テーマ:皇室(560)
カテゴリ:歴史 傳統 文化
平成十七年六月三十日(木)午後二時~四時半 於総理大臣官邸大会議室 出欠表 ○出席 ×欠席 △遅刻 ?不明 ・皇室典範に関する有識者会議メンバー 第 一 二 三 四 五 六 七 八 回 吉川弘之 ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ 産業技術総合研究所理事長、元東京大学総長 ・政府側 第 一 二 三 四 五 六 七 八 回 小泉純一郎 △ × × × × ? ? × 内閣総理大臣 議事概要 (一)説明 第六回・第七回会合における識者からのヒアリングの内容を整理するため、 資料一「ヒアリングにおいて表明された皇位継承資格 に沿って事務局より説明。 資料二「昭和二十二年十月の皇籍離脱について」、 (二) 意見交換 ・中国の姓は、儒教の思想や、中国の家や宗族といった社会を基盤として成立している。日本古代の制度としての姓は、九世紀や十世紀で制度としての規制力を失ってしまったと見られるが、儒教的な思想が江戸時代から明治にかけて強まることにより、社会の実態とは離れて、姓の観念が儒教的な規範として意識されてきた面があるように思う。 ・現実社会では父系継承という儒教的な考えは崩れているが、象徴というものは、必ずしも、一般社会と同じように変わっていくということではなく、理想としての父系継承というようなものを皇室にだけ求めるような意識もあるのではないか。 ・家という観念は、高度成長以前の地方の農村社会などでは継承されていたが、現代の社会においては崩れてきている。そうした中で、男系を中心とした家の継承を理想としてそれを皇室に求める、という考え方が男系男子説の背景にあるのではないか。このような世論は、今後何十年も経った後ではまた変わってくると考えられるが、現在の段階でこの問題を検討するに当たっては、そのような面にも留意すべき。 ・男系を重視する立場の人達は、「男系主義の歴史的重みを重視すべき」、「男系主義というものは歴史上確立された原理である」と主張するが、なぜ男系であるかということの理由は必ずしもはっきりしない。現実に続いてきたことが大事だということはあるにしても、なぜ男系が大事かということについては、歴史的にも説明されていないのではないか。 ・姓のために男系が維持されてきたのではなく、古代の生活の実態としては、「力」が重要であったのではないか。理屈は後から付けられたということも考えられる。 ・姓を与える側について、姓をもらう側の論理を適用するのは根本的に間違いなのではないか。男でなければならないということとは、姓を与える側と与えられる側という関係とも、従来は関係していたのではないか。 ・我々は歴史に忠実でなければならないが、歴史を守るということの意味は、これまで男系で継承されてきたということなのか、その時代時代において最も適切な選択をしたということなのか、その点をどのように考えるかという問題がある。 ・この有識者会議に課された問題を考えるに当たっては、論理も重要であるが、側室というものがなくなったことや、男系継承のひとつの契機と解される姓が使用されなくなったことなど、社会的な変化も踏まえる必要がある。 ・社会的な変化があるのは事実としても、もしも皇位継承者がいなくなるかもしれないという問題が生じなければ、今日のように、男系、女系というような議論は起こっていないのではないか。 ・現在の状況は、皇統の維持のために何らかのことを行わざるを得ない状況であり、国の伝統や皇室の伝統は極力理解した上で、世襲という憲法の範囲内で対応できることは何かということを考えるべき。 ・基本的な視点としては、以下のようなものがあるのではないか。 一、現行の日本国憲法を前提とすること。 二、安定的な皇位継承を確保することが極めて困難な状況にあるということを直視せざるを得ないこと。 三、伝統を重視することは非常に重要であるが、様々な時代環境に柔軟に適応してきたという面にも留意する必要があり、また、伝統というものは、単なる伝承や因習ではなく、それぞれの時代の試練に耐えて創造的に形成され、維持されてきたものであること。 四、将来の世代にも共有可能な価値観を探る必要があり、世論の動向も一つの参考になるが、その根底に流れている持続可能な価値観を見定めた上で考える必要があること。 この四つの視点を踏まえて、基本的に考えるべきポイントを抽象化すると、以下のようになるのではないか。 一、嫡出の要件を前提にした上で、皇位の世襲制を安定的に持続させるための適切かつ十分な方途を考える必要があること。 二、皇位継承順位に関するルールはできるだけ簡明であるべきであり、偶然的な要素に左右されたり、非常に複雑になることはできるだけ避ける方向で考えるべきであること。 三、皇族の範囲について一定の見直しが必要であること。 (続く) 配付資料 資料一「ヒアリングにおいて表明された皇位継承資格 平成十七年 十一月六日 ジェネシス「幻惑のブロードウェイ」を聴きながら お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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