テーマ:皇室(559)
カテゴリ:歴史 傳統 文化
昔、インスタントコーヒーのテレビコマーシャルで「違いが分かる男の」という宣伝文句があった。 これに茶々を入れたのがオーディオ評論家の故長岡鉄男。曰く、 「違いの分かる男がなんでインスタント・コーヒーを飲むのか」 しかし、この疑問はある日氷解する。 「この人はインスタント・コーヒーの違いの分かる人だったのだ」 「皇室典範に関する有識者会議」に対して、どこが「有識者」なのだ!と言う批判が噴出しているが、あの集まりは「皇室典範に関する有識者」による会議ではなく、有識者による「皇室典範に関する会議」だったのだ。 では、どこがどう有識なのだろうか、というと、彼等は専門分野は違うが「ジェンダーフリー」という点では一致しているのである。 つまり「皇室典範に関する有識者会議」というのは、実は「ジェンダーフリーに関する有識者」による「皇室典範に関する会議」だったのだ。 このたびの「女系天皇問題」に関して政府に言いたい事のある方は左記のフォームより。 国際派日本人養成講座 平成十七年十月十六日 四百十六号 「女性天皇問題」は歴史の知恵に学べ (続き) ■六、皇統の「安全装置」■ 史実を踏まえるなら、現在のように、愛子様の世代で男系男子がいない場合、我々の先人はどうしたのか、という事も調べておく必要がある。さすがに百二十五代も続いている皇室の歴史には、このような危機が何度もあり、実はそれに対する「安全装置」はすでに皇統に組み込まれているのである。 この時に、第百十三代東山天皇の曾孫にあたる閑院宮家のまだ八歳の祐宮殿下を迎えて、世継ぎとした。第百十九代・光格天皇である。光格天皇は欣子内親王を皇后に迎えられている。 光格天皇と先代・後桃園天皇とは七親等もの隔たりがあり、家系は約百年も前に分かれている。現代の感覚で言えば赤の他人である。しかし、何親等離れようと、男系である以上、皇統はつながっており、皇位につくことができる、というのが、わが国の伝統的な考え方であった。 同様なケースは、第二十六代継体天皇、第百二代・後花園天皇にも見られる。継体天皇は、先代・武烈天皇が崩御されたとき、皇子も兄弟もなく、約二百年も前の第十五代・応神天皇の六世の子孫にあたる五十七歳の男大迹尊が越前から迎えられて、即位された。先代とは十親等も離れている。 後花園天皇も、先代・称光天皇が二十八歳の若さで崩御されたとき、二人の皇女しかいなかったので、八親等離れた立場でありながら、跡継ぎになられた。 ■七、「万世一系」のY染色体■ このように直系の男系男子がいない場合は、どれほど離れていようと、傍系の男系男子を選んで、世継ぎにするというのが、皇室の伝統的ルールであった。逆に、男系男子の後継者はいるが、まだ幼いので、成長するまでの中継ぎをするのが女性天皇の役割であった。 この二人から生まれたこどもは、父親のX、Yのどちらかと、母親の二種類のXのどちらかの組合せを持つ。 男の子は父親のYと母親のどちらかのXを持つ。したがって、Y染色体は代々男親から男の子へとかならず継承されるのである。女の子はX染色体しか持っていないから、将来他の男子と結婚して、男の子を産んでも、その子のY染色体は自分の父親のものではない。だから女系ではY染色体は伝わらないのである。 「万世一系の皇統」とは、今上陛下や皇太子殿下、秋篠宮殿下が持たれているY染色体が、遠く後醍醐天皇や天智天皇、聖徳太子や日本武尊、そして初代・神武天皇まで遡ることができる、という厳然たる事実なのである。 愛子天皇が一般民間人と結婚されて設けられた女系男子が即位したら、この万世一系のY染色体の系統が断絶してしまう。二千年もの間、我々の先祖がなんとか維持してきたこの伝統を、我々の世代が無知ゆえに破壊することは許されるのだろうか? ■八、「安全装置」としての宮家■ 現在の皇室に男の子が生まれず、男系男子が途絶えるような場合は、どうしたらよいのか。上述したように我々の先祖は解答を示してくれている。傍系で何親等離れていようと、同じY染色体を持つ男系男子を探し出して皇位を継承して貰えばよいのである。 これら男系男子を持つ旧宮家は皇族に復帰していただき、万一、今後とも皇室に男系男子がお生まれにならない場合は、旧宮家から男系男子を次々代の天皇としてお迎えする、というのが、わが国の伝統に沿ったあり方である。さらに、光格天皇の時のように、愛子様(かなわなければ、眞子様、佳子様)には、その方の皇后陛下になっていただければもっと良い。 六十年も前に皇籍を離脱した旧宮家の復活などというと時代錯誤から考える向きもあろうが、そもそも旧宮家の廃止じたいが皇室弱体化を狙った占領軍の指導によるものであり、日本の歴史伝統に反した行いであった。 また宮家創設にかかる費用を心配する人もいるが、現在の国家予算からは宮家当主に三千万円程度、妃殿下にはその半額が支払われているに過ぎない。一家五千万程度で五家復活したとしても三億円にも満たない。せいぜい官僚三十人分程度の費用でしかない。 宮様が増えれば、安全装置としての役割以外でも、外国の賓客の応対や、慈善団体や公共団体の名誉総裁など現在の皇室のご負担を軽減しつつ、いっそうの充実を図ることができよう。三十人程度の官僚とは比べものにならない効果が期待できる。 ■九、愛子皇后と日本の幸せ■ 二十一世紀も暮れようとする頃、ある宮家から迎えられた第百二十七代天皇と愛子皇后のご一家は、幸福な生活を送られていた。皇太子殿下はすでに五十代になられ、天皇のご名代としてしばしば外国訪問もされて、国際的にも敬愛されている。民間から上がられた妃殿下との間にもうけられた二男一女の皇孫殿下たちは、それぞれすでに成人されて、福祉団体や学術団体などの名誉総裁の役職を果たされている。 老壮青三世代そろった賑わしい皇室の動きに刺激され、国民の各年代層も活発な活動を続けていた。老人層は学術研究や芸術に精を出して、世界中で活躍していた。壮年層は最先端の科学技術と洗練されたデザインから生み出される車や家電製品などを生み出し、《Japan Cool》として、世界市場で尊敬される地位を築いていた。若年層は国際的なボランティア活動やスポーツで、日本の存在感を際だたせていた。 また皇室が参加される自然保護や伝統文化保存の活動も盛んになり、日本列島は美しい自然の中に豊かな文化を保存する国として、環境破壊に悩む各国の見習うべきお手本とされていた。 世界の各国民は、改めて二千年もの間、日本国民が代々の先祖から継承してきた皇室制度という深い知恵を羨むのだった。 平成十七年 十一月三十日 ヤナーチェク「シンフォニエッタ」を聴きながら コメント・トラックバックは予告無しに削除する場合があります。あらかじめご了承下さい。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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