が狭まったものと考えることができるのではないか。」との説明があった。 ・歴史上の皇位継承には、それぞれの時代環境や政治的事情が強く反映されていることを改めて痛感した。また、十代八方の女性天皇を個別に見ると、中継ぎという言葉が不適切ではないかと思えるほど、非常に重要な実績を残している方があることが、あらためて印象的であった。 《この発言者は中継ぎは実績を残さなくてよいと考えているのだろうか。中継ぎだからこそ実績を示さなければ人心を集める事は出来ないという考えもあるのではないか》 ・女性天皇のうち、二方だけ重祚している。その事情もいろいろ異なり、そのことの意味づけも難しいと思うが、男性天皇で重祚の例はあるのか、との質問があり、事務局から、男性天皇の重祚の例はないとの説明があった。 ・なぜ皇位継承は男系でなければならないのかを説明した文書等は存在しないのか、という問に対し、事務局から「そのような歴史的な文書は見当たらない。男系による継承の背景としては、古代における国家統一に際して武力の役割が非常に大きくなって男性優位の考え方が定着した、あるいは、儒教の男性優位の考え方が導入された、などの見方がありうる。」という説明があった。 ・男系による継承の背景には、律令の導入があると考えられる。中国の法律制度やその背景にある家族原理を理想的なものとするという考え方は、古くからあったと思う。律令本来の形として、男系による嫡系相承が本来のあるべき姿であると当時の支配者に認識されていたものと思われる。ただ、現実の社会の婚姻形態等が日本では双系的であったこともあって、女性の天皇に対して寛容であったが、中国の思想が貫徹してくると女性天皇が非常に少なくなっていくといえる。 ・男系を優先してきたことのひとつの背景として、昔の状況では出産が非常に大事業で、その間ほとんど女性が活動できない、特に戦(いくさ)というようなことを考えるとなかなか出産と両立しないという現実的な問題もあったのではないか。 ・本日の事務局説明と意見交換を通じて、次のような総括ができるのではないか。 ○ 江戸時代以前の皇位継承一般 ・皇位継承の在り方を定めた明文の規定はなかった。 ・皇位継承は、その時代時代の、政治的な権力をめぐる対立や有力者の意向などの政治・社会情勢、社会通念・価値観等に応じて様々な形があるものの、全体としては直系継承の場合が支配的。 ・皇位継承に当たっては、種々紛争も生じているが、血統の正統性を基本に、母親の血筋、先例等によって、その即位の理由が説明され、認められてきた。 ・皇統による皇位継承が維持されており、男系による皇位継承には例外がない。 ・直系による継承に当たっては、嫡系のみならず庶系が重要な役割を果たすほか、状況に応じて傍系継承など、柔軟に対応。 ○ 歴代の女性天皇の関係 ・過去、十代八方の女性天皇は、全て、父方が天皇又は皇族、すなわち男系で皇統に属する方々。 ・即位の時点において、寡婦が四方、未婚が四方。いずれの方も、即位時及びその後は、結婚していない。 ・歴代の女性天皇が即位した経緯については、それぞれの時代におけるさまざまな状況(例えば、有力者の意向や、有力な男性皇族が複数存在したり又は幼少であったりしたなど)があり、またその状況自体の認識についても、現在まで様々な議論。いずれにしても、女性天皇の性格や位置づけについて一括りにすることは必ずしもできない。 【今後の進め方関連】 ・国民の広範な支持が得られる提案を作成することが大事であり、その際、十分な歴史的理解に基づきつつ、社会の変遷等も視野に入れながら検討を進めることが重要である。 ・今回までに、これまでの制度の考え方や歴史についてひとわたり認識を共有したので、皇位継承制度に関心が深い専門家など部外の方を何人かこの場にお招きしてご意見を伺ってはどうか。 ・皇位継承制度についてはいろいろな考え方の方がいらっしゃるので、特に専門的な知識をお持ちの方の考え方をきちんと理解する必要がある。 配付資料 資料一「皇位継承の時代的変遷」 ○出席 ×欠席 △遅刻 第 一 二 三 回 吉川弘之 ○ ○ ○ 第 一 二 三 回 小泉純一郎 △ × × 平成十七年 十月二十五日 弘田三枝子「アスパラで生き抜こう」を聴きながら お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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